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コンタクトセンター運営のポイント 第36回:コールセンター内で生まれる「怒り」に対処する

その36:怒りの少ない現場にするためのポイントとは

コールセンターに限ったことではありませんが、仕事をしていると“怒り”を感じてしまうシーンがあります。コールセンターであれば、理不尽なクレームを突きつけられたときなどに怒りの感情が生まれてしまうと考えられます。しかし、怒りは多くの場合、状況を好転させることはありません。顧客との関係性を重視するCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の拠点であるからこそ、コールセンターでは自身の怒りに上手く対処していくことが重要だといえます。ここでは、怒りの性質について、怒りをどう抑えるか、怒りの少ない現場にするためのポイントをご紹介します。

「怒り」が持つ4つの性質

CRMの現場では、顧客のために課題を解決しようと奮闘しますが、その顧客から理不尽なクレームをぶつけてくることがあります。また、コールセンター内での人間関係に悩んでしまうこともあるかもしれません。そういったシーンにおいて怒りは発生しますが、まず怒りとはなんなのかを知らなければ抑えることは難しいといえます。

怒りには、4つの性質があると考えられています。

1つ目は、「高いところから低いところへ流れやすい」というもの。つまり、立場の強い者から立場の弱い者へ怒りの感情が流れていくということです。コールセンターに置き換えてみれば、立場の強い者とは製品の購入者、サービスの利用者であるお客様を指します。お客様の怒りは、製品やサービスの提供側である企業、そしてその企業の窓口であるオペレーターへ流れやすいというわけです。もしくはSV(スーパーバイザー)が立場の強い者、オペレーターが弱い者と捉えることもできます。

2つ目は、「伝染しやすい」というもの。その空間にいるひとりが怒りでイライラした様子でいると、その怒りは周りの人に伝染しやすいという性質があります。一度伝染してしまうと、イライラした空気にまたイライラしてしまい、悪循環に陥ってしまう可能性があります。

3つ目は、「身近な人に対して強くなりやすい」というもの。身近な人というと、たとえば家族を挙げることができます。遠い存在に対しては「怒っても仕方がない」と思うことができても、身近な家族であれば自分が言えば変わると考えてしまいがちです。そこで思い通りにならなかった場合、怒りが強くなってしまうことが考えられます。

4つ目は、「エネルギーに転化することができる」というものです。上記3つはネガティブな性質でしたが、最後のひとつはポジティブなものだといえます。怒りは何も悪い側面だけではなく、原動力にすることで大きなことを成し遂げられるという面もあるのです。

上記の4つの性質について、過去のことを思い返してみると「確かに」と思う方は多いのではないでしょうか。怒りの性質をきちんと理解していれば、今自分はどういう影響を周りに及ぼしているのかが分かるばかりでなく、よい方向へと持っていくこともできるはずです。

怒りをコントロールする2つの方法

怒りを覚えてしまうと、大なり小なり、その瞬間は冷静さを欠いている状態だといえます。顧客にいわれのない理由で怒鳴られたり、部下がひっきりなしにエスカレーションを申し出てきたりなどの状況があれば、ついカッと頭に血がのぼってしまうはずです。逆にいえば、その瞬間さえ乗り切ることができれば、怒りを上手く抑えられるといえます。

怒りをコントロールして自身を律する“アンガーマネジメント”においては、怒りを感じてから6秒間が怒りのピークだと考えられています。どうしても怒りを感じてしまったとき、最初の6秒間をカウントしながら待つことができれば、そうしなかった場合と比べていくらか冷静になっているはずです。

とはいえ、コールセンター業務において、電話応対中に6秒間数えて待つというのはけっこう長いもの。そんなときにおすすめなのが、“怒りの数値化”です。

怒りに限らず感情というのは、本来なら数値に表すことができません。しかしそれを自分なりに数値化してしまうことで、自分の怒りを客観的に見つめることができます。
たとえば、「10」を限度にする測り方があります。もちろん怒りを絶対値として測定することはできませんので、顧客から理不尽なことを言われたときに「今の怒りは5くらいかな」、「今のはこの間より平気だから3くらい」など過去の怒りと比較して相対的に考えることができれば、冷静な応対を維持できるはずです。

