コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

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コンタクトセンター運営のポイント 第61回:コールセンター運営に欠かせない“ワークフォース・マネジメント”

その61:“ワークフォース・マネジメント”とは

応対品質を向上させて顧客満足度を上げることはCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)における命題のひとつですが、その実現を目指すコールセンターにおいては業務効率化・コストの最適化も同時に求められます。品質と効率の両立をできるようにするマネジメントの代表が、入電数に対して最も効率的な人員配置を割り出す“ワークフォース・マネジメント(WFM)”です。ここでは、コールセンターではぜひ構築したいWFMについてご紹介します。

WFMの必要性とシステム導入により可能なこと

WFMは、必要な業務量をこなすための最適な人員数を特定するためのマネジメントです。さまざまな業界で活用できるマネジメントですが、CRMの最前線であるコールセンターでは導入による効果が特に高いとされています。コールセンターでは必要な業務量、つまり入電数の予測が難しいことと、コストを最適化するためオペレーターの稼働率を上げることが必要なためです。

入電数が予測を上回ると、オペレーターが足りず応答率が下がり、つながらなかった顧客による再コールが増え、AHT(Average Handling Time:平均処理時間)が増えがちになります。このような状況では応対品質の向上も難しく、クレームが減らない状況になればさらに効率を悪くする悪循環に陥ってしまう可能性も考えられます。逆に入電数が予測を下回ると稼働率が落ち、コスト面で大きなロスが出てしまいます。

WFMはこのような状況を解決し、コールセンターとしての品質を向上させうるマネジメントです。うまくマネジメントできれば応答率が上がるなどの効果が現れ、同時に業務の効率化も進められます。

ただし注意しなければならないのは、WFMの目的は目に見える数字を改善させることではないという点です。応答率やAHTは定量的に設定できるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)であるため、その数字のみを追いがちになりますが、そればかりでは応対品質が伴わないケースが考えられます。現在のCRMでは、システムにより顧客を効率的に管理することも必要ですが、それにより一人ひとりの顧客に満足してもらえるサービスを提供することが重要です。WFMは、このCRMの目的を達成させるための方法として位置づけられます。

現在はIT技術の発達により、良質なWFMを実現するためのWFMシステムが多数登場しています。かつては人力で行われていたリソースマネジメントですが、ここに割いていた労力をWFMシステムで代行させることにより、大幅な効率化が可能になります。また、クラウドサービスの普及に伴ってWFMシステムもクラウド化が進んでおり、イニシャルコストを下げて運用開始することも可能になっています。

さまざまなWFMシステムの中でも、得意とする分野は違います。以下にWFMシステムの代表的な機能をご紹介するので、自身のコールセンターの課題を解決するのに必要な機能を探してみてください。

入電数予測からの必要人員予測

コールセンターにおけるWFMの最も基本といえる機能です。この機能では、過去の入電記録をもとに曜日ごと、時間ごと、季節ごとの入電の予測数をコールリーズンごとに算出し、最適なオペレーター数を出すことができます。データ量が豊富なほど予測は正確になり、入電数の多い時間に放棄呼が増える、少ない時間に手持ち無沙汰のオペレーターが増えるなどの状況を最適化できます。

シフト作成機能

入電数予測に基づき、オペレーターのシフトを最適化する機能です。オペレーターのシフト希望を登録した上で、入電数予測やオペレーターの時給、出勤可能日などと照らし合わせて自動でシフトを作成します。入電数予測と合わせて、コールセンター管理者の手間を大きく省ける機能です。

オペレーターのスキル登録

どのオペレーターがどの業務に対応できるのか、を登録する機能です。シフト作成に必要なだけでなく、うまく調整できない場合にはどのスキルを強化すべきかなどが分かりやすくなります。

作業管理、勤怠管理

進行中の作業、終了した作業などを確認することができ、リアルタイムでオペレーターの過不足を把握することができます。併せて従業員の勤怠を管理できる機能があれば、管理者の業務がシンプルになるというメリットがあります。

