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コンタクトセンター運営のポイント 第92回:コールセンターの品質を測る3つの指標の考え方と調査方法

その92 コールセンターの品質を測る3つの指標とは

事業内容を客観的に評価するためには、その事業に合った評価指標を用います。コールセンターにおいてはC-SATやNPS®、CESなどがあり、これらの評価指標から改善や成長のための具体的な策を立てていきます。今回は、これら3つの評価指標について概要や具体的な調査方法などをご紹介します。

顧客満足度を客観的な数値で追う重要性

BtoCかBtoBかに関わらず、顧客に商品やサービスを購入してもらう活動を行っている企業にとって、顧客満足度は重要な指標のひとつです。どれだけ商品やサービスに満足してもらっているかによって、今後の成長が大きく左右されます。

顧客満足度を維持したり向上させたりするために重要なポジションにあるのが、コールセンターです。問い合わせの電話を受け付けるコールセンターには、自力では課題を解決できない顧客が最後に頼る砦としての役割があり、コールセンターの対応によってファンが増えることも離脱が増えることもあります。そのため、コールセンターの応対品質においてもどれだけの満足度を得られているかが重要であり、その満足度を数値で客観的に知ることで今後の改善や成長につなげることができます。

顧客満足度の数値化でよく知られているのは、C-SAT、NPS®、CESの3つです。以下、それぞれの指標についてご紹介します。

伝統的な評価指標「C-SAT」

コールセンターの評価指標として最もよく使われているのが、「Customer SATisfaction(顧客満足度)」の頭文字を取った「C-SAT」です。C-SAT自体は決められたフレームワークを指した言葉ではなく、訳すると「顧客満足度」となるように、顧客満足度を測るために作られた評価方法を大きくまとめた言葉となります。つまり、あるコールセンターで独自に作った評価方法もC-SATの1つです。

C-SATでは、1つあるいは複数の設問を用意し、1~5までなどの段階で評価をしてもらい集計を行います。設問は「オペレーターの対応は満足できるものでしたか?」のような形で用意し、そのサービスを受けて、コールセンターの場合は電話対応やメール対応を受けてどれだけ満足しているかを回答してもらいます。

C-SATは、継続的に集計することでコールセンターの応対品質を客観的に測れるようになります。C-SATが下がればどのような要因で下がったのかを調査し、C-SATが上がれば何が良かったのかを分析して今後に活かすことが可能です。なお、コールセンター全体の評価を平均して数値化するC-SATだと顧客満足度が極端に低いケースまでを把握することは難しいため、個々のオペレーターのモニタリングなども併せて行うことが重要です。

C-SATはコールセンターで伝統的に使用されてきた評価指標であり、次にご紹介するNPS®が流行した時期にはNPS®のほうがC-SATより優れているという見方もありましたが、現在でも多くのコールセンターがC-SATを有効な評価指標だとして使用しています。

今後の成長の可能性を測る「NPS®」

調査対象の潜在的な満足度を測るために使用されるのが、「Net Promotor Score®」です。NPS®は顧客ロイヤルティと相関関係にあると言われており、NPS®が高ければその企業やブランドが今後成長する可能性が高くなります。

NPS®の調査でもいくつかの設問を用意しますが、1問目は必ず以下のような内容の設問にし、0~10の11段階で評価してもらいます。

「この商品を友人や知人に勧める可能性はどのくらいありますか?」
この質問の意図は、自分が満足したかどうかではなく、さらに周りの人にも勧めるかどうかを聞くことでその商品が今後も使用され続けるかを測ることにあります。その商品の将来性を測ることから、顧客ロイヤルティと相関性があり、成長度合いをある程度知ることができるのです。この質問は調査対象によりアレンジを行い、たとえばビジネス向けのサービスを取り扱っている場合は「今回ご利用いただいたサービスを友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか?」となります。

NPS®の算出方法はシンプルです。まずは集まった回答のうち、0~6をつけた回答を「批判者」、7~8をつけた回答を「中立者」、9~10をつけた回答を「推奨者」に分類します。次に、それぞれの分類の割合をパーセンテージで出します。「推奨者」から「批判者」の割合を引いた数値が、スコアです。

たとえば、回答が200サンプルあり、批判者が80、中立者が60、推奨者が60という割合だったとします。この場合、割合はそれぞれ40%、30%、30%です。推奨者の30%から批判者の40%を引いた「-10」が、この場合のスコアとなります。NPS®では、全ての回答者が9~10を選ぶとスコアが最高の「100」となり、全ての回答者が0~6を選ぶとスコアが最低の「-100」となります。

この1問目に続く設問としては、この点数をつけた理由を記述形式で尋ねるもの、もっと細かい設問を置いて同じように0~10で評価してもらうもの、年齢や利用回数など顧客のセグメントを分けるためのものなどがあります。

NPS®は商品やサービスの成長度合いを測れる重要な評価指標ですが、コールセンター単体の評価を見るには適さないとする見方もあり、C-SATに比べるとコールセンターでの広がりは限定的です。コールセンターの評価で使用する場合は、設問内容を工夫して正確な評価を得られるようにしたり、C-SATとうまく使い分けたりすることが大切です。

不満足の度合いを知る「CES」

顧客が感じた不満足を積極的に知るために使用されるのが、「Customer Effort Score(顧客努力指標)」です。CESでは顧客がどれだけ満足したかではなく、どのくらいの努力を強いられたかを測り、改善するべきポイントを洗い出します。

CESでは、たとえば「このサービスにはどの程度の負担感がありましたか?」「この手続きをするにあたりどの程度大変でしたか?」といった設問を用意し、一般的には1~7の7段階で評価してもらいます。

スコアの出し方はNPS®と似ていて、好意的な点数(1~2)の割合から批判的な点数(5~7)の割合を引きます。1~2の割合が40%、3~4の割合が30%、5~7の割合が30%だった場合、CESは「10」です。なお、CESはNPS®ほど厳密に決められているわけではなく、評価の段階は5段階で作成したりNPS®と合わせて11段階で作成したりすることもあります。

CESを集計することで、その商品やサービスがどれだけの不満足を与えているのかを知ることができます。その後の設問を工夫すれば、具体的にどのようなポイントに負担を感じたかを知ることも可能です。C-SATやNPS®でも改善点を探ることはできますが、CESも併せて集計することで顧客が負担を感じる具体的なキーワードを探ることができ、より正確な改善点を見つけられます。

特に継続的に展開している商品やサービスにおいて、より簡単に利用してもらうためにはどうすれば良いか、品質を底上げするにはどこに注力すれば良いかを知るためにCESは適しています。コールセンターにおいては、電話がつながるまでの待ち時間やつながってからの保留時間、言いたいことがオペレーターに1回で伝わるかどうかなどが負担感につながりやすい要素であり、CESを使って測ることで具体的な数値に落とし込むことが可能です。

客観的な数値から成長の糸口を見つけよう

C-SATやNPS®、CESを駆使することで、商品やサービスの品質を客観的な数値で知ることができます。コールセンターにおいても、これらの評価指標を正しく使用することで応対品質を測り、課題の洗い出しや今後の改善につなげることが可能です。コールセンターの成長のためにどのような数値を追えば良いか分からない場合は、これらの調査を行ってみてください。

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