コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

顧客を中心にコンタクトセンターからDXを実現

コンタクトセンター運営のポイント 第42回:コールセンターにおけるESの具体的な考え方と施策

その42:顧客満足度を向上させる方法とは

コールセンターで顧客満足度を上げていくためには、先に従業員満足度を上げなければならないというのはよくいわれていることです。従業員満足度が上がることで顧客満足度が上がり、コールセンターはCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の拠点としての役割を果たすわけです。
ここでは、従業員満足度の調査方法や向上させる方法など、具体的な部分について踏み込んでいきます。

コールセンターにおけるES

従業員満足度(以下、ES:Employee Satisfaction)は、コールセンターに限らずどの企業においても重要な指標です。従業員が満足して仕事に取り組むことができれば、その企業は高い業績を上げやすくなるといえます。もちろんコールセンターにおいても同様ですが、CRMの拠点たるコールセンターは顧客満足度(以下CS:Customer Satisfaction)が先に重視されてしまうため、ESについては手が回っていないというところも多いのではないでしょうか。

どういうポイントでESが高くなるのかについては、働いている従業員それぞれで異なります。給料が高いために満足する人もいれば、経営者の手腕に期待して仕事に従事している人もいます。また、給料は少なくてもやりがいがあるために続けているという人もいるはずです。コールセンター内でも多くのポイントが存在するわけですが、こと「ESの向上がCSの向上にもつながる」という視点で考えれば、仕事のやりがいの部分でESを上げることが重要といえます。これは、当コラムの第27回「ESの向上を目指すことでCSも相乗的に向上していく」でも論じたことです。

ESが上がればCSも上がるというのは、帰納的に説明できます。優秀なコールセンターを表彰する催しがいくつかあり、そこでは主にCSの高さが評価されますが、そこで高く評価されたコールセンターを見てみるとESも高い傾向にあります。具体的には、管理者があれこれ言わずともオペレーター自身が考えて改善活動を行い、CS向上に努めています。CSの向上のためにオペレーターの主体的な取り組みが必要なのであれば、それにはまずESの向上が必要だといえるわけです。

ここでは仕事のやりがいを取り上げましたが、コールセンターにはいろいろなオペレーターがいるので、ESについては多角的な視点を持つことが大切です。CRMにおいては一人ひとりの顧客に向き合うように、オペレーター一人ひとりに向き合うことがES向上につながると期待できます。

ES調査の具体的な視点

ES向上を目指そうにも、当のオペレーターが何を考えているのかが分からなければ動きようがありません。CRMにおいては顧客がすべての答えを持っているように、管理側が「これなら喜ばれるだろう」と勝手に動くことはリスクが伴います。
ES向上の前には、ES調査が必要です。

ES調査といってもその方法は千差万別なので、まずはES調査を行う目的を考えます。たとえば、以下のような目的があります。

ひとつは、チームワークの形成です。小規模・大規模に関わらず、コールセンターはチームで仕事を進めています。コールセンターの中で小さいチームに分かれている場合も多くあります。電話応対の業務は基本的にひとりですが、よくあるコールリーズンや優秀なコールの共有、ロールプレイングによる研修、単純な励まし合いなど、チームでできることは実にさまざまです。つらいクレーム対応も、このチームメンバーとなら頑張れると奮起できることもあります。チームワークがよくなれば業務が活発化し、ESも高くなることが期待できます。

もうひとつは、福利厚生です。オペレーターの業務や生活を支援する福利厚生は、どのコールセンターにおいても重要な観点です。ほかの業界と単純比較することはできませんが、コールセンターは精神的に負担の大きい職場だとされており、福利厚生の面でサポートすることには大きな意義があります。ただ、もちろん一般において言われているような「こんな福利厚生がいい」というのがすべてのコールセンターに当てはまるわけではありません。オペレーターたちが何を欲しているのか、あるいは何を用意すれば喜んでくれるのか、ES調査で確かめることができます。

