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コンタクトセンター運営のポイント 第39回:課題の多いオペレーターをどう育てていくか

その39:課題のあるオペレーターを育てていくには

コールセンターで働くオペレーターには、どうしても仕事の出来具合に差が出てきます。コールセンター全体のお手本となるような優秀なオペレーターもいれば、いくら指導してもミスやトラブルが減らないオペレーターもみられます。多くのスーパーバイザーやコールセンター管理者は、課題の多いオペレーターに悩まされているのではないでしょうか。
ここでは、そういった“下位層”のオペレーターを育てていくにはどうすればいいかについて、いくつかのヒントをご紹介します。

まずはコールセンター全体を見渡すこと

同じことを何度説明しても覚えない、モニタリングスコアが常に低い、二次クレームへの発展やエスカレーションが多い。こういった課題を多く抱え、時間をかけても改善が見られないオペレーターは多くのコールセンターにとって悩みの種です。コールセンターは顧客に満足感を提供するCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の砦であり、人の感情を相手にするため非常にデリケートな職場といえます。一部の下位層のオペレーターがいることでCRMが停滞してしまうのは、避けたいところです。

ただ、そういった成績下位層だけに頭を悩ませていては、コールセンター全体の成長を図ることはできません。まず見るべきは、コールセンターの全体像です。具体的には、そのセンターに合った枠組みを設定し、オペレーター全体を「上位層・中間層・下位層」などのように分類してみます。そうしてみると、伸びしろの大きい中間層が多くいることが分かるはずです。中間層の応対品質や仕事のスキルを底上げすることができれば、コールセンター全体をよくすることができます。

そこで改めて、下位層を見てみます。中間層への注力が大切ではありますが、下位層を切り離したまま放置することはできません。まず考えたいのは、オペレーターごとの差はどのくらいあるかということです。

「平均値を取る」という言葉には便利な響きがありますが、万能ではありません。たとえば、各オペレーターの成績の平均値を取った場合、「普通の人が10人いる」場合と「優秀な人とそうでない人が5人ずついる」場合で同じ数値が出てきます。言わずもがな、コールセンターにおいては後者のほうが圧倒的にリスキーです。

もしも、このオペレーターごとの差がそれほど大きくないのであれば、問題は下位層だけではなくコールセンター全体に広がっている可能性があります。つまり、人の問題ではなくトークスクリプトや設備、職場環境など外的要因も疑われるということです。
差が大きいのであれば、下位層のオペレーター本人、あるいはその周辺環境に問題があると分かります。

このように、まずはコールセンター全体を見渡してみることが、結果的にCRMの砦としての成長につながります。
では、問題が下位層のみにあるらしいと分かった場合、どういった対策が可能でしょうか。

下位層のオペレーターに対する3つの視点

課題の多いオペレーターに対し、その他のオペレーターと同じ指導をした上で「成長がない」と嘆いているのであれば、その視点は改めるべきだといえます。人にはそれぞれの得手不得手、経験してきた領域というバックグラウンドがあるため、すべてのオペレーターが同じ指導で同じレベルに達するわけではないのです。

まず考えるべきは、個々人のバックボーンについてです。コールセンターでオペレーターの経験がある人は、経験はもちろんですが、前職で十分に研修を受けており即戦力となりえます。そうでない人は、たとえば相手との会話におけるマナーや言葉遣いに慣れていない、会話しながらのPC操作が苦手、そもそも説明すべき製品・サービスの知識が十分でないなど、それぞれの課題を持っていると考えられます。どこが得意で、どこが苦手なのかをしっかり見極め、画一的に対応するのではなく、個別にフォローすることが必要です。

他には、評価指標を見直すという方法があります。つまり、現在の評価指標は上位層だけを評価し、その他のオペレーターには優しくないものになっている可能性があるということです。
ひとつの例として挙げられるのは、成績に応じて会社から支払われる・あるいは支給されるインセンティブ。インセンティブの設定はオペレーターのモチベーションを上げるように見えますが、たとえば「成績上位者何名」、「一定以上の成果を出した者」といった条件だと一握りのオペレーターの独壇場となってしまう可能性があります。同じオペレーターだけが得られるインセンティブでは、下位層にいるオペレーターには無縁ですし、諦めの気持ちから逆効果になることすらあり得ます。これをチームごとの評価に切り替える、そのオペレーターのレベルに応じたインセンティブを設定するなどで、個々人のモチベーションは大きく変わるかもしれません。

