コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

顧客を中心にコンタクトセンターからDXを実現

コンタクトセンター運営のポイント 第90回:“顧客視点”が鍵を握る、カスタマーエクスペリエンス実現の考え方

その90  良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するためには

さまざまな商品やサービスが溢れ、入手できる情報の量も多くなった現代で競合他社に差をつけるためには、良質なカスタマーエクスペリエンスを実現することが重要です。カスタマーエクスペリエンスは企業全体で追い求めるもので、そのためにはコールセンターが重要な役割を担います。
今回はカスタマーエクスペリエンスの概要と、顧客視点で考えるためのコツや向上のためのポイントについてご紹介します。

企業として追い求めるべきカスタマーエクスペリエンスとは?

カスタマーエクスペリエンスは直訳すると「顧客の体験」となりますが、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の分野では「その商品やサービスの価値以外に、顧客がプラスαで良い経験だと捉える価値」というように説明されます。

商品やサービスが選ばれる理由は、その品質や価格だけではありません。品質が良いことや価格が安いことは確かに魅力ですが、他にも思わぬ嬉しいサービスや所有感、グループに属しているという帰属意識、購入に至るまでのスムーズな流れなど、さまざまな要因により顧客から選ばれることになります。このようなカスタマーエクスペリエンスが優れていると、顧客はまた利用したいと思うようになり、品質や価格では競合他社に劣っていたとしても「勝てる」要因となるのです。

良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、一部門だけが奮闘するだけでは足りず、企業全体で追い求める必要があります。顧客がその商品やサービスを選ぶのは、製品の良さや価格だけでなく、その他の付加価値を総合的に判断した結果だからです。

ただしその中でも、VOC(Voice of Customer:顧客の声)を多く蓄積しているコールセンターは重要な役割を担います。顧客がどのような付加価値を求め、どのような体験を良い価値だと感じるかを分析するためには、コールセンターにある顧客情報が必要不可欠というわけです。

顧客視点で考えるカスタマーエクスペリエンス

良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、顧客からの視点を重視する必要があります。ここでは、カスタマーエクスペリエンスが顧客視点にそっているのかを判断するための3つの視点をご紹介します。

その付加価値は本当に喜ばれるのか?

顧客に喜ばれる付加価値を提供することで商品やサービスを選んでもらえるようになりますが、それが企業からの勝手な目線だと真逆の結果になるケースもあります。たとえば、商品に不具合があった場合にすぐ訪問するサービスを作ったとします。、一見するとうれしいサービスに見えますが、不具合の把握や分析ができないまま訪問したとしても、どのような対応を行うか明確になっていなければ、顧客の課題解決に十分寄与することができません。また、そもそもすぐに訪問するサービスが求められているか、という側面もあるとカスタマーエクスペリエンスを損なってしまうことになりかねません。

このような齟齬をなくすためには、そのカスタマーエクスペリエンスは本当に求められているのか、アンケートや行動観察を通して事前に調査することが重要です。コールセンターに蓄積されているVOCを活用することも、もちろん有効だと言えます。

顧客の体験はチャネルごとに分断されていないか?

顧客がひとつの商品・サービスに関わる際、ほとんどの場合は複数のチャネル(顧客接点)に接しています。購入する際の店頭でのチャネルはもちろん、事前に別の店舗で見ているかもしれませんし、CMやレビューサイトで情報を仕入れている可能性もあります。その後、何かあったときに問い合わせるコールセンターもチャネルのひとつです。これらのチャネルで個々に品質を上げることは、カスタマーエクスペリエンスの向上においては重要ではありません。日本においては、個々のチャネルの品質はそれなりのレベルに達していると考えられるからです。しかしそれぞれのチャネルで連携が取れていないと、思っていたものと違う、担当者や各チャネルごとに言っていることが違う、担当が違うからと対応をたらい回しにされるなど顧客にとって嬉しくない事態を招きます。カスタマーエクスペリエンスにおいては、部門ごとの最適化を行うのではなく、どのチャネルでも同品質の体験を提供できる企業全体で連携した体制を整えることが大切です。

プラスαの体験を意識できているか?