そして、管理者の育成です。オペレーター自らが動くことのできるコールセンターがCSを上げると前述しましたが、スーパーバイザーの質がコールセンターの質を決めるといわれることもあるCRMの現場においては、管理者がしっかり管理の責任を果たせることが重要です。

以上の要領でセンターに合った目的を設定したら、それに向かうようにES調査のアンケート項目を作っていきます。以下では、細かいポイントについて何点かご紹介します。

まずは、仕事において不満・不安に思っていることを調査することが考えつきます。しかし、「不満に思っていることはありますか」と漠然な質問ではいけません。きちんと質問事項を考えて選択式にするか、自由記述式でも「業務内容」「コールセンター内の人間関係」「設備面」など細分化しておくようにしましょう。

ES調査を行うタイミングについても、さまざまな工夫が可能です。たとえば、今いるオペレーターに聞くのではなく、退職していくオペレーターに退職の理由を聞くということができます。職場に不満点があって退職したのであればその理由が分かりますし、自身のキャリアアップのための退職だということもありえます。離職率の高さを課題としているコールセンターであれば、退職者の意見は貴重な財産となるはずです。

ES調査は自分たちで質問事項を考えても問題ありませんが、ES調査を行っている企業に依頼する、またはテンプレートを購入するなどの方法もあります。
実際にES調査を行う際にはできるだけ本心を書いてもらうために、事務口調になりすぎないこと・匿名回答にすることなどを検討してみてください。

ESを向上させる3つの例

ES調査を行ってコールセンター内のオペレーターの満足度が分かれば、次に行うのは実際のES向上策です。本当であればES調査の結果を受けて対策を考えるべきですが、例としてここに3つの対策をご紹介します。

仕事のやりがいの面でいえば、経営理念をしっかりと浸透させることが挙げられます。
オペレーターが非正規雇用であれば、経営理念が浸透していない可能性があります。経営理念はその会社やコールセンターが目指すべき方向性を示しているもので、仕事のモチベーションにつながるものです。また、会社やコールセンターとしての目標やオペレーターに何を求めるか、オペレーターにどう成長していって欲しいかなどを伝えることも大切です。

働きやすさやオペレーターのスキルアップの面でいえば、スーパーバイザーの動き方の改善が挙げられます。 スーパーバイザーなど管理する立場にある者は、基本的に余力があることが求められます。管理者のスケジュールが常にいっぱいだと、下の者はいつ相談に行けばいいのか分からないためです。特にスーパーバイザーはエスカレーションなどオペレーターからの挙手を受ける立場にあるので、忙しそうにしていると、オペレーターに「今忙しそうだから」と遠慮されてしまう文化ができあがりかねません。主要な業務を圧迫しているタスクがあるなら、別の者を置く、タスクを振れる組織体制にする必要があります。

業務以外の面でいえば、福利厚生や制度の拡充が挙げられます。
こちらはESを向上させるために分かりやすい手段ですが、制度を整えただけで終わってしまわないよう注意が必要です。たとえば、残業をさせないようなルールを作ったとしても、時間内に終わらないような業務設計にメスを入れなければかえってやりづらくしてしまいます。ほかに、育児休暇の制度の改善は一見とても素晴らしいものですが、「育児休暇を取ってもいい」という雰囲気も同様に作らなければ結局は従業員に負担を負わせることになります。

どのポイントを重視してES向上のための対策を打つかは、そのコールセンターの現状によって異なります。オペレーターの気持ちや考えをできるだけ正確に把握し、多くのオペレーターが前向きに働けるよう対策することが大切です。

CRMの拠点を土台から

CSを向上させることが使命であるコールセンターですが、そのCRM施策の鍵を握るのは一人ひとりのオペレーターです。ESについてしっかり向き合い、高いレベルのCRMを実現する土台を作るようにしましょう。

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