コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

コンタクトセンター運営のポイント 第14回:カスタマー・エクスペリエンスを起こせるコールセンターを作る

その14:顧客の関心を引き寄せるためには

企業価値を高めることができるコールセンター

カスタマー・エクスペリエンスは、企業価値を高めていく上で非常に重要だといわれています。カスタマー・エクスペリエンスは「顧客体験」と訳され、特に近年、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)戦略を展開する上で欠かせない概念だとされています。CRMを高いレベルで実現させていくためには、CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)を高めていくことが大切です。多くの顧客に満足いただくためには、商品やサービスの質はもちろん、さらなる付加価値で特別な体験をしていただくことが大きな効果を生み出します。
コールセンターは、カスタマー・エクスペリエンスを起こせる重要な位置にいます。現在、顧客接点はインターネットへ拡大してきていますが、CRMを形作る顧客接点としてコールセンターの重要性が高い事に変わりません。重要な顧客接点であるコールセンターだからこそ、カスタマー・エクスペリエンスを追求できる場所であるといえるのです。
では、カスタマー・エクスペリエンスを起こしていくにはどのようなコールセンター作りが必要になってくるでしょうか。

商品価値よりもカスタマー・エクスペリエンス

顧客の関心を引き寄せるためには、商品やサービスの品質を上げていくことが重要なのは確かです。この場合、ただ質が良いだけではなく、価格に注目する必要があります。質がよくても、価格が吊り合っていなければ顧客の関心は薄くなってしまうことが考えられます。
しかし、市場のトップを走っているような大手企業の商品やサービスを見てみると、競合企業と比べてずば抜けて品質がよいわけではないとわかります。現代では商品価値ばかりを高めるだけに留まらず、付加価値として良いカスタマー・エクスペリエンスを提供することが顧客の高い満足につながるのです。市場のトップを走る企業は、カスタマー・エクスペリエンスを含めたCRM戦略が優れているのだと考えることができます。

CRMにおいて重要な意味を持つカスタマー・エクスペリエンスには、5つの種類があります。ひとつは、視覚や聴覚など五感に訴えかける経験。もうひとつは、嬉しい、気持ちがいいなど感情に訴えかける経験。さらには、知性、あるいは好奇心を刺激する経験。加えて、新しいライフスタイルとの出会い。そして最後に、あるグループや文化に帰属しているという感覚です。
これらカスタマー・エクスペリエンスを、関心を抱いてから購買に至るまで、購買・利用中、そしてアフターサービスに渡って提供することで、高いレベルでCRMを実現することが可能となります。

CRMで重要なのはコールセンターの従業員

コールセンターがカスタマー・エクスペリエンスを起こしていくためには、従業員それぞれが高い能力とモチベーションを持つことがとても大切になります。オペレーターとしてふさわしいマナーや言葉づかいを身につけているというのはもちろんのこと、会社が販売している商品やサービスをよく知り、それらを好きになるなど会社に貢献できる従業員であることが求められるのです。そのような従業員を育成し、コールセンターがCRM戦略を成功させていくためには以下の3つのポイントが重要です。

商品やサービスのファンになってもらう

会社が顧客へ提供している商品やサービスについて、オペレーターはよく知っておく必要があります。最低限のインバウンド業務ができる程度の知識でも仕事は可能かもしれませんが、詳しく知っていればいるほど、その商品やサービスがいかに良いかを顧客へ具体的に説明することができます。
そして、オペレーター自身がファンになることが重要です。「仕事だから説明しなければならないもの」より、「自分が好きなものを説明する」ほうが商品の魅力やサービスの魅力、利用することによるメリットを伝えやすく、カスタマー・エクスペリエンスを起こしやすくなるからです。説明のスキルももちろん必要ですが、まず必要なのは愛着心。商品やサービスへ愛着があれば、説明のスキルを学ぼうというモチベーションも生まれてきます。
すなわち、初期研修の時点でオペレーターに商品やサービスについて詳しく知ってもらうことがCRM戦略において重要となるのです。

会社を好きになってもらう

あるいは帰属意識という言い方もできますが、個々のオペレーターに会社を好きになってもらうことも大切です。会社の代表として電話に出るからには、高い帰属意識と当事者意識が必要となります。なぜなら、コールセンターへ電話をかけてくる顧客は対応しているオペレーターのことをその会社そのものとして考えるからです。

そのために必要なのは、「この会社で働きたい」と思える環境です。この会社だからこその付加価値をつけるのが有効で、たとえば「オペレーターとして高いスキルを身につけることができる」、「CRMの現場のことを多く学べる」などがあります。そのような環境を作るためにはマネージャーなど管理側の役割がとても大きく、またそういったことを直接示していくSVも大きな役割を担っています。

これは、会社が直接コールセンターを運用している場合はもちろんのこと、派遣会社に委託している場合にも同様です。ただ業務の指示を与えるだけではなく、派遣のオペレーターもしっかり育成していく意識が「この会社のために力を尽くしたい」と思ってもらえるコールセンターの風土を作ることにつながります。
加えて、新人オペレーターの指導方法も重要です。コールセンターに配属される従業員には若い世代も多く、世代の違いから指導方法に戸惑いがあるというケースもあります。この場合、指導者には時代に即した方法へ柔軟に対応していく姿勢と、若い人たちを導く強いリーダーシップのふたつが求められます。このふたつを体現することで、CRM拠点として強いコールセンターを作ることが可能となります。

仲間意識やチームワーク力を持ってもらう

会社の従業員として働いていくためには、仲間とのつながりがとても大切になります。気の合う仲間や一緒に楽しく仕事ができる仲間といたほうが仕事の効率が上がることはいうまでもなく、チームであるはずなのにチームとしての雰囲気がなければモチベーションは落ちてしまいます。
コールセンターのオペレーター業務は、基本的には1人の仕事です。そのため電話対応をしている時間は1人ですが、難しいコールがあった際に「周りや上司に遠慮なく頼ることができる」という環境作りをすることや、コールがない時間にオペレーター間でコミュニケーションが取れる雰囲気作りがとても大切です。

ある大手コールセンターが行った調査は、休憩時間などに周りの人とコミュニケーションを取っている時間は受注率に比例する、と報告しています。コールセンターは基本的に1人の仕事だからこそ、仲間とのつながりが大切です。指向性の高いマイクを使用すれば、多少のおしゃべりが顧客へ聞こえてしまうこともありません。空いた時間のコミュニケーションを推奨することは各オペレーターの作業効率の改善につながり、カスタマー・エクスペリエンスを生み出せるCRM拠点を作ることができるといえます。

センター内から作るCRM戦略

以上のように、カスタマー・エクスペリエンスの創出を目指したCRM戦略を組み立てていくためには、コールセンターの内側から変えていく必要があります。オペレーターがモチベーションを高く持ち、会社の代表という当事者意識を持って顧客と接することで、ただのコールセンター業務がCRMの重要な成果を生み出す可能性を持つのです。
コールセンターが生み出すカスタマー・エクスペリエンスを積み重ねることで、顧客に「この会社でなくてはならない」と思ってもらえるようになり、多くのロイヤルカスタマーを生み出すことができます。そしてさらには効果的なブランディングにもつながり、会社が安定的に成長していける土台を作ることができるのです。

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