CX向上を実現するコンタクトセンター向けCRMソリューション
オペレーターの電話対応力が不十分でクレームにうまく対応できない、と悩んでいませんか。クレームを上手に対応すると顧客の潜在的なニーズから商品、サービスの問題点が見つかります。クレームをただの不平、不満と考えるのではなく貴重な意見に変えるためには、オペレーターの電話対応力を向上させることが大切です。
今回は、オペレーターの電話対応力を向上させるポイントと、自社の商品・サービスの改善にどのようにつなげればよいかについてご紹介します。
まず顧客の心情を理解することから始めましょう。クレームの電話があったということは、顧客が商品やサービスに対し不快な思いをしていると言えます。早くクレーム処理を終わらせたいと思いながら対応すると、その気持ちが伝わり、顧客の怒りを買いかねません。
そこで、クレームの電話をする顧客の心情を理解するために、代表的な心情のパターン「困っている」「損したと感じている」「サービスを良くしたい」「機嫌が悪い」の対処法をご説明します。
困っているという心情には、たとえば「説明書通りに設定をしてもパソコンが動かない」といった、商品・サービスが望んでいるとおりにならないという状況です。手順書やマニュアルを確認し、丁寧に対応して適切な解決策を提示しましょう。
この時、事務的な対応をしないよう注意しましょう。顧客は自分で対応できず、やむなく問い合わせをしています。電話を受けた際の対応に心がこもっていないと二重クレームに発展する恐れがあります。
「新商品を購入しようとして店頭に並んだが、整理券が必要で購入できなかった」というようなクレームです。顧客は他の人と同じサービスを受けたい、損をしたくないと考えています。せっかくいらっしゃったのに告知不足や対応不足で対応ができなかったとなると、顧客を失う事態になりかねません。
この対処法は、顧客の損を他の何かで補償することが考えられますが、補償するものをいつも用意できるとは限りません。相手の話をじっくりと聴いて、丁寧にうなずきを返し、「損をした」という気持ちに寄り添うことが大切です。
「サービスを良くしたい」「改善して欲しい」というクレームは、顧客だけでなく元社員や元役員といった組織に近い人からくることもあります。こうした意見をしっかりと受け止めて参考にすることができれば、商品、サービスの質向上に役立ちます。自社のことを考え伝えてくれていると意識して、「教えていただく」という姿勢で対応しましょう。
顧客の心情はその日の気分や時間によって変化します。機嫌が悪い顧客は、言葉尻を捕らえて怒ることがあるので、言葉遣いや声のトーンには細心の注意を払います。相手が急いでいると感じた時は「お時間は大丈夫でしょうか」と配慮するだけでも雰囲気が変わることもあります。
顧客の話す内容から状況を想像して、クレームの内容以外にも丁寧に対応しましょう。
クレーム対応は第一印象が重要です。最初の3分間は顧客の心情を理解して、冷静に話を聞きましょう。顧客は問題解決だけでなく、「気持ちを理解してくれた」「話を聞いてくれた」という理由で納得されることもあります。
電話越しでは相手の表情を伺えないので、「はい」「なるほど」といった相槌を適度に入れて話を聞いている姿勢を伝えてください。話の内容を確認するように、相手の話を繰り返すのも効果的です。
さらに、正しい言葉遣いとクッション言葉を使うことも意識しましょう。正しい言葉遣いは、相手に丁寧な印象を与えます。クッション言葉は「誠に申し訳ありませんが」「お役に立てず心苦しいのですが」などの言葉の前に添えるフレーズで、顧客への思いやりや配慮を示すことができます。
顧客が納得できる解決策を提示するためは、顧客の現状を細かく把握しなければなりません。ここでは、コールセンター業務に必要な事実を確認するポイントと、事実を上手に引き出す質問のテクニックをご紹介します。
事実を確認するときは、「事実を記録する」「メモした事実を整理する」ことが大切です。