以上は、突発的な怒りに対する対処法でした。言い方を変えればその場限りの回避法となり、根本的な解決にはならないケースもあるかもしれません。怒りの感情を根本的にどうにかするには、怒りを”二次的な感情“だと捉える方法があります。

二次的というからには、一次的な感情が存在します。怒りを引き起こす一次的な感情には、悔しさ、悲しさ、不安、悲観、苦痛などが挙げられます。これらの感情がトリガーとなり、怒りを引き起こしてしまうと考えられているわけです。

一次的な感情はすぐさま怒りへつながるのではなく、コップに水がたまるように蓄積されていくこともあります。一つひとつの出来事は小さなことでも、それが継続的に蓄積されていくと、だんだんと我慢が難しくなっていってしまいます。コールセンターはオペレーターにしてもSVにしても強いストレスを受けやすい職場だとされており、一次的な感情が溜まりやすいといえます。コップに水が満杯になるように一次的な感情が蓄積した状態だと、普段は我慢できるような出来事がきっかけでも我慢が難しく怒りを爆発させてしまうことがあるかもしれません。

もし怒りを感じてしまったら、その怒りの根底にある一次的な感情を観察してみてください。そこには怒りになる前の感情、そしてなぜ自分は怒っているのかという理由があるはずなので、問題を解決するためのヒントが見つけられるはずです。
そして、相手に対しては一次的な感情のほうを伝えるようにしましょう。顧客相手には難しいことですが、職場の同僚に対して怒りを覚えることがあれば、怒りをぶつけるより遥かに建設的な会話につなげることができます。

怒りを生まない意外なポイント「姿勢」

「コールセンター内で生まれる怒り」となると、自身の怒りだけでなく、顧客の怒りも想像されます。顧客に怒りの感情を持たれてしまうことはCRMにとってマイナスであり、どうにかして解決する必要があります。また、オペレーターは自身の過失でもないことで謝罪しなければならないこともあり、そこで怒りの感情が生まれてしまうこともあります。

このときに意識したいのは、「顧客がぶつけてくる感情は本当に理不尽なものなのか」という点です。特に会話の途中で突然怒り出してしまった場合には、怒りは二次的な感情であることを思い出してください。怒りが二次的な感情である以上、一次的な感情の原因を探る必要があり、その原因としてオペレーター側の対応に不満があったかもしれないと考えることができます。

ひとつのポイントとして、オペレーターの足の動きに注目してみてください。足は、人の感情が強く表れる部分だといわれています。
もし足を頻繁にブラブラ動かしていたり、前に投げ出していたり、靴やスリッパを半履きにしていたりすれば、それは“退屈”や“欲求不満”を表します。このような心理状態では、顧客の話を話半分に聞いていたり、無意識のうちに失礼な言動をとっていたりするかもしれません。

SVなどの管理の立場であれば、オペレーターを後ろから観察してみることで足の動きがよく分かります。顧客からよくお怒りの電話を受けるオペレーターがいれば、もしかしたら足の動きに表れているかもしれません。
自身のことであれば、自分で観察することはなかなか難しいですが、背筋を伸ばして足を揃えるよう意識することはできます。きれいな姿勢を維持していれば気持ちが引き締まり、声もきちんと出るようになるはずです。

怒りを制して健康的なコールセンターに

コールセンターでは、お客様からの怒りを受ける、その怒りを受けることで自分の中で怒りが生じるなど実にさまざまな怒りが生まれています。顧客の満足度を求めるCRMにおいて、感情的になってしまうのはある程度仕方がないのかもしれません。しかし、怒りを上手にコントロールすることによって日々の業務を大きく改善させることも可能です。
普段、怒りを感じることが多いという方は、ぜひ上記のポイントを実践してみてください。

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