コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

顧客を中心にコンタクトセンターからDXを実現

コンタクトセンター運営のポイント 第60回:オペレーターの働きがいを刺激するES向上の取り組みは?

その60:コールセンターでESを上げるためには

顧客が商品やサービスにどれだけ満足しているかを測るCS(Customer Satisfaction:顧客満足度)と対称になるものが、従業員の企業へのロイヤリティを測るES(Employee Satisfaction:従業員満足度)です。従業員がどれだけ満足して働けているかが分かるESは重要視されており、高いESがCSをも高めるともいわれています。では、コールセンターでESを上げるためには具体的にどのような取り組みが有効でしょうか。

コールセンターにおけるES

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の最前線であるコールセンターでは、CSの向上が特に意識されます。CRMの施策自体がCSの向上を大きな目的のひとつとしているためです。その関係で、ESにはなかなか目がいきにくいというのが多くのコールセンターの現状です。しかし、ESを上げることはCSを上げるためにも重要で、従業員が生き生きと働けることで一人ひとりが顧客のために働けるようになります。イコールで結ぶことはできませんが、コールセンターにおいてはESを上げることがCS改善につながるケースが多いのです。ESについては、当コラムの第27回「ESの向上を目指すことでCSも相乗的に向上していく」第42回「コールセンターにおけるESの具体的な考え方と施策」でも論じていますので、ぜひご覧ください。

ES向上の具体的な施策は、本来ならES調査をした上で必要な内容を盛り込んでいくものですが、具体的な改善例は参考になります。以下にご紹介するのは、ES向上に効果があるだろうと見込める施策例です。

オペレーターのモチベーションが上がらないケース

コールセンター内の空気が停滞し、オペレーターのモチベーションがなかなか上がらないというケースがあります。あるいは、立ち上げ時にはみんな活気があったもののいつの間にかマンネリ化してしまった、というケースも考えられます。「オペレーターには笑顔が少なく、顧客満足度も生産性もなかなか上がらずにミスは減らない」という状況は、明らかにESが低い状態だといえます。ESを改善し、停滞した空気を脱するにはどのような施策が有効でしょうか。

このような「オペレーターがどうこう」という話が出るようであれば、オペレーターではなくまずSV(スーパーバイザー)を見るべきだといえます。オペレーター一人ひとりの働きはCRMにおいて確かに重要ですが、一人ひとりがきちんと働けるようになるにはまずSVがその環境作りをしなければなりません。オペレーターのモチベーションが低く、パフォーマンスが上がらない状態はSVに改善のきっかけがあることが多々あるのです。

SVはまず、オペレーターとの接触の機会を増やす必要があります。自分のデスクに座っているのが常であれば、オペレーターの席を歩いて回るように意識することが大切です。そうすることでオペレーター一人ひとりの仕事の様子を知ることができ、オペレーターもSVが近くにいることで何かあったときに話しやすくなります。また、面談の機会を設けることも重要です。SVが評価するための面談ではなく、オペレーターの意見や気持ちを吸い上げるための面談です。

他には、常に目標を打ち出し、それに対して常に評価し続けることもESを上げるためには有効です。マンネリ化などでコールセンター全体が停滞しているのであれば、それは追うべき目標がないからだといえます。SVが中心となって小さな目標を打ち出し続ければ、オペレーターはその目標を目指して業務に取り組むことが可能です。さらに、よいことがあればすぐさまそれを褒め、課題があればすぐさま話し合って解決する流れを作ることで、コールセンター全体で目標を意識できるようになります。

しばしばオペレーターと顧客の間で共感が必要ということが語られますが、オペレーターとSVの間でも共感が必要なのです。

マネジメント層も含めて停滞しているケース

現場だけではなくSVやマネージャーなどのミドルマネジメント層も含めてコールセンターの空気が停滞しており、ES調査をした結果、すべての部署のうちコールセンターが最も低いという結果が出たケースもあるようです。こういったケースでは、会社全体で見てみたときにコールセンターの地位が低いという状況になりがちです。形式だけを見れば経営陣直轄のセンターでも、プロフィットがみえづらい部門であるがゆえ、経営陣がコールセンター運営に事実上関わっていないケースもあるようです。

