コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

コンタクトセンター運営のポイント 第18回:コールセンターの業績を上げるためのKPI設定の概要

その18:収益に貢献するコールセンターにするためには

更新日:2022年11月1日

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KPIの設定と活用で成長するコールセンターへ

コールセンターは今やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)戦略においてなくてはならない存在であり、重要な顧客接点となっています。しかし、必要だからコールセンターを設置しているものの、業績よりも人件費や経費に着目してしまい、コストセンターと認識されているところもあるのではないでしょうか。一時期は「コールセンターはコストセンターでありプロフィット化を目指す」という考えが浸透しました。しかし現在はコールセンター単独でのプロフィット化ではなく、会社全体の収益に貢献するコールセンターを目指す流れにあります。

では、収益に貢献するコールセンターにするためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
組織を超えて会社に貢献する為には、まずコールセンターとしての業績を確立した上で、他部門と連携しながら、コールセンターのKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を企業としてのKPIへつなげる必要があります。以降では最初の段階である、CRM拠点としてのコールセンターの業績を上げていく方法の中で、全てに先立ってKPI設定を行うことが必要です。

目次

コールセンターの目的に合ったKPIを設定すること

どの企業や組織においても、目的や目標があります。しかしその目的が曖昧な言葉で共有されていると、達成したのかしていないのか、どうすれば改善が可能なのかがわからなくなるので、KPIが設定されます。KPIは必ず定量的な数字で設定され、誰が見ても達成具合がわかるようにしなければなりません。定量的な数字を設定することにより、KPI達成のための道筋がよく見えるようになり、具体的な対策も立てやすくなります。

コールセンターでももちろん、KPIの設定が重要です。CRMというなかなか数字には現れにくい施策を行うコールセンターではありますが、定量的に設定できる方法はいくつかあります。
そこで気をつけたいのは、基本的な方法やトレンドに流されずにKPIを設定したほうがよいという点です。他のコールセンターもこのKPIを設定しているから、などの理由で安易に決めてしまうと、自分たちのコールセンターの本来の目的とは外れてしまい、業績を上げることからは遠ざかってしまいます。また、目的に沿ったKPIを設定しているつもりでも、実は意味の薄いKPIを設定してしまっていたケースもあります。

たとえば、KPIに応答率を設定するケースが考えられます。応答率とはコールセンターへ寄せられた着信のどれくらいをオペレーターが対応できたかという数値で、受電する前に切れてしまう放棄呼が減ることで応答率が上がっていきます。コールセンターに問い合わせをしたいのにつながらない顧客がいるとCRMとしては手落ちなので、コールセンターのKPI設定として応答率は一般的なものです。

しかしそのコールセンターの目的が会員サービスへの入会受け付けとそれに付随するお問い合わせ対応であった場合、KPIとしては適切でない可能性があります。なぜなら、応答率を上げるための正確で素早い案内は、必ずしも顧客のサービスに対する疑問や認識のズレを解決するには至らないからです。
このような例にあったコールセンターでは、顧客の加入意思の度合いをKPIに設定し直した結果、顧客にサービスへ入会していただくために丁寧な課題解決型の対応をするようになり、成績が大幅に伸びたといいます。

このように、自身のコールセンターがどのような目的を持っているのかを考えた上でKPIを設定することが大切です。そうする事で企業のKPIへとつながり、CRM拠点として大きな成長が可能となります。

コールセンターで設定できるKPI

ここでは、コールセンターで設定可能なKPIをいくつか紹介していきます。どれもCRM施策のために活かせるKPIですので、下記を参考にコールセンターの目的と合っているKPIを設定しましょう。

AHT

1つのコールにどれだけの時間を要したかというAHT(Average Handling Time:平均処理時間)はKPIとして設定が可能です。もちろんAHTを短くしていくことが目標として設定され、達成のためにはコールフローの改善だけではなく、後処理を効率化することも有効です。

離職率

コールセンターは離職率が高い現場だといわれており、オペレーターだけでなく、SVも負担の多さから辞めるケースが多く見られます。人員の入れ替わりが多いと安定した生産性やCRMの質を求めることができないので、離職率をKPIとして設定することは有効です。オペレーターやSVが仕事をしやすい環境を作り、意見を発言しやすい職場とすることなどが対策として考えられます。

応答率

応答率は上記に紹介したもので、やはりKPIとしてはスタンダードなものです。応答率を100%にすることで「対応できなかった顧客」をなくすことができるので、コール数が非常に多いコールセンターにおいて有効です。1つのコール時間を短くしていく点ではAHTと同じですが、AHTはどちらかというと応答率に問題がない場合に効率を上げていくために設定されます。

応答率をKPIとして設定する際に頭に入れておきたいのが、ショートアバンダンです。ショートアバンダンは「短時間での放棄」と訳すことができ、この場合は顧客が短い秒数で電話を切ってしまうことを指します。オペレーターにつながる前に切れてしまう電話は全て放棄呼としてカウントされ、応答率が低下していきます。しかし、ショートアバンダンの場合は必ずしも「必要だったのに対応できなかった」というケースではないことが考えられます。たとえば、確認したい書類を忘れたので電話を切って取りに戻った、やっぱりあとで相談することにした、などの理由で顧客が受話器を置くことがあります。こういったコールまで放棄呼としてカウントしていたら正確な数字を出せなくなってしまうので、5秒、あるいは10秒以内の放棄呼は応答率にカウントしないという手法を取ることが可能です。

モニタリングスコア

特にCRMの拠点としての役割を意識するなら、推奨したいKPIはこのモニタリングスコアです。モニタリングスコアはSVなどがオペレーターのコールのモニタリングを行ってそのコール品質を評価するもので、AHTなどと比べて数字には現れにくい部分を可視化することができます。モニタリングを行うことは、オペレーター自身のスキルを測ることができるほか、各オペレーターの対応により顧客がどれだけ満足しているかを見ることにもつながります。オペレーターの対応が顧客満足度につながり、商品の購買数や受注率などにつながれば、喩えAHTは長くてもCRMとして長期的な利益が期待できます。

PDCAを回すこと

KPIを設定したら、定期的にPDCAを回すことが必要です。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Act(改善)の4つのステップからなる仕事の進め方の指標で、常にこの4つのステップを回していくことが成長につながると考えられています。もちろん、CRMにおいても同様です。
顧客と接する機会を持つ業種であれば常にCRMの顧客視点の考え方が必要であり、どうすればCRMが達成ということはありません。だからこそ長期的な戦略を立て、PDCAを回して小さい目標を1つずつクリアしていくことが必要となります。

顧客接点として重要なコールセンターは、CRM戦略においても重要な位置を占めます。そのため、コールセンター内でPDCAを回し、KPIを確実に達成していくことが大切なのです。

CRM拠点を会社の収益に貢献するには

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コールセンターがコストセンターだと揶揄されることが多かったのは、その成果がなかなか見えづらかったからです。CRMの視点がベースに置かれている現代においては、確実なロイヤルカスタマーの育成と長期的なブランディングが企業の売り上げ、成長に深く関わってきます。その前線であるコールセンターが適切なKPIを設定し、達成し、企業としてのKPI達成ができれば企業の大きな財産ともなりえます。

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