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コールセンター運営のポイント 第66回:業務の自動化を目指す“RPA”とコールセンターにおける展望

その66:業務の自動化を目指す“RPA”とは

近年、ビジネスシーンで急速に注目度を増しているのが、業務の自動化を目指すRPA(Robotic Process Automation:ロボットによる反復作業の自動化)です。国際的にみても日本での普及スピードは非常に速いといわれており、コールセンター業界においても期待が高まっています。では、RPAは具体的に何ができるツールで、今後コールセンターにどのような影響を与えるのでしょうか?

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RPAがもたらす業務内容の変革

パソコンを使って何かの作業をするとき、多くの場合は何かしらの反復的な作業です。この反復作業を自動化し、人ではなくAIによって完了させることを目指したアプリケーションをRPAと呼びます。RPAはパソコンを使った頭脳労働を行うホワイトカラーを対象にしており、コールセンターもRPAのインパクトを受けるとされている業種のひとつです。

RPAの最大の特徴は、定型作業を反復して行える点にあります。簡単な例をあげると、Wordファイルの作業を終えた後に特定のフォルダへ移動させてファイルタイトルをExcelに記入する、という定型作業があったとき、これを自動で行えるようになります。ここでポイントとなるのは、RPAは複数のアプリケーションを横断するということです。さらに複雑な定型作業も記録することができるため、大幅なコスト削減効果が期待されています。

RPAは、工場でライン生産を行うロボットをイメージするとそのメリットを想像しやすいかもしれません。製造業ではロボットによるライン生産がごく一般的であり、人間が行うよりも遥かに素早く、遥かに正確な作業を可能にしています。RPAはこれをホワイトカラーの業務にも拡大したものです。反復的なパソコン作業は、人間の力では効率化に限界があり、ミスを完全になくすことはできません。ミス防止のために二重、三重のチェック体制を敷けば、それだけコストも必要とします。RPAであればその作業を監視する人間は最低限の人数でよく、ミスのない素早い作業が可能です。

ここまでは分かりやすくするためにパソコン作業という表現を使いましたが、RPAは非常に高い汎用性を持ちます。たとえば、RPAの代表的な活用例としてあげられているのは、書類をスキャンしてからデータとして記録するOCRと呼ばれる作業(Optical Character Recognition:光学文字認識)です。この作業では「書類をスキャナーに通す」ことがトリガーとなり、本来は人が目視で確認して手打ちしなければならなかった登録作業をRPAがすべて自動で終わらせます。このように、RPAの運用自体はIT知識のない方でも十分に可能です。他にもRPAが自動化できる作業はたくさんあり、人にしかできないと思われていた作業も代行できるようになります。

RPAの活用にはAI技術との関連性が深く、RPAは作業レベルによって3つのクラスに分けられています。
クラス1は定型作業の自動化で、これまでご紹介した内容が該当します。現在はほとんどのRPAがこのクラスです。
クラス2は、非定型作業の自動化です。ここでは自立型AIが働き、機械学習によって定型作業中に発生したイレギュラーを学習し、人間が指示しなかった部分の作業も完了できるようになります。すでにこのクラスのRPAが登場しています。
クラス3は、定型作業や非定型作業を学習し、作業フローの改善や新しい作業内容を提案し、ときには意志決定すら担います。このクラスのRPAはまだ登場していません。

RPAを活用して定型作業や一部の非定型作業を自動化できれば、人間は本当に人にしか担当できない業務に集中できるようになります。RPAの恩恵を最も強く受けるのはバックオフィス業務だとされていますが、コールセンターも例外ではありません。

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RPAがコールセンターにもたらすもの

RPAは今後進化していくにあたり、その対応可能な範囲を増やしていくといわれています。しかし現状はクラス1が主流で、RPAを活用できるかどうかは「どれくらいの定型作業があるか」に左右されます。そのため、ほとんどが定型作業であるバックオフィス業務で多大な恩恵が得られるわけです。

