コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

コンタクトセンター運営のポイント 第2回:クレーム処理の効率化に必要なこと

その2:クレーム対応のポイントとは

クレーム処理の重要性

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)におけるコールセンター業務は、顧客の質問内容に答えたり、保守サービスを提供したり、商品の販売を行ったりするだけではありません。こういった直接、あるいは長期的に利益につながる対応以外にも、クレーム処理もCRMの重要な業務として挙げられます。
クレーム処理は、直接的な利益につながるものではありません。とはいえ、利益にならないからといって、クレーム処理を疎かにすることはできません。クレームの電話をかける顧客はコールセンターのオペレーターと話していると分かってはいても、その企業全体と話をしているという認識であるのが一般的です。そのため間違えた対応をしてしまうと、企業としての信頼を大きく損なうことにもなりえます。さらにいえば、不満を持ちクレームを伝えない顧客よりも、不満をもちクレームを伝える顧客のほうが適切な対応ができれば優良顧客になるというデータもあります。よって、CRMにおいてはクレーム処理もしっかりと行う必要があります。

今回は、CRM施策の一環として、コールセンター全体でクレーム処理にどのように対応していくのかという点についてご紹介します。

数字にとらわれすぎない

一般的な企業では、業務の進捗度合いを確認するため、あるいは目標達成の指標とするために、業務に合わせたKPIが設定されることになります。各コールセンターにおいても、平均処理時間や呼損率など業務の効率化に関連したKPIが設定されています。
もっとも、オペレーターにこの数字のみを共有しているだけではかえって業務効率を低下させている可能性があります。
たとえば、平均処理時間や呼損率というKPIが設定されている場合は、目標を達成するために必要以上に早く通話を切り上げようとして、小さなクレームが大きなクレームへと発展する可能性もあります。
このような問題を防ぐためには、なぜそのKPIが設定されているのかという点をコールセンター全体で共有しておく必要があります。あわせてオペレーターが数字にとらわれすぎないよう、きちんとしたマニュアルやスクリプトを用意することも重要です。
CRMを戦略的に行うには、それぞれ異なる個性を持ったオペレーターがいかにして同一水準の対応を可能とするかという点が重要となります。

クレーム処理に必要な3つのポイント

クレーム処理を行う際にオペレーターが陥りやすいのが、怒りの矛先から逃れようとして顧客が求めていない情報を提供するというものです。このような場合、かえってコールセンター的に問題となる可能性があるため、できる限り避ける必要があります。

その場しのぎの対応を避け、コールセンターにて円滑なクレーム対応を行うためには、以下の3つのポイントが重要になります。

1.「顧客へ伝える情報は、正確なものに限定する」

コールセンターにおいて、嘘や確定的ではない情報を顧客に提供した場合、企業の信頼に大きな悪影響を与える可能性があります。そのため、クレーム対応の際には自身が把握している正確な情報や、担当者に確認が取れている情報のみを伝える必要があります。なお、クレームが一時的に多発している状況であれば、対策の担当者が「伝えるべき情報」をまとめ、コールセンターで共有することで混乱を防ぐことができます。
こういった共有ができていない場合、オペレーターが不確定な情報を話してしまう可能性があるため注意が必要です。

2.「回答・対応内容は、全ての顧客に対して共通したものにする」

これはクレーム処理に限らずコールセンター全般において当てはまることですが、その中でも特にクレーム処理において重要であるといえます。クレームが発生している状況で行う回答、あるいは対応は、全ての顧客に対して同一のものでなければ後に大きな問題となる可能性があります。現在はインターネット環境も充実していることから、企業の失敗やスキャンダルはSNSで瞬時に広がる時代となっています。そのため、たとえば特定の顧客にのみ返金対応をするような特別な対応をしてしまうと、悪評として一気に広まってしまう可能性があります。そうなると、CRM戦略の全体的な失敗となります。

3.「何もできない状況は避ける」

コールセンターへクレームの電話を寄せてきた顧客に対しては、何かしらの回答をすることが望ましいといえます。上述したポイント通りに「正確な情報」のみを伝えようとすると、かえって何も伝えられないというケースも考えられます。この点、「申し訳ありません、今は何も申し上げることができません」との対応で納得いただける顧客であれば問題はありませんが、それでも納得いただけないようであれば、情報を伝えられるようになる時期や、あるいはその情報へのアクセス方法を伝えることが重要です。全ての顧客になんらかの形で納得いただくことが、顧客満足度の、さらにはCRMとしての質の向上につながります。

自社に合ったマニュアルをつくる

コールセンターのマニュアルにはクレーム処理の手順も記載されていますが、電話を受けてから切るまでの一貫した対応や、イレギュラーに対する対応などを細かく記載したマニュアルは少ないといえます。
たとえば一般的なマニュアルでは、ある程度のレベルのクレームまではオペレーターが対応し、一定のレベルを超えた場合はSV(supervisor:管理・監督者)に代わる、といった内容が記載されています。しかしこうした一般的なマニュアルでは、SVが他の対応をしていた場合にオペレーターはどのように対応するべきであるかという点が不明確となっている場合も多くみられます。

普段からクレームの電話が特に多いコールセンターだけではなく、普段はそれほどクレームがないコールセンターであっても、商品やサービスの製造過程に由来する欠陥が見つかったなどの理由によってクレームの電話が大量に寄せられるケースが考えられます。こうした場合、一般的なマニュアルでは対応できない事態も考えられるため、事前にオリジナルのマニュアルを作成しておくことが重要になります。
この点、「SVや他の人の手を借りられない場合」を想定して普段からマニュアルにイレギュラー時の対応を記載しておくことで、イレギュラーが生じた場合でもクレームの処理を円滑に行うことが可能です。
こうした備えにより、充実した顧客対応が可能となります。

クレーム処理術「話を先読みしない」

クレーム処理のために充実したマニュアルを作成して顧客対応の精度を高める場合、具体的な施策や方針を設けておくことが重要となります。ここではその方法の1つとして、「話を先読みしない」という技術をご紹介します。

人は会話において、相手の会話の内容を参考にその後の会話の内容を予想することができます。こうした習慣をコールセンター業務に持ち込んでしまうと、相手の話の内容を誤認し、クレーム内容をより悪化させてしまう可能性があります。
特にクレーム対応が連続している状況であれば、酷似した電話内容が続くので、言葉の端を聞いて「この内容だな」と無意識に判断してしまうことがあります。しかし、実は別の用件だったという可能性もあります。そのため話を先読みし、途中でさえぎって話を進めようとすると「そんな話じゃない」とさらに顧客を怒らせてしまいかねません。
あるいはクレーム以外の理由での問い合わせであったとしても、コールセンター側が異なる意味に誤認してしまうことでクレームへと変わってしまうこともあります。
そのため、手早く通話を切り上げるよりもじっくりと最後まで話を聞いた後に回答・対応することが顧客対応の大きな改善につながることを認識しておくことが重要となります。
こうした施策や方針を明確にすることで、クレームを最小限に抑えることが可能となります。

資料請求やデモのお申し込み

  • YouTube

お問い合わせ

お問い合わせ