コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

コンタクトセンター運営のポイント 第31回:企業内を横断する統合CRMの価値

その31:コールセンターの価値を向上させるには

CRMの必要性

日本には古くから「お得意さん」「ご贔屓さん」という言葉があります。CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)という言葉自体はこの10年ほどで広まったものですが、日本人にとって顧客を管理し大事にするという概念そのものは古くから存在しており、CRMが普及してきたのは自然な流れなのかもしれません。
企業におけるCRMの必要性は?と問われればいろいろ考えてしまうかもしれませんが、お得意さんを大事にする、お得意さんを作っていく必要性は?と問われれば、誰もが必要と考えるのではないかと思います。
CRMの必要性についていろいろ考えてしまう理由として、CRMと呼ばれるソリューション分野があまりにも多岐にわたることがあげられます。
実際にCRMと称して提供されるソリューションとしては、カスタマサポート、営業支援、マーケティングオートメーションなど、実に広範囲にわたります。さらには自社との取引有無を問わず、不特定多数をターゲットとするソーシャルCRMと呼ばれるソリューションまで登場しています。
CRMとしてのソリューションがあまりにも広範囲に存在するため、CRMの必要性は?と問われた際に即答しづらいのです。

CRMの狙い

CRMの狙いを端的に表した言葉として、『LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化』というものがあります。これは見事にCRMを言い表した言葉です。
このLTVの最大化という目標と、実際に提供されるソリューションの関係は、アドラー心理学で長期的な目的(=Goal)と、短期的な目標(=Purpose)を使い分けていることに似ているかもしれません。
最終目的であるLTVの最大化を達成するためには、コールセンター、営業、店舗、保守サポートなど、各顧客接点で目標を設定し、それぞれが最大の成果を出していくことが求められます。

コールセンターにおけるCRMとは

最終ゴールとしては『LTVの最大化』が目標であるにも関わらず、部門毎に割り当てられた目標が、あたかも最終ゴールのような錯覚を起こしている、そんなケースがみられます。いわゆる『手段の目的化』です。
コールセンターでは、特にその傾向が強いように感じます。
その理由のひとつとしてお客様相談室のようなコールセンターは、コールセンターとしての売上が存在しないため企業におけるコストセンターとして扱われ、ROI(Return On Investment:投資対効果)を説明することが難しい点があります。
ROIを示すKPI(key performance indicator/重要業績評価指標)を明確にすることができないため、代わりにCS(Customer Satisfaction:顧客満足度)を経営に貢献する指標として掲げるケースが多いようです。
CS向上が企業イメージアップに貢献し、顧客ロイヤルティを醸成することには恐らく異論はなく、経営に対して好影響を与える点ではコンセンサスは得られます。ただそれを定量的に示すことが難しいのです。結局のところ、最終的な目的に対して、部門として明快に説明できるKPIを設定できない、ここにコールセンターのジレンマがあります。

コールセンターの価値は?

あらためてコールセンターの価値を考えてみましょう。
顧客へ有益な情報を提供する、問い合わせに真摯に対応することで顧客ロイヤルティを醸成するといったCS向上の価値は、疑う余地はありません。問題はCS向上がROIに直結できるのか、という別の課題に直面していること。
でもよく考えてみると、これはコールセンターとして想定している業務を中心に考えているからではないでしょうか。
もう少し多角的に、コールセンターの業務内容、およびインプット・アウトプット以外のところから、違う目線で考えてみることも必要です。
通常のコールセンターであれば、隠れた財産を持っています。それはお客様と会話した記録でもあるVOC(Voice Of Customer:顧客の声)です。
一般的にコールセンターではVOCを、今後の問い合わせに対するFAQを充実させること、応対に関してクレームがあった場合に再確認すること、オペレーターの教育材料とすることなど、コールセンターの効率化や応対品質の向上といった目的で利用します。
ですが目線を変えて他部門から見た場合、VOCには、製品やサービスの見直し、新たなビジネスチャンスへのヒントが隠れており、使い方一つで利益を生む財産になります。
また昨今は、コールセンターへ連絡してきたお客様の話を営業部門や保守部門など、ほかの顧客接点と共有することでお客様へのサービスレベルを向上させようという取組みもあります(オムニチャネル戦略と呼ばれます)。
いずれにせよコールセンター、およびコールセンターが保有する情報を他部門(プロフィットセンター)とシームレスに連携し活用していくことが今後のコールセンターに求められる機能であり価値になると考えられます。

部門の壁

このように、部門を横断したCRMソリューションを、統合CRMと呼びます。
統合CRMを導入すると、すべての顧客接点、営業活動からマーケティング状況まで1つのシステムで管理し、情報を見通すことができるようになります。
しかしながら、実際に情報共有化をご提案しても、部門単位でシステムを見直しているケースが多く、会社全体としてのシステムをご判断いただけないことが多くあります。
実際に接するお客様が同じなのに、部門毎にシステムを構築し、部門毎にお客様を管理している、これが現実かもしれません。
特にお客様窓口のようなコールセンターでは、他部門との間に壁があるケースが多いように感じます。
企業におけるお客様窓口は利益を期待しないコストセンターであり、営業などそのほかの顧客接点がプロフィットセンターであるため、システム投資に対する判断基準が異なっていることも少なからず影響しているかもしれません。費用対効果やシステム耐用期限のタイミングなど考えると、判断が難しい面もありますが、最初に経営が統合CRM導入を決断し、全社プロジェクトとして部門を横断したシステムリプレースを推進することができれば、この課題は一気に解決し、部門によらず会社としてお客様と接することができるようになります。

統合CRMへ向けて

一度に全社展開することが難しいのであれば、将来部門を横断して拡張することが可能なソリューションを選択することも一案です。たとえばMicrosoft社Dynamics CRMであれば、営業支援、カスタマサポートなどの機能が最初から組み込まれています。営業部やサポート部門などを部門毎に導入しておいて、各部門がDynamics CRMで統一されたところで各部門のデータや運用を連携するといったことも可能です。
enjoy.CRMⅢはコールセンターとしての機能を豊富に持つだけでなく、Dynamics CRM上で動作しますので、将来的に営業部門、保守サポート部門もDynamics CRMを導入すればスムーズに統合CRMを実現することができます。
統合CRMを実現すればオムニチャネル戦略はもちろんのこと、いまコールセンター内で眠っているVOCを全社的にフル活用し、新たなビジネス、製品・サービスの開発・改良など、企業に多大な効果をもたらすことになり、企業におけるコールセンターの価値を向上させることができます。

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