CX向上を実現するコンタクトセンター向けCRMソリューション
コールセンターは、企業と顧客をつなぐ重要な場所です。顧客からの問い合わせで得られる情報は商品やサービスの向上に活かすことができ、企業の成長の糧になります。しかしコールセンターマネジメントを疎かにすると、応対品質の低下や顧客満足度の低下、クレームの増加などを招き、コールセンターを効率的に運用することが困難になります。
ここでは、コールセンターの成長に必要な4つの目標やマネジメントのポイントについてご紹介します。
顧客満足度やコール品質の向上はコールセンターにとって重要ですが、達成の道筋が見えにくい目標でもあります。これらの目標を実現するためには、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定して目標を数値化することが大切です。
以下では、コールセンターでKPI指標を設定する上で欠かせない代表的な4つの指標をご紹介します。
応答率は、コールセンターにおける電話のつながりやすさを表した指標のことです。総入電数(着信数)に対してオペレーターが対応した数の割合であり、「対応数÷入電数」で数値を求めます。
応答率が低いことは「電話をかけたのにつながらない」という顧客が多いことを表し、顧客満足度の低下に直結します。この問題を防ぐために、応答率を向上する対策が大切です。
たとえば、顧客からの入電数を過去のデータから事前に予測しておくことで、適切な人員配置によって応答率が向上するほか、コスト削減にもつながります。
一次解決率は、顧客からの最初の電話でコールリーズン(電話した目的)を解決した案件の割合です。何度も電話することなくコールリーズンの解決が早いほど顧客満足度は向上し、商品売上の向上や解約リスクの低下も見込めます。
一次解決率を高めるための代表的な改善策のひとつに、トークスクリプトの改良があげられます。トークスクリプトとは、オペレーターが顧客との会話を円滑に行うために用いるシナリオのことです。新しい商品やサービスを導入したタイミングで更新することはもちろん、1週間ごとや1ヶ月ごとなど定期的に見直しを行いましょう。
平均処理時間は、オペレーターが顧客からの問い合わせを受け、後処理を済ませるまでの時間の平均です。「平均通話時間(ATT/Average Talk Time)+平均後処理時間(ACW/After Call Work)」で数値を求めます。
平均処理時間の短縮は、応答率、人件費、生産性などに好影響を与えます。
コールセンターでは平均処理時間の短縮化が検討課題にあがることが多く、トークスクリプトの刷新やオペレーターの教育を行うなど、時短に向けてさまざまな対策が練られています。しかし、平均処理時間の短縮だけに目を向けると、顧客への応対が早口になる、顧客の反応を待たずに話を進めるなどの、顧客満足度が低下してしまう恐れがあります。コール品質を低下させないためにも、SV(スーパーバイザー)による定期的なモニタリングを実施しましょう。
稼働率は給与時間における顧客対応時間の割合であり、コールセンターの生産性を表しているバロメーターのひとつです。稼働率が高ければ高いほど、オペレーターが給与時間の多くを顧客対応に割いていることを示しています。
稼働率は、高ければ高いほどいいというわけではありません。なぜなら、オペレーターの教育やコールセンター全体への業務連絡を行うためには、非生産時間も確保しなくてはならないからです。特にオペレーターの教育は顧客満足度や生産性にも関わるため、非生産時間を1日あたりどれくらい設けるかをあらかじめ設定し、コールセンターが円滑に運営できる適切な稼働率を目指しましょう。
コールセンターにおけるマネジメントのポイントは、「人」「プロセス」「システム」の3つです。人とプロセスを最適化し、この2つをサポートするシステムをどう運用するかがコールセンターマネジメントの課題となります。
人とプロセスを上手く最適化するためには、コールセンターシステムをいかに活用できるかが重要です。センターの業務内容に合ったシステムを導入・運用できれば、業務が拡大してもスムーズに対応でき、コールセンターの安定的な稼働と成長につながります。
以下では、3つのポイントからコールセンターシステムの機能とそのメリットをご紹介します。
コールセンターシステムは、オペレーターに問い合わせを割り振る「ACD(Automatic Call Distribution:着信呼均等分配)機能」を搭載しています。ACD機能により、顧客からの問い合わせの電話を適切なオペレーターに振り分けて顧客の待ち時間を緩和し、応答率や稼働率を上げることが可能です。
