コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

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コンタクトセンター運営のポイント 第57回:コールセンターができる“おもてなし”。高い効果と注意点

その57:コールセンターができる“おもてなし”とは

顧客の視点に立った施策を展開し、顧客満足度を高めていくことはCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)において最も重要な軸となるもの。そのCRMの最前線で顧客と接するコールセンターにおいては、良質な顧客体験を提供することは命題のひとつといえます。ここでは“おもてなし”という観点に立ち、良質な顧客体験を提供し続けるにはどうすればよいかについてご紹介します。旅館でのおもてなし方法やおもてなしが空回ってしまう例についても、ぜひ参考にしてみてください。

コールセンターのおもてなし例

「おもてなし」というと顔と顔を突き合わせた接客というイメージがあり、コールセンターでは想像しづらいかもしれません。確かにコールセンターのオペレーターが顧客と接するのは声だけですが、オペレーターの対応ひとつでその顧客の企業・ブランドに対する印象が大きく左右されることも多く、おもてなしの精神は参考になる部分が多々あります。一つひとつのコールに真剣に向き合い、おもてなしの精神を持って顧客と接することで、事前期待を超えて満足いただけるはずです。

では、具体的にはどのようなおもてなしがあるのでしょうか。
接客という意味では、笑顔がとても重要です。コールセンターでは顔は見えませんが、声には思っている以上に感情が乗るため、PCの前であっても表情に気を抜くことができません。電話に出るときは、顔を合わせているつもりで笑顔になり、ハキハキと声を出すことが大切です。
実際に実践されている例としては、机に小さな鏡を置いておくというものがあります。この鏡は、電話に出る直前の一瞬に自分の表情をチェックするためのもの。常に自分でチェックできることで、おもてなしモードの表情を作れるようになるのです。

どの接客業にもいえることではありますが、コールセンターにおいては体調管理、特に喉の管理もおもてなしの一環です。顧客と顔を合わせないということは、情報のやり取りは声だけで行われるということになります。そこでオペレーターの体調が悪く、声に覇気がなかったりかすれていたりすると、顧客に余計な不安を与えてしまうことになります。喉のケアを中心とした体調管理はきれいで元気な声というおもてなしにつながるため、オペレーター個々人が意識することはもちろん、コールセンター全体で対策する意義があります。

コールセンター業務はオフィス内で完結するものであり相手に姿は見えませんが、身だしなみにも気を使うのも一案です。服装には特に制限を設けないという考えもありますが、顧客からは見えないところでも身だしなみをきちんと整えることで、オペレーター自身の意識を引き締めるという考えもあります。身だしなみに合わせて、業務中の姿勢にも気をつけてみてください。表情によって声が変わるように、猫背や足がブラブラと落ち着かないような状態は声の伝わりやすさに大きく影響します。クレームの減らないオペレーターを観察してみると姿勢が悪く、その姿勢を正してみたら応対品質が上がったというケースもあるほどです。

旅館のおもてなし方法は真似できるか?

優秀とされるコールセンターで実践されていることは、積極的に真似していく価値があります。では、他業種のよい例を参考にするというのはどうでしょうか。おもてなしという言葉を使うなら、旅館の接客が容易に思い浮かびます。旅館の接客もCRM施策の枠内で考えることができるため、よい接客方法はコールセンターでも活用できるかもしれません。

顧客満足度が高い、リピートしたくなる旅館の例を見てみると、一人ひとりに合わせたきめ細やかな対応が取り上げられるケースが多くみられます。たとえば、宿泊客が来館されたときに会話を通して旅の目的を把握し、宿泊客から言われる前に適切なサービスを提供するというもの。分かりやすい例でいえば、誕生日ならケーキを用意する、近隣の観光なら観光マップを用意するなどがあげられます。あるいは採算度外視で、宿泊客から要望があれば入手の難しい銘酒、菓子など名産品を用意するなどのおもてなしもあります。この1回は赤字でも、これは顧客の期待を超えた対応であり、狩野モデルにおける魅力的品質です。このおもてなしに感動した宿泊客はリピーターになる可能性が高くなります。

