コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

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コンタクトセンター運営のポイント 第94回:応対時間を短縮する意義と効率化を実現するテクノロジー

その94 応対時間を短縮する意義と効率化を実現する方法とは

かつてコールセンターは、応対時間を短縮し、1人のオペレーターがより多くのコールを取ることが重要視されていました。しかし現在は、1人ひとりの顧客に向き合って課題を確実に解決することが重要だという考え方が浸透しています。そういった中でも応対時間を削減することには従来から変わらず意義があります。では、応対時間削減のためにはどう効率化すれば良いのでしょうか?

応対時間を短縮する意義

コールセンターで顧客満足度を上げるためには、顧客の話に耳を傾け、顧客の求める回答や解決策を提示することが大切です。これは、従来の「コールを捌く」対応から顧客に寄り添って「コミュニケーションを上げる」対応に変えることで、より顧客満足度が向上するという考えからです。

だからと言って、応対時間を気にしなくても良いということではありません。応対時間が長くなればなるほど1人のオペレーターが対処できる件数が減り、放棄呼が発生しやすくなり、今度は「なかなかつながらない」という不満を生んでしまいます。

コールセンターは1人ひとりの顧客に丁寧に向き合いつつ、つながりやすさは低下させないという、難しい命題を抱えています。単に人数を増やすという方法を取るのではなく、業務改善やITを活用し応対時間を短縮していくことが重要となるのです。

今回は応対時間を短縮するポイントを、応対中とその前後の応対開始前、応対終了後に分けて、それぞれでできることをご紹介します。

応対中:AHTの概要と短縮するための方法

応対時間を短縮していくに当たって重要となるのが、AHT(Average Handling Time:平均処理時間)です。AHTはオペレーターが対応を開始してからその件に関して全ての対応を完了させるまでの平均時間を意味し、この数値を記録することで応対時間の短縮につなげることができます。

AHTはさらに、ATT(Average Talk Time:平均通話時間)とACW(After Call Work:後処理時間)に分けることができます。AHTをATTとACWに分けて記録し、それぞれを効率化していくことが有効です。

それぞれを短縮するための方法については、コラム「第8回:平均処理時間(AHT)を短縮するためには」にも紹介しています。今回はそれを踏まえて、最近のテクノロジーで短縮できる方法を紹介します。

ATTを短縮する方法

チャットやチャットボット・FAQの整備が進んでいる中、電話による問い合わせは、より顧客のお困り度合いが高く、緊急性や重要度が高くなっています。そのような中ではオペレーターによる傾聴と共感・回答が大事であり、会話をコントロールしてクロージングする事は経験やスキルが必要で簡単に習得できません。
そのためATTを短縮する方法としてITの活用が挙げられます。

まず、顧客と対応を始めるにあたり本人確認を行う場合、事前に会員番号や生年月日を入力してもらうことで本人を特定。発信者番号などと連携して通話開始時には会員情報や対応履歴を表示し、スムーズに会話を始めることができます。

また、顧客に尋ねられた内容に回答するため保留にすることがあります。この対策として音声認識システムによって会話からキーワードを抽出し自動的に回答候補を表示すると、FAQを調べるための保留時間を削減する事ができます。キーワード抽出と従来から使われているトークスクリプトを組み合わせるとヒアリング項目を自動的に選択して会話をすすめることも可能になります。

ACWを短縮する方法

対応を終えた後に行う後処理の時間は、ATTに比べて短縮しやすいと言えます。この時間は顧客の事情によらず、コールセンター内だけで効率化することが可能なためです。

ACWの中でも重要なCRMシステムへの入力は、使いやすく操作性の高いシステムを利用することで登録時間は短縮できます。また定期的に項目の見直しやレイアウトの改善を行い、入力しやすい順序に並び替えることも時間の短縮に効果があります。さらに会話を音声認識でテキスト変換している内容をそのまま履歴として登録してしまい入力を最低限にして劇的に登録時間を改善しているコールセンターも出てきています。