さらに、自動音声で問い合わせの分類を行う「IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)機能」により、コールリーズンに適したオペレーターに電話をつなぐこともできます。問い合わせの内容や難易度に合わせて電話を振り分けるので、保留の時間を減らし、平均処理時間を短縮することが可能です。
「CTI(Computer Telephony Integration)機能」は、電話がかかってきた際に発信者番号を使って顧客の情報を自動的にオペレーターのPC画面に表示したり、画面上の電話番号をクリックするだけで電話発信ができるなど、コンピューターと電話を連携する機能です。オペレーターは電話操作に煩わされず顧客の情報を確認しながら対応ができ、より顧客に寄り添った質の高い応対ができるようになります。
また、「通話モニタリング機能」は、SVなどの第三者が通話内容をモニタリングするためのものです。内容を聞いて後にフィードバックを行ったり、オペレーター自身で解決できない問い合わせを引き継いだりして、応対品質の向上に役立てることができます。
「CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)システム」をコールセンターシステムと連携して過去の問い合わせ履歴や購入履歴などの情報を表示すれば、より効率よい顧客対応を実現できます。対応履歴を蓄積するのに加えて、通話音声のデータを残したり、通話音声をテキスト化してデータ保存したりということが可能です。コールセンターへの問い合わせは、商品やサービスの改善に役立ちます。こうした顧客情報を蓄積し、共有できる体制を整えることが大切です。
システムの導入は、オペレーターが効率よく業務を遂行するために必要です。コールセンターの業務内容に合わせ、最適なシステムの導入を検討しましょう。また、現状のシステムでは課題が解決できないなら、システムの変更や新たなシステムの導入を検討することも大切です。
コールセンターマネジメントでは、現場力の底上げにも注力しましょう。現場の応対品質を上げるには、以下の3つのポイントがあります。
トークスクリプトの作成は、実際に顧客とやり取りを行うSVやオペレーターが行うことが望ましいとされています。オペレーターの使いやすさを追求でき、かつ顧客の課題を適切に解決に導く内容に仕上げられるためです。しかしすべてを現場に任せて確認を怠ると、問題が起きたときの対処が後手になってしまいます。最初の項目でもご紹介したように、トークスクリプトのできがKPIの達成に影響することもあるため、その都度確認やアドバイスを行うことも大切です。
ミステリーコールは、顧客を装って対象となるコールセンターに電話をし、オペレーターの電話対応の仕方などを調査するサービスのことです。オペレーターの話し方や聞き方、回答内容などが適切かを採点してくれるため、自社の電話対応の質を把握できます。加えて、競合他社との比較調査を行うことで、より詳細な課題の洗い出しが可能です。
コールセンターの成長には、SVの育成が欠かせません。SVのスキルによってコールセンターの応対品質が大きく左右されるため、SV自身が成長できるよう十分なサポートを心がけましょう。たとえば、外部の研修やセミナーへ積極的に参加させる、資格取得を支援するなど、SVとしてスキルアップできる環境を整えることが重要です。
さらに、管理職が参加する社内会議に参加させたり、売上の情報を共有したりと、会社視点で現場を見られるように働きかけることも大切です。オペレーターからSVに昇格した場合は特に、オペレーター側に立って物事を判断しがちになります。現場で冷静な判断を下すためにも、会社視点を持つSVの育成は重要課題です。
なお、SVの仕事配分を見直したり、相談に乗る体制を整えたりすることも大切です。現場をまとめることに不安を抱くSVも少なくないため、こまめにコミュニケーションを取りながら人材育成に励みましょう。
コールセンターの成長には、適切なマネジメントが必要です。まずは目標を設定し、それに沿って運用体制を整えましょう。常にPDCAを回し、自社のコールセンターに適した施策を取り入れていくことが大切です。
コールセンターマネジメントを見直す際には、ぜひ上記を参考にしてみてください。