コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

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コンタクトセンター運営のポイント 第93回:コールセンターを進化させるさまざまな自動化のテクノロジー

その93 コールセンター自動化を実現するテクノロジーとは

慢性的な人手不足状態にあるコールセンターの課題を一気に解決する手段として、「自動化」というキーワードがあります。さまざまなテクノロジーを用いてコールセンター業務の一部を自動化することで、効率の良い運営を可能にするだけでなく、顧客にとっても利用しやすいサポート環境を作れるようになります。今回は「自動化」をキーワードに、コールセンターで活用が期待できるテクノロジーについてご紹介します。

コールセンターの自動化について

顧客一人ひとりの声を聞き、それぞれの状況に合わせた対応を行うコールセンターにとって、デジタル化、つまり「対応の自動化」という言葉は少し無機質な響きがあるかもしれません。しかし、CRMシステムが1990年代に登場して以降、デジタル化は常に行われています。

従来から、新しいシステムやテクノロジーは人間の業務をデジタル化してきました。近年はそのテクノロジーの発展が目覚ましくコールセンター業務についても、コンピューターがコール後の入力作業を代行したり、人間に代わって顧客に対応したりできるようになってきています。これは、人間が行ってきた作業を機械が行うという無機質なものではなく、オペレーターが顧客の課題に集中して向き合うための環境作りだと捉えることができます。また、自動化でコールセンター業務が効率化されることにより、人手不足の問題を解消し、限られたリソースで顧客満足度を高められるようになります。

顧客にとっても、コールセンターの自動化は歓迎されるものになってきています。自動化で応対時間を短縮し回線に余裕を持たせることでコールセンターがつながりにくいという印象を払拭することができます。近年は応対業務も自動化が可能になってきており、若年層を中心に一部の顧客はコンピューターによる正確で素早い回答を求めるようになっています。コールセンターの自動化は、センターと顧客双方にとってメリットのあることなのです。

コールセンター自動化を実現する3つのテクノロジー

自動化というと抽象的な言葉であり、それを実現するテクノロジーにはさまざまなものがあります。ここでは、近年注目度の高い3つのテクノロジーについてご紹介します。

チャットボット

元々の語源は会話(チャット)を行うロボット、を略した言葉がチャットボットです。チャットボット自体はかなり前から存在しており、MicrosoftのOffice製品に一時期登場していた「イルカ」は今から考えるとチャットボットの1種と言えます。近年の代表的なチャットボットとして知られているものにiPhoneなどのApple製品に搭載されているSiriがあり、これはテキストベースだけでなく音声と音声の会話も可能とします。最近は主にチャットボットは「テキストチャットの自動応答」を表しているようです。

コールセンターの自動化においてはすでにチャットボットを用いたサービスが数多く登場しており、簡単な応対であればチャットボットに任せることが可能です。テキストベースのチャットボットはWebサイトに実装することが可能で、分からないことがあれば入力してもらい、チャットボットがすぐさま返すことができます。チャットボットでは対応が難しい内容はオペレーターが引き継ぐことも可能です。また、チャットボットを活用することで深夜対応も容易になります。

音声ベースのチャットボットも進化を続けています。現在のAI技術は人間に近い自然な発話も実現しつつあり、電話での問い合わせでもチャットボットによる対応が可能です。もちろん、この場合でも難しい応対はオペレーターに引き継ぐことができます。

音声認識

チャットボットにも共通するテクノロジーですが、音声認識の精度も加速度的に高まってきており、コールセンターの自動化に大きく貢献しています。たとえば、音声認識機能を使えばコール内容をリアルタイムに文字起こしすることが可能であり、オペレーター自身が見て客観的に状況を判断したり、SVがモニタリングに使用したりとさまざまな形で活用できます。

音声認識のテクノロジーは顧客の声の様子から感情を分析するところまで進んでおり、怒りの声色を察知し、アラートを出すといった活用も可能になっています。これにより応対の難しいコールをSVが素早く引き継げるようになり、解決率を上げたり、オペレーターの心理的な負担を大幅に軽減したりといったことが可能です。

RPA

Robotics Process Automationを略した言葉がRPAです。「ロボットによる反復作業の自動化」などと訳すことができるRPAは、決められた手順で行うPC作業を自動化できる手段として活用が広がっているシステムです。

RPAの最大の特徴は、複数のアプリケーションをまたがって定型的な作業を自動化できる点にあります。たとえば、Webサイトの問い合わせフォームからメールを受信したらCRMシステムを起動して必要な情報を自動で取得する、といった作業を完全にPC任せにすることができます。

RPAは定型業務の多い業種に大きなインパクトを与えると言われており、反復作業の塊である総務がよく例に挙げられます。実はコールセンターのPC作業も一定の決められた操作が多く、RPAを導入することで業務時間を大幅に削減することも可能です。シンプルな反復作業はもちろん、顧客の問い合わせ内容をトリガーに複数のシステムから情報を引っ張り出してきてディスプレイに表示しオペレーターをサポートするといった使い方もできます。

RPAにより生み出した工数で、時間を気にすることなく顧客の話に集中したり、よりスキルアップするためのトレーニングの時間に当てたりなど、応対品質の向上に投資できるようになります。なお、RPAは簡単に多くの作業を自動化できてしまうため、誰が設定したか不明のまま働き続ける「野良ロボット」を生み出してしまうこともありますので、運用には注意が必要です。

今後登場するかもしれない自動化の技術

今回自動化のテクノロジーの1つとしてご紹介したチャットボットは、ほぼ完璧な人間の模倣に指をかけるところまで到達しているテクノロジーです。その具体的な例として挙げられるのが、Googleが発表しているAI予約サービス「Google Duplex」です。

Google Duplexは2018年に行われた開発者向けの発表会「Google I/O 2018」で初めて発表され、世界中に衝撃を与えました。デモンストレーションではヘアサロンを予約するだけの普通の会話が流されましたが、予約を行っている側はAIだというのです。「ちょっと待ってて」という言葉にも相槌を返してちゃんと待つ様子は、AIだと言われなければ気づかないレベルの自然さでした。

Google Duplexの使い方は「◯時に××を予約して」などと言っておくだけで、あとはAIが自動で電話をかけ、相手と会話して予約を取ってくれるというもの。コールセンター側ではなく顧客側が自動化するという、この記事の趣旨とは真逆のテクノロジーですが、チャットボットが進化しているという意味では大きな意味を持つサービスだと言えます。

ただ、Google Duplexも完璧ではなく、アメリカやオーストラリアなど一部でサービスが開始しているGoogle Duplexはコールセンターのオペレーターが会話を代わるケースもまだ多いとのことです。

自動化のテクノロジーを最大限に活かそう

自動化のテクノロジーが発展し、これらのテクノロジーを利用したサービスが多く登場している中、コールセンターは一種の過渡期にあると考えられるかもしれません。本当にオペレーターが対応しなければならない領域を除き、テクノロジーを駆使した自動化を進めることで、コールセンターはこれまでだと難しかったレベルの応対品質の向上を実現できるようになります。導入コストや本当に自社のセンターに効果的かどうかなど、慎重になるべき点は慎重に考えつつ、自動化のテクノロジーを最大限に活かしてみましょう。

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