コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

コンタクトセンター運営のポイント 第4回:顧客の「納得」につなげるためには、会話の7割を「聞く」に当てる

その4:最適な回答を最短で提供するためには

コンバージョンを意識する

CRM施策において、重要な位置を占めるコールセンター。通販や各種の契約においてコールセンターは売上の要となってくるため、とにかく多くのコール数をこなすことが目標として定められているケースもあります。1人のオペレーターが多くのコールをこなすことで呼損率も減り、人件費を増やすことなく利益を上げることができるという考え方からです。しかし、「数をこなすだけの目標が本当に効果的であるか」という点には注意が必要です。
売上向上のためには、コンバージョンを意識することが重要となります。
コンバージョンとは、一般的にインターネットの分野において使用される言葉で、サイトを訪れたユーザーが購入行動や会員登録など、そのサイトが目標としている行動を起こすことを指します。サイトの訪問数を増やすことでコンバージョンを増やすことができますが、サイトの質を向上させることで訪問数あたりのコンバージョン率を増やすという方法もあります。
CRMの現場であるコールセンターにおいても、コンバージョンの考え方を応用することができます。
現状で呼損率が高いのであれば、オペレーターを増やすという形で対応することができます。これは上記における「訪問数を増やす」に該当する方法ですが、コールセンター運営のコストが増すため、あまり効果的な方法とはいえません。したがって、コール数あたりのコンバージョン数を増やすことが、CRMとしての成功につながるといえます。

「聞く」を意識して「納得」につなげる

コンバージョン率を上げていくためには、「話す」よりも「聞く」を重視することが大切です。
コンバージョン率を上げ、最終的なコールセンターとしての利益が上昇するのであれば、1つのコールにある程度の時間をかけても非効率ではないといえます。こうした時間を顧客の話を聞くことに当てることが効果的であるといえます。コールセンター業務では、目標の達成のためにオペレーターはどうしても会話を急ぎがちです。しかしそれでは顧客の「納得」につなげることができず、顧客満足を目指すCRMの考え方から外れてしまいます。
顧客の質問を受け付ける業務では、その質問内容をよく聞いて正しく理解する必要があります。この場合、顧客は何かしらの情報に関して「分からない」状態なので、質問内容が要領を得ないこともあります。最適な回答を最短で提供するためには、話を最後まで聞き、時には助け舟を出して顧客の質問内容を引き出すことが重要です。聞くプロセスを省略し、「これだろう」という回答をさっさと答えてしまうと、「実は顧客が求めていた回答とは違う」ということもあります。そうすると顧客が違うと感じれば会話に時間がかかり通話時間が長引きますし、いったん顧客が納得しても実際には問題が解決せず再度電話がくるため、結果的に時間のロスとなり、CRMの観点からも不利益となります。
商品の購入や会員サービスへの登録などを受け付ける業務においても、顧客の「納得」は重要です。すでに商品やサービスを利用するつもりで電話してきている場合は、その手続きを事務的に進めるだけでも問題ないと思われがちです。しかし、顧客はその商品やサービスに関するプロフェッショナルではないため、何かしら疑問を残していることがあります。話の内容からそれらを把握し、疑問を解決することができれば、「納得」につながり、次も同じ会社の商品・サービスを利用しようという気持ちにつながります。これにより、CRM施策が長期的に効果を発揮していくことになります。

言いたいことを察し、立ち止まる

「聞く」を重視してCRMの効率を上げていくためには、まず顧客の言いたいことを察する技術が必要です。
多くのコールセンターでは、こうした技術を十分に育成していないことが考えられます。というのも、コストセンターであるコールセンターには、CPC(Cost Per Call)をKPIとして設定するなど心理的に教育の時間を設けにくいことから、KPIを向上するために数を重視しているコールセンターが多いと考えられるためです。放棄呼が発生するとSVが「手短に」と注意を呼びかけるコールセンターも多くあります。確かに放棄呼を出さないことも大切ですが、早く切り上げたがゆえに顧客が「納得」しておらず、再び電話をかけてくるなどのロスにつながる可能性もあります。
このように、数を意識することでオペレーターも話の展開を急いでしまいます。そのため、顧客の疑問を無意識に放置し、勝手に契約手続きへ進んでしまうこともあります。そのコールの録音を後で聞いてみると、明らかに疑問を抱えていると分かる場合も多くあります。こういったケースでは、放棄呼を出す以上にCRMとしての損失につながります。
対策としては、まず顧客の話を最後まで聞くことが挙げられます。「もしかしたらこの内容かもしれない」と感じることがあっても途中で遮らず、真意をきちんと確認してから会話を続けることがCRMには重要となります。また、顧客は言いたいことが上手くまとまらずに沈黙してしまう場合があります。その際にはただ待つだけではなく、タイミングを見て「~についてでしょうか?」といった声掛けを行うことが重要です。
言いたいことを察し、必要に応じて立ち止まることで、顧客の納得につなげることができ、CRMの効率を上げることができます。

よく聞いて、共感する

顧客の話を聞いたら、その内容に共感することが大切です。
ただ機械的に「はい」と返すだけでは無機質な印象を与えてしまいます。もしもそれがクレームの電話であれば、「馬鹿にされている」と思われてしまうかもしれません。話を聞いたらその内容に対して一言、共感のコメントを付けることが大切です。そうすることで、電話をかけた顧客は「聞いてもらえている」と感じ、コールセンターに対して信頼を置くようになります。この信頼が、CRMにおいては重要となります。その際は声に表情を持たせることも大切です。相手の顔が見えなくても、声のトーンなどでどのような感情・表情でいるかは伝わります。「たくさんあるコールのうちの1つ」と考えると、その気持ちが顧客へ伝わってしまう可能性があります。クレームや疑問があれば申し訳ない気持ちを表現し、こちらの説明で顧客が納得すると一緒に喜ぶ、といったような「声の表情」がCRMの成功につながります。
こういった「よく聞いて、共感する」技術を「傾聴力」といいます。
コールセンターに限らずどの分野においても、傾聴力の優れている人と話をすると、気持ちよく話をすることができます。そういった人たちは商談を取りまとめるのが上手であり、プライベートでも多くの信頼を集める傾向にあります。こうした傾聴力は、顧客満足を求めるCRMにおいて必要不可欠なものといえます。
とはいえ、傾聴力は一朝一夕で身につくものではありません。傾聴力を身に付けるために本を読んだりセミナーに参加したりすることはできますが、その理論を実践に活かすためには、トレーニングや実際のコールセンター業務で鍛えていく必要があります。
傾聴力を身につけるための有効なトレーニング方法として、ロールプレイングを挙げることができます。オペレーター側と顧客側に分かれてロールプレイングを行い、互いに評価し合うことで傾聴力を磨いていくことができます。こうした経験を踏まえてコールセンター業務を行えば、おのずと技術が身につき、自然と「顧客に共感する」話し方ができるようになっていきます。
傾聴力で大切なのは、7割を「聞く」に当てることです。前述のとおり、顧客の言いたいことを途中で予測して話を進めてしまうと、そのコールセンター、ひいては企業の信頼を落としていくことになります。この場合、仮にコール数の目標を達成できたとして、CRM的には失敗したといわざるをえません。顧客の話を聞くために立ち止まり、共感し、それから話すことで、「納得」を実現するCRMが可能となります。

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