カスタマーエクスペリエンスは、よく似た言葉である顧客満足度(カスタマーサティスファクション)とは異なり、プラスαの体験を提供することが重要です。この違いが認識できていないと、顧客の不満を解決する方向に注力してしまう可能性があります。顧客満足度を向上させるにあたっては課題を見直し改善することが重要ですが、良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するには、競合他社とは違うのだというプラスαを意識することが大切です。

これを提供するには、顧客のニーズを知り、自社の強みを把握し、どんな価値をプラスできるか考える必要があります。明確な答えがない難しい問題ですが、顧客のニーズに合った付加価値を提供できれば、好んで自社商品・サービスを利用してくれるロイヤルカスタマーの育成につなげることが可能です。

カスタマーエクスペリエンス向上のために知っておきたい3つのポイント

カスタマーエクスペリエンスを向上させるには、顧客のことを知り、そのニーズに応えられる体制を作ることが大切です。ここでは、そのために必要な3つのポイントをご紹介します。

カスタマージャーニー

良質なカスタマーエクスペリエンスのためには、どのチャネルにおいても途切れることのない体験を提供することが大切だと上記にてご紹介しました。その流れを知るために有効なのが、カスタマージャーニーです。カスタマージャーニーは顧客がその商品を知り、検討し、購入し、評価する……といった一連の流れを表したもので、これを書き起こしたものをカスタマージャーニーマップと呼びます。その商品やサービスのターゲットがたどるカスタマージャーニーを把握することで、各チャネルにおける体験を統合することが可能です。

カスタマージャーニーについては、当コラムの「第30回:カスタマージャーニーを理解し、コールセンターの役割を見極める」にて詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。

事前期待

良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、そもそも顧客が何を求めているのかを知る必要があります。そのために参考となる考え方が、「事前期待」です。顧客は購入するときやサポートに問い合わせるときなど、何かしらの行動を起こすとき、「きっとこれくらいの結果は得られるだろう」という期待を抱いています。どのような事前期待を抱いているかを知ることで、それを満たし、さらに期待を超えるカスタマーエクスペリエンスを提供することが可能となります。

事前期待の詳しい解説については、「第46回:“事前期待”をカテゴライズし、課題を的確に解決するには」をぜひご覧ください。

コールセンター業務の自動化

顧客のことを知り、どのような体験が求められているかを知っても、それを実現できるだけの体制がなければ実現は困難です。カスタマーエクスペリエンスを実現できるだけの体制づくりや業務改善が必要です。コールセンターにおいては、顧客によりそって対応できる時間をつくりだすために、業務の自動化が例として挙げられます。

業務の自動化を実現するのは、RPAと呼ばれるアプリケーションです。RPAはPCを使った反復的な作業を自動化できるアプリケーションで、オペレーターやSVが担うPC作業を大幅に効率化できます。上手く自動化に成功すれば、オペレーターは顧客の声を聞いて課題を解決に導くことに注力することができ、より正確なVOCを収集できるようになります。また、RPAを使えば入力ミスが減ってより正確な情報を各部署に伝達できるようになるため、カスタマーエクスペリエンスのヒントとなるVOCを企業全体で共有しやすくなります。

RPAによるコールセンター業務の自動化については、「第66回:業務の自動化を目指す“RPA”とコールセンターにおける展望」にて詳しくご紹介しています。

カスタマーエクスペリエンス向上の鍵を握るのはコールセンター

カスタマーエクスペリエンスを向上させるにはさまざまなポイントがありますが、顧客をよく知ることがその第一歩となります。そのため、顧客についての情報が大量に蓄積されているコールセンターは、カスタマーエクスペリエンスにおいてキーとなる存在です。コールセンターが良質な情報を提供できることで、競合他社にはない独自のカスタマーエクスペリエンスを実現できるようになります。

資料請求やデモのお申し込み

  • YouTube

お問い合わせ

お問い合わせ