コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

顧客を中心にコンタクトセンターからDXを実現

コンタクトセンター運営のポイント 第45回:ロールプレイングを最大限に活用するための具体的なポイント

その45:ロールプレイングの重要性やリスクとは

ロールプレイングは、コールセンターのオペレーター研修としてごく一般的なものです。しかし、ロールプレイングによる成果が分かりづらく、研修が上手く活用できていないケースも存在します。ここでは、ロールプレイングの重要性やリスク、効果的なロールプレイングの方法をご紹介します。

なぜロールプレイングが必要なのか

顧客との関係を重視し、良好なカスタマーエクスペリエンスを実現するCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)において、コールセンターは非常に重要な役割を果たします。そのコールセンターにて顧客と接するオペレーターには、どのようなコールであっても顧客の課題を解決するスキルが求められます。そのスキルを醸成するための研修のひとつが、ロールプレイングです。2人1組、あるいは複数人でグループを作って役割を当て、実際のコールを模すことで応対スキルを上げていきます。

ロールプレイングの目的は、主にふたつあります。
ひとつは、実際のコールを想定することでそのオペレーターの現在のスキルや課題点を明らかにし、改善につなげる目的です。これは、オペレーターのスキルアップのためというのが第一ですが、スーパーバイザー(以下、SV)が部下のスキルやオペレーターごとの対応の違いを把握するためにも効果的です。そのため、オペレーターの最初の研修で行う以外に、定期的に実施することにも意義があります。

もうひとつは、オペレーターとしての経験値を貯める目的です。実際に顧客の応対に臨むことが最も経験値になることは間違いありませんが、それでも足りない分やさらに増やしたい分をロールプレイングで補うことができます。オペレーター業務に合わせてロールプレイングを重ねることにより、オペレーターはさまざまなパターンを学ぶことができ、あらゆる顧客に対応できるようになっていくというわけです。

このように、コールセンターがCRM施策を実現していくに当たって重要なロールプレイングですが、やり方によってはオペレーター全体のスキルが低い水準で頭打ちになってしまうリスクも生まれてしまいます。ロールプレイングがリスクとなるのは、どのようなケースが考えられるでしょうか。

オペレーターのスキルが上がりにくいロールプレイング

ロールプレイングを行ったのに思うような効果が出ない場合は、ロールプレイングの目的設定を誤っている可能性が考えられます。

誤った目的設定とは、たとえば自社の商品のよさや故障した場合の対処法が正しく伝えられるか、というものがあげられます。このようにオペレーターの知識面を問うような流れでロールプレイングを評価すると、さまざまな顧客に対応するスキルは上がりにくいといえます。

また、オペレーター同士の1対1のロールプレイングを重視している場合は、大幅な見直しが必要かもしれません。オペレーター同士で互いのよい点・足りない点を指摘し合うことができる1対1のロールプレイングですが、オペレーターの指導能力には限界があることに留意する必要があります。つまり、どこかおかしいと思ってもそれを具体的に指摘することができずに流してしまったり、そもそも重要な課題点を見落としてしまったりというリスクが考えられるのです。

1対1のロールプレイングにおいて、お互いのスキルが未熟だと、相手の応対を見て「安心」してしまうリスクもあります。そうなるとオペレーターの向上心が低くなり、本来目指すべきスキルレベルを見失うため、自主的なスキルアップが生まれにくくなります。

悪いところを指摘し合うことに慣れておらず、悪いと思っても相手に伝えられないというのも想定すべきリスクです。
もちろん、1対1のロールプレイングにもメリットはあり、お互いにきちんと指摘し合うことができれば相乗効果が見込めます。この効果を最大限に引き出すためには、第三者の立場で意見を言うオブザーバーを参加させる、オペレーター同士とは別にSVとのロールプレイングもきちんと設ける、などの対策が効果的です。またロールプレイングを録画しておき、改めて見直しながら意見交換することで、見落としを防ぐことができます。

ロールプレイングでスキルを上げるためのポイント

ロールプレイングは、しっかり行うことでオペレーターのスキルを大きく上げることができます。そのためには、練習だとは思わずに本気で取り組むための工夫が必要です。

まずは、ロールプレイングのシーンを詳細に作り込むことがあげられます。大雑把なシーン設定だと、その経験を実際の応対で活かすことが難しいといえます。顧客の性別から年齢、どのようなコールリーズンか、性格、現時点の感情、商品・コールセンターの利用は何回目かなど、できるだけ詳細に詰めるようにしましょう。そしてそのシーン設定は、もちろんオペレーター役には伝えずに実施します。そうすることで、良質な疑似体験としてロールプレイングをオペレーターの経験値とすることができます。

顧客役の人には演技力が求められることも、忘れてはいけないポイントです。できるだけ本物の顧客のようでなければ、オペレーターにとっての練習にはならないといえます。そのため、顧客役にはSV、難しいなら経験豊富な先輩オペレーターを当てるようにしましょう。もちろん、オペレーター役も含めてやり取りは本気で行わなければなりません。ロールプレイングを仕切っている人は、おざなりな雰囲気が出始めたらすぐに中断し、仕切り直させる必要があります。

多くの経験を蓄積するためという意味では、さまざまなシーン設定を試すという以外に、役割を入れ替えてロールプレイングを行うという方法も効果的です。たとえば、顧客役を新人オペレーターが担当するという変化球を取り入れてみる方法があります。演技力という意味では質が落ちるかもしれませんが、これまでにはないパターンを経験することで新しい気づきが生まれることが期待できます。

フィードバックも、オペレーターのスキルを上げるためには重要です。顧客役やロールプレイングの評価者は、率直なフィードバックをしっかりと伝える必要があります。ただし、改善点をただ伝えるだけではスキルアップにはつながりにくいといえます。オペレーターがモチベーション高く、向上心をもって改善に取り組むためには、よかったポイントも一緒に伝えるのが効果的です。また、改善点を指摘する際も具体的な対策を提示することが大切です。話がききとりにくいからはっきりしゃべるようにという課題の指摘ではなく、口をもっと大きく開いてみてという具体的な指摘のほうが、オペレーターはすぐさま自分のスキルとして取り込むことができます。

ロールプレイング全体の質を上げるためには、ロールプレイングを実施するSVのスキルを上げることも重要です。コールセンターの質は優秀なSVがいるかどうかで決まる、といわれることもある通り、指導能力の高いSVがいればロールプレイングによるオペレーターのスキルアップも大きな伸びしろが期待できます。そのためには、SVのスキルを上げるための研修を受けさせるなどの方法があります。プロ野球では名選手は必ずしも名監督ではないと言われるように、自分ができるということと、それを教えられるということは別物です。同様にオペレーターとして優秀で昇格したSVが必ずしも指導能力も高いとはいえないため、研修の重要性や有用性が増します。

研修を最大限に活かすために

ロールプレイングをはじめ、研修を行っている時間は生産的ではないため、どれだけオペレーターのスキルを上げられるかが重要です。せっかくのロールプレイングの時間を活かすためには、ロールプレイングの進め方についても試行錯誤を重ねてみてください。そうすることでコールセンター全体の底上げを図ることもでき、CRM施策の拠点として大きな役割を果たせるようになるはずです。

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