ではコールセンターではどうかと考えると、一見するとRPAの導入には適さないようにも思えます。CRMにおいては顧客一人ひとりに合わせた対応をすることが重要で、臨機応変の対応も必要です。ただし、コールセンターではオペレーターが企業の顔となって顧客対応に当たるため、人によって対応に差が出てはいけないという側面もあります。そういった大きな枠組みで考えると、コールセンターのメイン業務ともいえる電話対応も定型作業の中に入ると考えられます。

実際に導入されている海外の事例があります。そのコールセンターでは顧客からある登録情報の変更を申し込まれたとき、従来は複数のシステムにアクセスしてその顧客の情報を参照し、計算した上で回答しなければなりませんでした。しかしRPAの導入後は、同種の申し込みがあるとRPAが自動で複数のシステムから情報を抽出し、ひとつの画面上に表示し、必要な計算まで完了できるようになっています。ここまで作業が自動化されれば、後は顧客に結果を伝えるのみです。このように、すべての作業を自動化するのではなく、最終判断は人間が行うという「半自動化」がコールセンターにおける現実的なRPA活用として考えられています。

上記のような運用ができれば、ベテランのオペレーターでなければ手間取ってしまうような作業の平準化が可能です。また、人間が行うよりも速く正確に作業が完了するので、応対品質の向上も期待できます。雑多な業務がなくなることで、顧客とのやり取りに集中できるようになることはいうまでもありません。

ここまでわかれば、コールが終わってからの後処理はかなりの部分自動化できそうだと想像できます。CRMシステムと連携し、コール中に後処理のためのRPAトリガーをいくつか待機させておくことも可能です。後はオペレーターがそのときに適切な作業内容を選択すれば、必要な作業が自動で完了します。

このように、コールセンター業務においてもRPA活用による業務効率化、応対品質の向上の可能性が示されています。RPAはアイディア次第でいくらでも作業の自動化が可能で、大きな可能性を秘めているといえるのです。

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コールセンターにRPAは導入すべきなのか?

そんなに便利なRPAなら導入する以外にないのではないか、という話になるわけですが、必ずしも導入が正解というわけではありません。前提として、RPAは手段のひとつであり導入が目的ではないことに留意する必要があります。改善したい課題があったとき、その解決にRPAが最適であった場合に、初めて「導入すべき」という判断になるのです。

特に現在のRPAはクラス1がほとんどなので、自動化のルールが明確でなければ十分な効果を得られません。まずは業務内容、作業フローを明確化し、本当に自動化できるかを検討する必要があります。そして、そのように内容を明確にして課題を洗い出したとき、実はRPAを導入するまでもなく解決できることも十分に考えられます。たとえば、「業務を効率化してオペレーターが応対に集中できるようにする」というコンセプトのツールを考えると、コールセンターで古くから活用されてきたCRMシステムも同様です。RPAは確かに強力なツールですが、他と比べてRPAが特別だと考えてしまうと目的が手段化してしまう可能性があるため、注意が必要です。

また、RPAの汎用性はときにリスクとなることもあります。汎用ということは「なんでもできる」わけですが、業種に合わせたパッケージ化はまだまだ進んでおらず、導入障壁が高いという側面もあるのです。現在のRPAは、トップが旗振り役となって全社的な取り組みとし、トップダウンで進めていくのが効果的な導入のコツ。コールセンターへの導入には、十分な検討が必要だといえます。

もちろん、上手く導入することができれば多大な効果を発揮することは間違いありません。課題を洗い出したとき、そこに自動化できる作業があれば、積極的に導入を検討するのがおすすめです。

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何を目指すかを意識したツール導入を

すでに絶大な効果をいくつもあげ、コールセンターにおける有用性も高そうな RPAですが、何もかもを解決できる神の一手というわけではありません。RPAはまだまだ発展の途中でもあり、コールセンターにおける活用も未成熟の状態だといえます。そのことを把握した上で、応対品質や放棄呼率、オペレーターのスキルのばらつきなどの解決したい課題があって、その解決の手法として定型作業の自動化が型にはまる見込みであれば、RPAはおすすめの手段です。

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