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コールセンター運営のポイント 第71回:【CS・CX・CD】抽象的な用語はセンター内でどう定義し、扱うか?

その71:抽象的な用語の捉え方とは

CSは「顧客満足」あるいは「顧客満足度」を指す言葉で、コールセンター業務においてはごく一般的に使われている用語です。ところが、CDやCXなどの似たような用語もあり、それぞれの意味は抽象的で捉えどころがありません。これらの用語はどのように考え、どのように使用すればいいのでしょうか?ここでは、CSなどの用語がどう解釈されているのか、多角的な視点からご紹介します。用語解釈の一助となれば幸いです。

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抽象的な用語の捉え方

CSやCXなど、コールセンター業務においては「顧客」に関する用語が飛び交います。顧客と向き合うことはコールセンターの専売特許ではなく、これらの用語はビジネスシーンにおいても広く使われているものですが、ここでは分かりやすく「コールセンター用語」と呼ぶことにします。これらのコールセンター用語は当たり前のように使われていますが、実は意味が曖昧で抽象的なものです。インターネット検索で調べてみると、サイトによって全く違う定義をしているケースもあります。つまり、「CSとはこういうことだ」と自分の中で捉えていても、そのことについて会話している相手は違った意味で捉えている可能性があるのです。

なぜ意味が曖昧になってしまったのか、ひとついえるのは、たとえばCSが意味する「顧客満足」が捉えどころのないものだからだと考えられます。顧客が満足しているかどうかは一応数値化が可能ですが、本来は数字だけで表すものではありません。

CSなどのコールセンター用語を使用するときは、ひとつの解釈だけを頼りにするのではなく、その意味を広く捉えるのがおすすめ。その上で、言葉だけを先行させるのではなく、実行性があって目的がはっきりした施策につなげることが大切です。「CSを上げろ」「これからはCXだ」と口に出すだけでは、コールセンターは何も改善しないのです。

抽象的な用語を捉えるに当たり、参考になるのは「CRM」という言葉です。直訳すると「顧客関係管理」を意味する言葉ですが、この言葉が流行った当初は「顧客に関するデータを収集して管理すること」、とりわけそのシステムを指す言葉でした。これで業績が改善するかと思いきや、初期のCRMはおおよそ失敗に終わります。顧客のデータを管理するだけで、その施策は「企業視点」に終始していたためです。

この考え方が見直され、現在は、顧客視点に立って一人ひとりの求めるものを提供するという目的のためにCRMという言葉が使われます。なお、現在もシステムを指す言葉としても使用されています。このように、長年使われている同じ用語でも込められている意味は変わっており、用語そのものよりも「何を目的とするのか」が大切だということが分かります。

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いろいろな用語がある「カスタマー」シリーズ

コールセンター用語の中でも特に類似の用語数が多く、その意味を捉えにくいのは頭に「カスタマー」がつく用語です。企業と顧客の関係として「顧客第一」「顧客目線」が叫ばれている昨今においては、「カスタマー」関連用語が増えていくのは自然なことだといえます。ここでは、CS、CD、CX、CEについてご紹介します。

CS(Customer Satisfaction:顧客満足、顧客満足度)

「カスタマー」シリーズの中では最も浸透している用語です。主に「顧客が商品やサービスに対して満足していること」「商品やサービスに対する顧客の満足の度合い」などの意味で使われており、比較的認識の齟齬が起きにくい用語だといえます。コールセンターにおいても「CSを上げる」ことは至上の命題であり、オペレーターはCSを上げるために応対品質を磨き、SVやマネージャーは体制やシステム、マネジメントを改良します。

CSは、その言葉がどこからどこまでの範囲を指すのかという点で解釈が異なる場合があります。CSは満足度を測るための指標であり、ちょっとした満足も大きな驚きのあった強い満足も同じCSです。一方で、「CSは顧客の事前期待を満たした状態」だという解釈もあり、この解釈では事前期待を大きく上回った場合とは区別されます。

CD(Customer Delight:顧客感動)

CSを「事前期待を満たした状態」だと捉えた場合に、それを上回る体験のことを指す言葉です。「カスタマーディライト」と読み、特に最近登場した言葉ではありませんが、CSよりは知名度がありません。顧客応対においてはしばしば、事前期待を満たすだけでは不十分で、それを超える体験を生むことが重要だといわれます。顧客は期待が満たされたところで、それは当たり前のことだと考えるためです。CDは、当たり前を超えた価値の提供を目指すための言葉だといえます。つまり、少々乱暴な整理をするなら、「CSの上にCDがある」ということです。