このようなケースにおいては、トップダウンの意識改革が必要です。経営陣がコールセンターの直属であればきちんと足を運ぶようにし、重要視していることを明確に態度で示すとともにコールセンターが社内において担うべき役割をきちんと伝えます。また、実際に運営をするマネジメント層が迷わないよう話し合いを設け、オペレーターのモチベーションを上げるために分かりやすい評価基準とキャリアプランを設定します。ここでご紹介しているのは参考例ですが、自コールセンターに合わせた改善プランを組むことが大切です。少なくとも重要なのは、トップダウンで意識改革を進めることです。トップが動けばマネージャーやSVが迷いなくマネジメントできるようになり、オペレーターの働きやすさが向上します。

その他の改善例

ESが重要なのはコールセンターだけの話ではなく、他業種で行われている取り組みも参考になることがあります。中でも大手企業が行うES向上の取り組みは模範となるケースもあり、すべては真似できなくても目指すことは可能です。

ES向上を企業全体のプロジェクトとし、さまざまなポイントで改革を行う場合もあります。たとえば、多様な選択肢を与える研修制度の拡充です。将来のキャリアプランを考え厳しい業務を乗り越えていけるだけのスキルを身につけられることは、従業員にとって働きがいが増すことになります。必須の研修の他、自身で選択できる研修を増やすことで、自律的に働けるような環境を構築しています。効果的な研修制度を敷いて従業員のスキルを上げることは、コールセンターでも非常に有効なES向上の手段です。

また、女性が働きやすい環境作りも行われています。具体的には、育児休暇を取りやすくするための各種制度の充実や女性管理職の増加などです。コールセンターでは多くの女性が活躍するため、女性にとって働きやすい環境を作ることには大きな意義があります。

またコールセンター以外の部門の人員を、一定期間コールセンター業務に従事させることでコールセンターの役割を知ってもらい、コールセンターの大切さを認識してもらう方法もあります。実地でコールセンターの大切さを知ることで、社内にある種のリスペクトが生まれ、ESの向上につながることが期待できます。これはコールセンター以外の部門の人員に、顧客の生の声を知ってもらう機会にもなります。

ES優先で走りすぎないように

ES向上は確かに重要なことで、ここまでさまざまな施策例を紹介してきましたが、ひとつ気をつけなければならないのはESが優先になりすぎないという点です。従業員のほうへ目を向けすぎた結果、CSのほうが疎かになってしまうのは本末転倒です。ESが上がればCSも上がりやすいというのはそのとおりですが、働きがいよりも「過ごしやすさ」のほうが勝ってしまったり顧客へ向けた対策につながったりしなければ、その状態は「ぬるま湯」と表現できます。あくまでCSを上げることを前提に、CSを上げることが従業員の働きがいにつながるような施策を打つことが大切です。

たとえば、どのコールセンターでもできることではありませんが、オペレーターが商品やサービスの提供側になってみるという取り組みがあります。オペレーターは企業の代表として電話口に出るため、顧客はその専門家だと思って話しますが、実際には代理です。そこで代理ではなく提供する側になってシミュレーションしてみることで、「顧客のためにがんばろう」と自主的に思えるようなマインドセットが可能になります。商品やサービスによっては、本当に提供する側を体験することもできるかもしれません。

このように、ただESを上げるための施策ではなく、その先にCS向上が見えるような施策を打つことが大切です。

働きがいを高める取り組みを

コールセンターにおけるESを上げるための施策例をご紹介してきました。ES向上のために足りないポイントはコールセンターによって異なるため、まずはES調査が必要ですが、以上の施策もぜひ参考にしてみてください。その際には、CSを置いてきぼりにしないようなES向上を意識してみてください。

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