クレーム解決に必要な事実は全て記録しましょう。どんな小さなことも記録して、キーワードとなるものをわかりやすく残してください。「いつ」「どこで」「どのようなことに不満があるのか?」「どうしてほしいと感じているのか?」に着目すると、上手く記録できます。
次は記録した内容を整理して、顧客が何を伝えたいのか分析します。時系列順に事実を並べ、因果関係を把握しましょう。
クレーム対応を円滑に進めるためには、顧客が抱えている不満や要望をうまく引き出さなければなりません。そこで役立つのがオープン質問とクローズド質問です。
オープン質問は「具体的にどのようなことでしょうか」というように、顧客に自由に話してもらう方法です。本題からずれやすいというデメリットはありますが、顧客はストレスを感じることなく自分の思いを自由に話すことができるので、顧客の本音を聞き出しやすいというメリットがあります。
クローズド質問は、顧客が「はい」もしくは「いいえ」で答えられるように質問をする方法です。顧客の本音を聞き出しづらいというデメリットがありますが、口数の少ない顧客から話を引き出す、要点を絞って必要な情報だけを聞き出すといった場合に役立ちます。
これらの方法は、顧客のタイプや状況に応じて使い分けましょう。以下にオープン質問とクローズド質問の対応例をご紹介するので、参考にしてください。
クレーム内容の事実が確認できたら、謝罪を行い、解決策を提示しましょう。ここでは、自社に非があった場合と、自社に非がなかった場合の解決策を提示する方法についてご紹介します。
自社に非があった場合、まず謝罪をして規則にそって解決策を伝えましょう。商品の故障のクレームの場合は新しい商品と取り替える、契約内容に誤りが合った場合は正しい契約内容に訂正するなど、状況に合わせた対応が必要です。
解決策を提示するときは、顧客が理解しやすい伝え方を心がけましょう。「時間を明確にする」「数字化する」「結論を先に言う」の3つを意識することで、簡潔な表現でかつ、相手の記憶に残りやすい伝え方ができます。
たとえ、自社に非がなかったとしても「会社の規則ですから」と冷たく突き放すのではなく、顧客の気持ちを考えて丁寧に対応しましょう。慌ててうっかり口を滑らせてしまうこともあるので、落ち着いてゆっくり丁寧に話しましょう。
その際には、業界用語や専門用語を使って話すのは避けましょう。解らない言葉は顧客にとってストレスになり、怒りを増長させます。顧客が理解できる言葉で説明することが大切です。
解決案を提示した後は、「貴重なご意見をありがとうございました」というように丁寧に感謝することで、顧客との信頼関係を修復できます。顧客は「この会社はどんなクレームに対しても丁寧に対応してくれる」「自分の話を聴いてくれる」と感じ、会社に対する満足度が高くなるでしょう。
顧客から得られたクレームの内容は、放置することなく改善へ活用する必要があります。これを繰り返し行うことで、オペレーターの電話対応力が向上するだけでなく、より良い商品、サービスを提供することができるのです。
まず、顧客の声をリストアップし、マニュアルやAI技術の導入によって解決できるもの、オペレーターが臨機応変に対応するべきものとに振り分けましょう。そして、マニュアルを見直したり、ケーススタディとしてチームで振り返りをすることで、電話対応力の向上を図りましょう。
さらに、顧客のクレームから浮き彫りになった商品、サービスの問題点について、企画、製造、営業など他部署に共有し、連携を図ることでサービス改善や新商品、新サービスの開発につながります。
今回は、オペレーターの電話対応力を高めるには、「クレームをする顧客の心情を理解する」「事実を確認する」「誠意をもって解決策を提示する」の3つを身につけることが大切ということを説明しました。電話対応力が向上すると、クレームからお客様のニーズや、商品に対する理解度、サービスの問題点などが見えてきます。
そこからクレームを貴重な意見として受け止めて、上手く活用することができれば、会社の商品、サービスの品質向上につながることでしょう。