コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

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コンタクトセンター運営のポイント 第83回:顧客感動とは対をなす「エフォートレス体験」の重要性と考え方

その83 「エフォートレス体験」の重要性と実現するための方法とは

顧客満足度の向上を目指し、顧客と良好な関係を構築するCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の実践において、コールセンターは重要な役割を担っています。その取り組みの中でも、昨今では特に「事前期待を超える感動を顧客に与えること」が大切だと叫ばれますが、「不快な体験をさせないこと」も同じく重要です。今回は、マイナスの感情を生まないための「エフォートレス体験」についてご紹介します。

顧客に手間をかけさせないエフォートレス体験

「顧客感動」が「コールセンターに問い合わせればこれくらいの結果は得られるだろう」という事前期待にプラスの価値を提供することだとすれば、「エフォートレス体験」はマイナスの感情を感じさせないための考え方です。

ロイヤルカスタマーを醸成するには顧客感動を目指す必要があります。しかし日々の問い合わせの中には多くのマイナスの感情が潜んでおり、これを解決しなければ顧客満足度は向上しません。エフォートレス体験は直訳すれば「努力なしの体験」となり、CRMの現場では「手間のない顧客体験」というニュアンスで捉えることができます。エフォートレス体験を提供できる顧客サポートを行うことで、クレームはもちろん、そうではない問い合わせの中にも潜んでいる「顧客の手間」を減らし、マイナスの感情を抱かせないことが可能となります。

エフォートレスではない体験の例

エフォートレスではない、手間がかかってときには不快な気持ちを生むような体験は、顧客が問い合わせを行う中で多く見受けられます。

たとえば、IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)により数回ボタンを押さなければならないことは、確実に顧客の手間を増やしています。せっかく電話がつながったのに担当部門が違って、さらに電話を転送できずに掛け直さなければならないこともあります。

コールセンターに電話をかけた顧客のうち約70%が「事前にWebサイトを閲覧したが問題が解決しなかった」という調査結果もあります。問い合わせしなくてもいいように作ったWebサイトが役に立っていないとなると、さらには問い合わせ先の電話番号がわかりにくかったりすると、まさしくエフォートレスではない体験だと言えます。

このような顧客の手間をなくそうと思ったとき、どのようなポイントを押さえておくべきかについて、次の項目にてご紹介します。

エフォートレス体験を追求するには?

顧客との接点は企業・組織によってさまざまあり、エフォートレス体験を追求するべきはコールセンターだけではありません。しかしコールセンターにはVOC(Voice Of Customer:顧客の声)が多く集まっており、改善のためのヒントが多く蓄積されているため、コールセンターが主導することで顧客満足度の向上につながるエフォートレス体験を実現できます。

VOCの分析の他には、どれだけエフォートレスな体験を提供できたかという「顧客努力指標」を探ることも有効です。

顧客努力指標

顧客努力指標(Customer Effort Score:CES)では、課題を解決するために顧客がどれだけの手間をかけたかを数値化します。数値化すればどこに問題があるかが誰の目にも分かるようになり、改善のための優先順位をつけることもできます。

顧客努力指標は、電話やメールなどの問い合わせ後、商品の購入後などにアンケート形式で実施するのが一般的です。たとえば、「今日はどれくらい簡単に問題解決ができましたか?」と問いかけ、5段階や7段階で評価してもらうといったアンケートで顧客努力指標が図れます。「私たちは問題を解決する手助けができましたか?」といったYES/NOクエッションで問いかけることも有効ですし、反対に、商品やサービスに基づいてもっと具体的な設問を設けることもおすすめです。

顧客努力指標はコールセンターや顧客サポート全体のKPIとして設定することもできます。コールセンターがどれだけCRMに貢献できているか、顧客接点がどのくらい優しいかを図る指標として、顧客満足度にも大きく響いてくるためおすすめです。

VOCの分析

エフォートレス体験を実現する場合は、課題解決までの間に顧客はどの程度努力をしたのか、どのタッチポイントで顧客に手間をかけたのかを分析します。つまり、コールセンターで行った応対だけでなく、全てのタッチポイントを考慮することが重要なのです。

たとえば、上記にてご紹介した「事前にWebサイトを閲覧したが問題が解決しなかった」という例については、コールセンターへ問い合わせる前にWebサイトというタッチポイントを経由しています。このように、顧客がどのように行動したのかをまず分析します。

そのうえで、この例で言えば、WebサイトのFAQページを改善するという方法が有効だと分かります。コールセンターにはどのような問い合わせが多いかというVOCが蓄積されているので、その件に関してFAQを充実させる、分かりやすい場所に配置する、トップページからの導線を分かりやすくするなどの改善を行い、コールセンターへの問い合わせが減れば、エフォートレス体験を提供できたと言えます。

エフォートレス体験のために改善すべきポイントは顧客との全てのタッチポイントから模索する必要があり、そのための情報はコールセンターにも数多く蓄積されています。エフォートレス体験を実現するためにはコールセンターが先頭に立ち、他部門を巻き込んで進めていくことが重要です。

コールセンターができるエフォートレス体験の例

上記に挙げた例以外にも、コールセンターができるエフォートレス体験は多くあります。

近年多くのコールセンターで導入されているチャットサービスは、エフォートレス体験の好例です。顧客はより手軽なコミュニケーションを求めており、特に若い世代は電話やメールでの問い合わせを避ける傾向があります。Webサイトのチャットフォームから直接質問ができるチャットサービスは手軽さがあり、時間と場所に左右されにくいというメリットもあります。また、テキストになることで電話番号や住所などは正確に伝わりやすく、顧客自身のタイミングで質問を投げられるので「待たされる」という感覚も低減されます。

LINEを活用したコミュニケーションも良質なエフォートレス体験だと言えます。メッセージツールとして広く浸透しているLINEはコミュニケーションの手軽さに優れており、特に「何かあったときの連絡先」よりも「普段のコミュニケーション」に強みがあります。「LINE公式アカウント」の各機能を駆使すれば、商品やサービスに合わせたきめ細かい配慮が可能です。

顧客視点の取り組みを実施することが大切

この記事では、エフォートレス体験を追求する重要性についてご紹介しました。エフォートレス体験でマイナスの感情を取り除くことは重要ですが、まずはVOCを分析して顧客にとって何が有益かを考えることが大切です。コールセンターによっては、エフォートレス体験よりも顧客感動の追求のほうが優先度の高い課題かもしれません。いずれにせよ、コールセンターに蓄積されたVOCを眠らせたままにせず、顧客の体験価値を高めるために活用しましょう。

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