そして、「問題はもしかしたら指導者のほうにあるのかもしれない」と考えてみることも必要です。極論かもしれませんが、無能な部下がいるのではなく無能な上司がいるだけだという考え方もあります。つまり、課題の多いオペレーターがなかなか成長しないのは指導方法が間違っている可能性も十分にある、ということです。

以下では、成績下位層のオペレーターに対する具体的な指導方法についてご紹介します。

具体的な3つの指導方法

成績の伸びない、もしくはトラブルの減らないオペレーターを中間層にまで引き上げるためには、根気強く指導に取り組む心構えが必要。しかし、がむしゃらに教えるのでは大した効果は見込めず、スーパーバイザーなどの教える側にも大きな負担がかかります。効果的な指導方法を組んだ上で取り組むことが大切です。

まず、「どうすればできるようになるのか」という視点を持つようにします。
指導者から見てみると、成績下位層の「できないところ」にばかり目が行ってしまいがちです。もちろん、なぜできないのかの原因を探ることは大切ですが、「どうすればできるようになるのか」を考えなければ先に進むことはできません。特に、現在できていないオペレーターからすると、スーパーバイザーの「このオペレーターはできない」という気持ちを敏感に感じ取ってモチベーションの低下につながる可能性があります。

次に、こちらの言っていることがオペレーターにきちんと伝わっているかを疑います。
人にはそれぞれ別の学歴・職歴といったバックグラウンドがあるため、ただ指導しているだけならそもそも意味が伝わらない可能性があります。何かの学問の専門家が、同じ専門家と話すのと同じ調子で一般人と会話すれば何ひとつ伝わらないように、コールセンター業務に精通しているスーパーバイザーは、知らないうちに分かりづらい話し方をしているかもしれません。
分かりやすい例として、PCスキルを挙げることができます。これまでにPCを触ったことがない人であれば、「ここの文章をコピペしてここに貼りつけて」という指示すら理解は難しいものです。そういった齟齬に気づかずにいると、そのオペレーターの成長をそこで妨げてしまっていることになります。

そして、スーパーバイザーはそのオペレーターのために「あらかじめ時間を設けておく」ことが大切です。
人に理解力の差があるのは当然で、1度説明しただけで行間まで読める人もいれば、何度説明されてもうまく理解できない人もいます。そういった人を「分からないやつ」と諦めるのではなく、「何度でも質問・相談してね」と質問しやすい状況を作り根気強く付き合うことが大切です。

そのためには、忙しそうな様子を見せないようにすることが大切です。上司や先輩が少しでも忙しそうにしていると、部下や後輩はちょっとした報告もためらってしまいます。常に相談しやすい環境を作り、何度でも話を聞いたり説明したりするようにしましょう。
その具体的な方法として、「あらかじめ時間を設けておく」という方法があるわけです。イレギュラーなタスクだから焦ったり無駄と感じてしまったりするわけで、それが予定されていたものであれば、少なくとも心持ちは穏やかになります。「毎日これくらいの時間はこのオペレーターのために使う」のようにスケジューリングをしてみることが大切です。

課題が減れば大きな財産に

課題の多いオペレーターは確かに悩みの種ですが、「絶対にどうにもならない」というわけではありません。そして、無事に中間層までスキルを引き上げることができれば、単純に戦力が増えるというだけでなく、次に似たようなタイプのオペレーターが来たときに「こうすればいい」というノウハウになります。直近では、オペレーターの採用に悩むケースも多いようです。せっかく雇用することができたオペレーターのスキルを伸ばし、コールセンターをCRMの砦として大きな存在にしてくために、適切な指導に取り組むことが大切です。

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