コールセンターでは「顧客を見ておもてなしを考える」というのは難しいですが、CRMシステムを活用することでそれに近いことができます。CRMシステムに顧客の情報をしっかり蓄積できていれば、2回目以降の接触からはデータを参照してのきめ細やかな対応が可能になります。
また、「こういった顧客はこのような要望を持っている」などのオペレーターの感覚によるものは、定期的にディスカッションを設けるなどしてナレッジとして蓄積しましょう。

旅館におけるおもてなしはすばらしいエピソードを数多く聞くことができますが、これらのおもてなしはそれだけに注力して成り立つものではありません。スタッフがおもてなしに集中して取り組めるようにするには、それ以外の部分を効率化し、おもてなしに注力できるようにする必要があります。
たとえば日々繰り返す作業であれば、作業を効率化できる機械や道具を導入する、設備の配置を見直すなどが考えられます。また仕事以外の面、たとえば通勤や育児の負担に配慮することも一案です。他にも、紙で管理していた部分をデジタルに置き換える、従業員の働きやすい環境を整えるなど、さまざまな取り組みが考えられます。
ITを活用した効率化は、コールセンターでは導入しやすいものです。使いやすいCRMシステムを導入することをはじめ、PCの使用環境を整える、オフィスのレイアウトを工夫する、取り次ぎやエスカレーションといった人と人のコミュニケーションを見直す、などの取り組みでオペレーターのコールへの集中力を高めることができます。もちろん、こういった取り組みは定期的な効果測定と改良が必要です。

おもてなしが期待を超えられないケース

おもてなしの精神で顧客に接することは大切で、顧客満足度向上など大きな効果が期待できます。しかし、おもてなしを提供しているはずが空回ってしまうこともあります。

たとえば、レストランに予約の電話を入れてメニューの相談などする際、誕生祝いや結婚記念日などの理由を話すかもしれません。このとき電話口では「花束など用意しましょうか」と追加サービスの提案をしたとします。こういった対応は立派なおもてなしとなります。一方、この時点で顧客はレストラン側が自分たちのお祝いであることを認識してくれたと理解します。この状態で当日にホールスタッフが事情を知らず「誕生祝ですか?」などと質問してしまうと、事前期待を下回ってしまうこととなりかねません。電話担当者とホールスタッフ間で情報を共有し「本日はおめでとうございます」と話しかけるといった対応が求められます。

大きなレストランであれば、電話担当とホールスタッフの部門は別かもしれませんが、部門を越えていても、顧客からみれば同じレストランです。スタッフ間で情報の共有ができていないと、この例のような対応が実際に起きてしまいます。顧客に抱かせてしまった「誕生日祝いと伝えたので何かあるかもしれない」という事前期待を裏切ってしまうことになるのです。

コールセンター側で行うちょっとした気遣いは、それによって高めた期待を上回る対応につなげなければ途端に無機質なものになってしまいます。つまり、オペレーターは顧客の誕生日を祝いたいという気持ちがあったのではなく、用意するケーキや花束の手配に関心があると思われてしまう可能性があるのです。レストランは特におもてなしが期待される事例なのですべてのコールセンターに当てはまるわけではありませんが、期待させた上でそれを超えられない事態は避けるよう注意が必要です。

顧客に寄り添う心持ちで

コールセンターへ電話をかけてくる顧客は、コールセンターに対する期待や不満、あるいは解決してほしい課題を持っています。これら一つひとつのコールにおもてなしの精神を持って対応することができれば、期待を超える顧客体験を提供することができるはずです。期待を超えられないケースについてはよく注意しつつ、ぜひ上記にてご紹介したポイントを参考にしてみてください。

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