ただし、CSもCDも具体的な数値で表すには限界のあるもので、「期待を超える体験」といってもそこに“100点”はありません。顧客に対して常に高い価値を提供することが大切で、そのためにさまざまな施策を打っていくのであれば、CSやCDは本質的には同じことだと捉えることもできます。

仮に本質的には同じものだとすると、CSだけ使っていればいいようにも思えますが、CDという用語には「物語を作る」役割もあります。「顧客満足」「顧客感動」といったとき、言葉としてより響くのは「顧客感動」のほうです。
「事前期待に応えるだけの顧客満足では駄目だ。お客さまにファンになってもらうために、事前期待を超えた顧客感動を提供しよう」
このように言うとモチベーションが上がり、実際にそのようになれば顧客・コールセンター・企業それぞれにとって素晴らしいことだと思えるものです。CDという言葉が示すことのできる「物語性」に期待して、社内・社外向けのスローガンに「ディライト」の言葉を使用する企業もあります。

CX(Customer eXperience:顧客体験、顧客体験価値)

カスタマーシリーズの中でも、多くの解釈があるコールセンター用語です。捉え方によってさまざまな解釈があるため、なかなか実態をつかみにくい言葉だといえます。

「これからはCSではなくCXだ」というような言い方をした場合、CXはCDとほぼ同じような意味を持ちます。つまり、「期待を満たせてうれしい」という心地よさではなく、「そんなことまでしてもらえるんだ!」という驚き(感動)まで引き上げることが大切、という考え方です。そして、顧客の感情を感動にまで引き上げるためには一部門(たとえばコールセンターのみ)では難しいため、企画やマーケティング、営業、実店舗、Web展開、コールセンターなどすべてを含む「全体最適」が重要だともいわれます。CSはコールセンターで追うものだがCXは全体で追うものだ、という考え方です。その具体的な施策として、オムニチャネルがあります。

一方、CXを「良し悪し」から切り離し、「顧客がそこで体験したこと」というフラットなものだと捉える解釈もあります。この場合にCXが指すのは、各タッチポイントで顧客と接触したときに顧客が示す反応です。よいCXが得られればCSが向上するため、よいCXが得られるように頑張り、悪いCXがあった場合は商品やサービスにフィードバックしましょうという考え方をします。「顧客体験」という日本語を直接的に捉えるなら、こちらのほうがシンプルな捉え方だといえるかもしれません。

CE(Customer Engagement:顧客の愛着)

「カスタマー」シリーズには、CEという用語もあります。CEは企業と顧客の継続的でポジティブな関係性を指す言葉で、「顧客ロイヤリティ」という言葉で言い換えることができます。CXがタッチポイントにおける顧客体験で、CSが多くの顧客体験を集計した企業価値の尺度だと捉えたとき、CEはひとりの顧客が企業とどのような関係性を築いているかを指す言葉です。

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センター解釈をオペレーターと共有することが大切

ここまで各コールセンター用語を解説してきましたが、前半で述べたとおり、言葉の意味を知ることよりも知った上でどのような施策を行うのかが重要です。

抽象的で解釈の広いこれらの用語は、ある意味で厄介なものだと感じてしまうこともありますが、コールセンター業務においては避けて通れないものです。また、CDに限らずどの用語にも物語性があり、モチベーションを上げて目標を達成するためには強力な力を持った言葉だともいえます。

コールセンター内では、これらの用語を声高に叫ぶ前にその解釈をきちんと定義し、オペレーターと共有することが大切です。コールセンター内で用語の意味を統一させ、それに沿った目標を設定すれば、オペレーターが迷うことはありません。コールセンターで働く人間すべてが同じ目標を目指すことで、高い顧客満足度を維持することも、良質な顧客感動を生み続けることも可能になります。

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掲げるべきは用語ではなく目標

コールセンター用語、特に頭に「カスタマー」のつく言葉は意味が抽象的でなかなか捉えにくいものです。さまざまな視点からの解釈を知ることができれば、CSやCD、CXなどの言葉が目指すところを認識し、コールセンター内で共有することができます。その上で、用語ばかりを掲げるのではなく、誰もが分かるような具体的な目標を設定することが大切です。

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