CRMへ対応履歴を登録する以外に、社内システムへの登録や関連部署へ連絡などを実施しなければならないコールセンターでは、RPAによる自動化も効果的です。システムの修正がすぐにできない場合にRPAを使って登録作業や、Excelにまとめて他の部署に送付するような作業を自動化することで、大幅にACWの時間を削減できます。

応対開始“前”にできること

AHTを短縮する前には、応対の前にできることと後にできることがあります。ここでは、応対前にできることについてご紹介します。

適切なオペレーターへつなぐための整備

経験の差や担当の違いなどにより、オペレーターにはそれぞれに適した役割が与えられます。しかしコールがその役割通りに割り振られないと、対応ができないオペレーターにつながって効率を悪くすることがあります。コールセンターでは適切なオペレーターへすぐにつなぐことが重要であり、そのために有効な手段のひとつがIVRの最適化です。

コールセンターに電話をかけた顧客が音声案内に従って番号を入力し、用件に合った窓口へ案内されるIVRは一般的に活用されています。IVRの操作内容を定期的に分析し意図した操作が行われているか確認し、適切に見直しすることが必要です。さらにIVRの中で本人確認の情報を入力してもらうことも効果的です。また、一定の時間内に再度電話をかけてきた顧客は、前回と同じオペレーターへつなぐことでヒアリング時間を短縮すると共に顧客満足度をあげることもできるようになっています。

IVRによる音声案内は顧客に「面倒」だと思わせる可能性もあるため、オペレーターのスキルセットもよく考慮して運用することが大切です。

応対終了“後”にできること

応対終了後にさまざまな対策を立てることが応対時間を短縮するためには効果的です。

コールフローの分析と見直し

従来コールフローを分析するには、いくつかのコールを選び、録音を聞き起こしてコールの流れを分析しなければなりませんでした。そのため、多くのコールを分析することは不可能でした。現在は音声認識で会話をテキスト化しチャットのやりとりのようにビジュアル化できます。目視で流れを確認しポイントを絞ったうえで音声を聞き起こすことで、より短時間で効果的な分析ができます。

SVによるフィードバック

コールセンターの応対品質においてSVの役割は重要です。応対時間を短縮する目的でも、SVによるオペレーターへのフィードバックは有効な手段となります。

コールフローの分析と同様に従来はSVがリアルタイムにモニタリングを実施し、何かあった時にフォローすると共にオペレーター1人ひとりに対してどの点が足りていないのかを的確に把握し、フィードバックに活かしていました。ここにも音声認識が活用できるようになっています。たとえば、SVのモニター画面にオペレーターの通話状況を表示するのに加えて、それぞれの会話をテキスト表示することで同時に複数の会話内容を把握することができます。これによりオペレーターが手を上げる前に、モニタリングを始め適切にサポートすることが可能です。

FAQの整備

オペレーターが閲覧しチャットボットも参照するFAQは、顧客からの問い合わせに的確に答えるために定期的な整備が大切です。

コールセンターの対応内容によっても変わりますが、顧客からの問い合わせの傾向と適切な回答例は徐々に変わるものであり、見直しをしていないと素早い回答には適さないFAQになっている可能性があります。顧客が問い合わせをしてきた目的である「コールリーズン」を分析し適切にFAQを整備、FAQやチャットボットの利用状況や検索結果のヒット具合なども分析し、検索性などをオペレーターの意見も取り入れて使いやすさを突き詰めていくことも有効です。

絶対につながるコールセンターを目指して

多くのコールセンターが顧客の課題を解決するためにさまざまな取り組みを進めていますが、未だに「コールセンターはつながらない」という印象を持っている層は一定数存在します。放棄呼をゼロにすることは難しくても、できるだけゼロにすることを目指し、応対時間の短縮を目指してみてください。

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