WFMの有効活用

ここからは、WFMの有効活用による期待効果をご紹介します。

期待される恩恵の一例

入電数や必要人員数の予測は、コールセンターの規模が大きかったり複数の拠点にまたがっていたりすると難しくなります。また、取り扱う商品やサービスが季節性のものであればあるほど、やはり難しくなります。こういうケースほど、WFMが大きな力を発揮します。

リソースマネジメントをExcelで行うケースが散見されますが、大規模なセンターや複数拠点のセンターは、Excelファイルを複数管理し、これをマージして呼量を予測し最適な要員配置を検討します。この場合Excelをマージする作業が大変手間になります。また業務や拠点が分散することで予測の精度があがりにくく、予測を超えた入電があった際の対応も、リソースをうまく活用できずに放棄呼を増やしてしまうことになりかねません。応答率が命題である以上、リソースを増やして対応することになりますが、結果としてコストの最適化に踏み込むことができなくなります。

Excelを用いたリソースマネジメントは人力による部分が大きくなりますが、WFMに特化したシステムを用いればほとんどの部分をシステム任せにすることが可能です。WFMシステムを導入することで、応答率を向上させつつ、コストの最適化の両立が可能になります。

この場合、もう2点の期待効果があります。ひとつは、クレームの大幅な減少です。正確な呼量予測と的確な要員配置により高い応答率を維持することが可能になり、これが顧客のつながりにくいという不満の解消につながります。そして放棄呼を出さぬように慌てて電話応対をすることがなくなり、オペレーター一人ひとりが落ち着いて応対できるようになることが期待できます。つながりにくいというクレームが減ればAHTが減り、放棄呼からの再コールが減るなどのメリットが生まれ、そして応答率が高くなるという好循環へつなげることも可能です。

もうひとつは、人員配置を最適化することによりオペレーターの予定を組みやすくなる期待があります。予定が組みやすくなれば、教育の機会を増やせるようになります。オペレーターには数多くのスキルが求められますが、人員配置がうまくいっていないケースではスキルアップのための時間を確保できないことがあります。またスキルセットを意識した人員配置を行いますので、そのコールセンターにとって不足しているスキルセットも明確になります。WFMは教育のテーマを見つけると同時にその時間を確保し、高い顧客満足度を実現できるオペレーターの育成に役立てることもできるのです。

他業種の導入例

WFMはコールセンターだけのものではなく、変動要素からタスク量を算出し、人員のシフトを決定しますので、他の業種でも活用することが可能です。その活用方法から、コールセンターでの導入のために参考にすることができます。

たとえば小売業では、売り場ごとの担当人数の割り出しや時間ごとの体制の変更などがWFMシステムにより最適化できます。実際に行われている例では、週ごとに担当を振り分けて必要な人員を計算し、時間ごとに一人ひとりのスタッフを最適な場所へ配置するようプランニングされています。これにより、さまざまな業務が存在する小売業においてリソースを余すことなく活用することを可能にしているのです。

この方法をコールセンターへ活かすエッセンスとしては、オペレーターのスキルセットの最適化があります。コールリーズンを分析して浮き彫りになるのが、どのようなコールがどの時間帯に多いか少ないかという傾向です。この傾向を参考にして必要な数のオペレーターをマルチスキル化すれば、時間ごとに細かく区切ってのWFMが可能になります。

WFMでCRM品質の向上を目指そう

コストを切り詰めれば応対品質が下がり、応対品質を上げればコストが上がりがちなコールセンターにおいてWFMは必須のマネジメントともいえます。WFMを導入すれば、ここでご紹介したように最大限の効率化を図りながら応対品質を上げることが可能です。今後はこの分野にもAI導入が進み、より精度が向上していくと考えられます。CRMの最前線であるコールセンターの役割を最大化するためにも、ぜひ効果的に活用してみてください。

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