顧客を中心にコンタクトセンターからDXを実現
更新日:2022年9月2日
全社的に顧客対応力と営業力を高めるには、コールセンターと他部署との適切な連携が必要です。顧客対応力を積極的に営業へ活かしていただくために、インバウンド型のコールセンターを運用する際のポイントと、他部署と連携を深めるポイントについてご紹介します。
1.1. コールセンターに求められる2つの役割
1.1.1. 顧客の抱える問題を解決する
1.1.2. 顧客を自社にファンに変える
1.2. 顧客対応力の重要さ
1.2.1. 顧客対応力が自社のブランド力を維持する
1.2.2. 顧客は総合的にブランドを評価する
2.1. ターゲット層のイメージを共有する
2.2. 商品、サービスの改善に活用する
2.3. 共通したソリューションを導入する
3.1. 目的を見直し現場に共有する
3.2. 仕組みを整える
インバウンド型コールセンターで求められる役割と、顧客対応力の関係について紹介します。
インバウンドコールとは、顧客から電話を受けて対応することです。企業の相談窓口として問い合わせやクレームの対応を行い、顧客の抱える問題を解決します。これは従来型のコールセンターに求められていた、一般的なインバウンドコールの役割です。
ですが、現代のインバウンド型コールセンターにおいて、この役割だけでは不十分であり、後述する積極的な価値の追求も必要です。
コールセンターにおいて、顧客に価値を提供して営業利益をあげるのは、企業側から電話をかけるアウトバウンドコールだと思われがちです。しかし、現代ではインバウンドコールも営業利益の貢献に重要な役割を果たすと考えられています。
顧客の立場からすると、アウトバウンドコールは突然かかってくるものです。そのため、顧客は電話口で紹介される内容に興味がなかったり、細かく内容を吟味する心構えができていなかったりする可能性があります。
それに対し、顧客みずから電話を掛けるインバウンドコールは、顧客が商品やサービスに対する興味・関心が高い、つまり顧客との心理的距離が近い状態と言えます。
この心理的な距離の近さを活かすことができれば、たとえばあるサービスに不満を抱いていた顧客を満足させ、他のサービスに興味・関心を持ってもらうというように、自社サービスに不満を抱く顧客を、自社サービスのファンすることが可能なのです。
顧客対応力を向上させ、顧客の満足度を高めることができれば、顧客の企業に対する信頼が高まり、商品の購入、サービスの利用につながります。
反対に顧客対応力が低いと、顧客は不満を増長し、自社のイメージダウンにつながってしまいます。SNSが発達した現代では悪評の拡散が早いため、たった一人の顧客の不満が深刻な自社のイメージダウンを引き起こすのです。
このような理由から、顧客に不満を抱かせない対応がますます重要となっています。
顧客がブランドを評価するとき、商品やサービスの質、説明書の分かりやすさ、それらを販売する営業員の対応、そしてコールセンターの顧客対応力を総合的に見て、感じて、判断します。どこかひとつでも欠けてしまうと、顧客からの信頼が失われてしまいます。
インバウンド型のコールセンターにおいては、顧客がみずから電話を掛けて、自社の抱える問題を教えてくれます。その問題を解決するためには、顧客から問題を正確に抽出し、他部署に伝達・連携して対応しなくてはいけません。
つまり、インバウンド型コールセンターの顧客対応力の高さは、自社のブランドの信頼性を高め、さらなる購買へとつなげるために非常に重要だと言えるのではないでしょうか。
顧客対応の基点であるコールセンターと、他部署の連携を深めるために重要な3つのポイントを紹介します。
ターゲット層が明確でなければ、顧客が何を求めているのかがぼやけてしまいます。特に顧客と深く関わる営業・マーケティング部門とは、密な連携が必要です。互いに顧客情報をフィードバックしつつ、ターゲット層のイメージをより強固にしましょう。そうすることで、コールセンターの電話口で顧客が抱える真の問題を引き出すことにつながります。
問い合わせやクレームの内容を分析すれば、顧客のニーズを深く知ることができます。こうした情報はや営業だけでなく、製造や企画を行う部署にも共有しましょう。寄せられた情報を元に、商品やサービスの質を改善することで総合的に自社のブランド力を上げられます。さらなる効果として、商品、サービスを改善させることで、コールセンターへのクレームや問い合わせ数の減少も期待できます。
各部署で使用するソリューションが共通していなければ、情報が錯綜し、正確かつ素早い連携が取れなくなります。コールセンターと営業部門とで共通して使えるCRMソリューションを導入し、情報を整理して上手く活用できる体制を整えましょう。
情報収集を行い、各部署が連携して顧客満足度の向上を図るために、コールセンターの運用ポイントを改めて押さえましょう。
コールセンターの運用を成功させるためには、なぜコールセンターが必要なのかという目的を現場へに浸透させることが重要です。ただ施策を実行してもPDCAサイクルを上手く回すことはできません。まずは、最も優先すべき目的を明確にしましょう。
目的が定まったら次は目的を達成するための仕組みを整えましょう。そのためには、コールセンターを設置する目的にもとづいた業務フローとKPIの設定が必要です。
具体的には自社が提供するサービスの性質に合わせて、1時間あたりの対応件数(CPH)、平均的な通話時間(ATT)、記録入力などの後処理にかかった時間(ACW)などのKPIを設定して、現場での目標を追いましょう。正しくKPIを設定することで、ただ業務に取り組むのではなく、目的をもたせることができます。
加えて、フィードバックの仕組みを整えることも重要です。KPIを指標にしながら小まめにフィードバックを実施することで、基礎的な顧客対応力を高めましょう。
最後に、リソースにあわせたAI技術の導入を検討しましょう。リソースには限りがあるため、すべての業務に100%の労力を割くことはできません。そこでAI技術を導入することで、たとえば緊急度や重要度に合わせて電話を自動で振り分ける、AIがオペレーターに対して回答候補を表示するなどが可能になり、管理、指導などの工数を減らすことができます。
コールセンターは、顧客と企業が接する顧客対応窓口の代表です。そして、同時に様々な情報が集まる地点でもあります。コールセンターの顧客対応力や情報を、コールセンターだけでしか活用しないのは非常にもったいないと言えます。社内の他部署にも活かして、自社ブランドの価値を高め、新たな顧客を掴みましょう。