コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

コンタクトセンター運営のポイント 第9回:コールセンター全体を俯瞰する

その9:CRM施策を成功させるためには

オペレーターに負担をかけていないか

業績が伸びず、どう改善しようかと困っているコールセンターは少なくありません。顧客満足度を高め、企業の収益を向上させるためのCRMにおいてコールセンターは重要な位置を占めており、コールセンター業務を改善することでCRM施策の大きな躍進とすることもできます。その際、注目すべきは「オペレーターに負担をかけていないか」という点です。
昨今、コールセンターにおいては顧客満足度だけでなく、従業員満足度というキーワードを耳にするようになりました。これはオペレーターの定着率の問題への提言だけでなく、よりよいサービスは、よりよい職場環境からという考えです。
コールセンターを単なる電話受け付け業務の場としてしまうと、CRMとして失敗へとつながる可能性があります。なぜなら、コールセンターのオペレーターはその企業の「顔」となるためです。何かの目的があって電話をかけてくる顧客は、「末端のオペレーターだからミスも仕方ない」とは思ってくれません。オペレーターの対応がそのままその企業のイメージとなるため、オペレーターのことをしっかり考えた、コールセンター全体での対策が必要です。
オペレーターのミスが減らなかったり業績が悪かったりするのは、オペレーターの技術不足の可能性もありますが、多くの場合はコールセンターの体制に改善のきっかけがあります。コールセンター全体で業務を改善し、オペレーターのモチベーションが保たれれば、CRM施策を成功させることができます。

全体への対策

まず、コールセンター全体でできる業務改善の例をご紹介します。
マニュアルだけを渡し、機械的に業務をさせている場合にはオペレーターのモチベーションは保てません。また、電話受け付けの技術もなかなか伸びないことが考えられます。顧客満足を目指すCRMでは、オペレーターがやる気にならないと改善行動が困難となります。
コールセンター全体でモチベーションを保つためには、CRM用のKPI設定をきっちり行い、全オペレーターで共有することが大切です。オペレーターの評価基準が勤怠以外にコール数や応対時間しかないようだと、オペレーターは自分の所属する企業が何を目的としてコールセンター業務を行っているのかを把握できません。この点、KPIをしっかり共有することで、オペレーターは主体的に業務内容の改善を行うようになります。全体で1つの目的を共有できれば、チームワークも生まれます。
次に、スクリプトをきちんと整備することが重要です。極端な話をすると、資料もなく「商品の魅力を説明するように」といわれても、それは困難であるといえます。各オペレーターの努力によってある程度は可能だったとしても、コールセンター全体ではバラつきが生じます。これではCRMとして、顧客の信頼を失うことにつながります。
この場合、そのまま読めるように口語にして必要なスクリプトを全てまとめて共有することで、オペレーターの負担を減らしつつコールセンター全体の統一感を得ることができます。
また、必要であれば「必ず使う説明」・「よく使う説明」を付箋に書いてディスプレイの横に貼るなどの細かい対策も共有しておくと、少しずつ効率が良くなります。こういった細かい対策もオペレーター任せにせず、全体で考えていくことで、質の高いCRM施策を構築していくことができます。

成績下位層への対策

コールセンターにおけるCRMでは、「均一された品質」を目指すことが大切です。顧客満足度を考えるとき「100-1=99」ではなく「100-1=0」とさえ言われます。これはたった一つ問題のある対応があっても、全てを失いかねないという喩えです。ある顧客に対しては良い対応をするのに別の顧客には悪い対応をする、ということはあってはならず、そのためにはオペレーター全員の技術をそのコールセンターの定める水準へ引き上げる必要があります。
通常であれば、トレーニングやフィードバックを重ねることによりミスが減り、成績も伸びていきます。しかし、どれだけ教育を行ってもミスが減らず、成績も最初の頃からそれほど変わらないという「下位層」がどうしても現れます。
こうした課題は放置できないものといえます。そこで目を向けたいのは、業務以外の部分に問題がないか、ということです。たとえば職場の人間関係のせいで集中できていないのだとしたら、チームを変えるあるいは席を変える、といった対策ができます。CRM全体を改善するには、オペレーター個々の事情を考えなければならないということです。
あるいは、そのオペレーターがそもそもコールセンター業務に向いていないという場合も多くあります。そうなると改善しようという労力に見合う結果が期待できないので、仕事や部署を異動するような事も考えなければなりません。

成績中間層への対策

CRMのレベルを向上させるのであれば、伸ばすのに労力のかかる下位層より、伸ばしやすい中上位層の改善に注力する方が得策といえます。コールセンター全体の成績も上げやすく、多くのオペレーターのモチベーションを上げることもできます。
一般的に2:6:2の法則と言われるように下位層に分類されるのは下位の20%程度です。また、極めて成績の良い上位層も同じく、20%程度と考えられます。「業務遂行能力は悪くないがもう少し高めてほしい」というレベルの中間層が最も多いので、中間層への対策がコールセンターの水準上げに最も効率がよく、CRM施策のレベルを上げることにもつながります。もちろん「中間層」と決まっているわけではなく、センターによっては、「伸ばしやすい層」を見極めるにはもっと細分化して考える必要があるかもしれません。
こうした伸ばしやすい層への対策は、日常的な品質改善作業が最も大切です。
時間あたりのコール数など以外に、実際の応対技術の評価を行うことが重要です。週一や月一、あるいは四半期に一度などでもいいですが、定期的に行うことが大切です。CRMの質を向上させるためにはコール数をこなすこと以上に、1人ひとりの顧客に満足してもらえるかどうかが重要となります。そのための評価を行うことで、オペレーターも改善へ向けて1人ひとりが努力することができます。
評価を行ったら、そのフィードバックをオペレーターに渡します。その際、出てきた改善点を全て羅列するのはあまり効率的な方法ではありません。改善点を全て伝えるにしても、ポイントを絞って伝えるようにしましょう。「この点を特に改善してほしい、そうするともっと良くなる」というポイントを1つか2つに絞って設定することで、オペレーターは改善しやすくなります。
ただ、フィードバックを行ったからといって、すぐさま改善の効果が見られることは稀であるといえます。その一瞬は改善できても、忙しいコールセンター業務の中ではいつの間にか忘れ、以前のやり方に戻ってしまうためです。そのため、業務中もSVが常に声掛けを行うことが重要となります。オペレーターに何度も意識させることで、徐々に改善が見られるようになります。そうして改善点を1つクリアすることができたら次の改善点を、といったように評価・フィードバック・トレーニングを繰り返していけば、中間層の全員を上位層へ引き上げることも可能です。この繰り返しにより、CRMの質は上がっていきます。

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