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コールセンター運営のポイント 第11回:グッドマンの法則に見る、コールセンターの持つ砦としての役割

その11:グッドマンの法則とは

苦情こそCRM改善の足がかり

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)を改善させるためには、CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)を上げていくことが大切です。とはいえ、それがわかっていても、いざ実践に移そうとなると難しいものです。CS向上のための手法は数多くありますが、具体的にどの程度の効果が出るのか想像しづらいという側面があります。
では、逆に考えてみるとどうでしょうか。商品やサービスに満足しなかった顧客のいくらかは、苦情を寄せることになります。その苦情を解決することができれば、それはその顧客にとっての貴重なカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)となり、満足へとつながる可能性があります。このような取り組みを続けると全体のCSも向上し、CRMがより成功へ近づいていくのです。

苦情への対応が大切だという点を示したものに、「グッドマンの法則」があります。以下では、グッドマンの法則をベースとして苦情へ正しく対応することによるCS向上の可能性と、その過程でコールセンターが担える役割についてご紹介します。

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グッドマンの法則に見る苦情の重要性

1970年代にジョン・グッドマンがアメリカ政府の要請を受け、苦情の対応と再購入決定率の関係性を調査・数値化したものがあります。その数値を法則化したものがグッドマンの法則と呼ばれ、CRMを語る上で欠かせないものになっています。未だにグッドマンの法則がCRMの論壇で重要視されているのは、後にも先にも、グッドマンが行ったほどの大規模調査がないためです。調査では、当時のアメリカの最先端を走っていた大企業独自の顧客データも統合されたといいます。

グッドマンの法則のひとつは、「商品やサービスへの悪い口コミは、いい口コミの2倍伝わりやすい」というものです。商品やサービスに好印象を持った人は、4~5人にその感想を伝えるとグッドマンの調査は示しています。一方、商品やサービスに不満を持った人は9~10人にその感想を伝えるといいます。この法則から、一度悪い噂が広がるとそれは企業にとって大打撃となるリスクがあることがわかります。
そのため、CSを向上させるには、単に商品やサービスのよさをアピールしたりカスタマーエクスペリエンスを追求したりするだけではなく、苦情を出さないようにすることが大切です。
ただ、苦情を全く出さないようにすることはCRM戦略上、相当困難であると考えられます。ある程度最初のリスクを低減させる努力はもちろん必要ですが、それ以上に苦情が出た際にどのような対策が行えるかが重要なのです。

グッドマンの法則では、苦情を解決することによって顧客が再度同じ企業の商品やサービスを利用する傾向にあることを示しています。つまり、苦情を面倒なものとして切り捨てるのではなく、その意見を提供してくれた顧客を大切にすることによってCSが向上し、CRMが一歩前進するということです。その際は、苦情はたとえばコールセンターなどに集められるので、コールセンターなど顧客接点における対応が重要になります。

コールセンターなどに苦情を寄せ、その後再購入につながったかどうかを見る数値があります。
その苦情が迅速に解決し、対応に満足した場合は、苦情を寄せた人たちの82%が再購入につながります。迅速ではないが解決し、対応に満足した場合は、54%が再購入につながります。
しかし、仕方ないので納得はしたものの不満が残ったという場合、再購入につながる割合は19%にまで下落します。
このことからわかるのは、コールセンターなど顧客接点における対応の良し悪しによってその後の再購入率には大きな差があるということです。もちろん、解決に不満足だった層のうち再購入につながらなかった19%以外は、悪い口コミを広める可能性が高いと考えられ、CRMにおいて大打撃となります。

以上のことから、苦情を軽視してはならないということがわかります。この点において、CRM戦略の拠点ともなるコールセンターの担う役割は重要です。コールセンターはコストばかりかかって生産に関わることができない、と考えられることもありますが、以上の再購入率の数字を見れば、コールセンターで苦情が解決すればその企業の生産性に十分な好影響を与えることが期待できます。

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どれだけの人が苦情を伝えるのか

上記の例は、企業へ苦情が伝わった場合の話です。しかし当然、不満を感じながらもそれを苦情として企業へ伝えない層も存在するため、CRM戦略ではそういった層も考慮する必要があります。
グッドマンの調査によると、商品やサービスに対して不満を感じた場合、その不満をなんらかの手段で企業に伝えるのは9%だといいます。つまり、残りの91%は不満を感じながらも申し立てをせず、そのままその企業の商品やサービスへ背を向けてしまうということを示しています。

このようなサイレント・マジョリティー(物言わぬ多数派)が存在することから、グッドマンは不満をそもそも生み出さない商品やサービスを展開することが大切だと論じています。そうすることで、不満を抱えつつ何もいわない91%を切り崩し、最初から満足する顧客を増やすことが可能となります。ただし、これは上記にもあるとおり、非常に難しいCRM施策となることが考えられます。
ここで注目したいのは、グッドマンの法則は1970年代のアメリカでの調査をベースとしているという点です。これほどまでの大規模調査はほかに例がないにしても、現代の日本に通用するデータは参考にするべきなのです。

結論からいえば、現代の日本においては顧客が不満を伝える割合はかなり高くなっています。
参考にできるのは、国民生活センターが行っている国民生活動向調査です。1971年からスタートし、ほぼ毎年、日本国民の生活動向を調査・公表しています。家計や訪問販売など、毎回固有のテーマを定めて調査しており、CRM戦略上もデータとして活用することができます。
グッドマンの調査があったのと同じ時代の1980年の国民生活動向調査では、商品やサービスに不満があった際にその不満を相談・伝達した人は、商品の場合が39.1%、サービスの場合が26.4%でした(当時は商品とサービスで分けられていました)。調べ方や規模に差があるので単純な比較はできませんが、この時点で日本とアメリカに文化的な差があったことが見て取れます。そして2012年の調査では、相談・伝達を行った人は62.9%にまで増加しています。

このように苦情を申し立てる人の割合が増えたのには、主に3つの理由があると考えられています。ひとつは、インターネットの普及です。顧客が手軽に多くの情報を入手できるようになったほか、インターネットを通すことで苦情を伝えやすくなっていることが考えられます。もうひとつは、法整備です。消費者基本法など消費者が不利益を被らないための法整備が進められ、苦情を伝えやすい世の中になってきたことが考えられます。そして最後は、コールセンターが多く設置されてきたことです。

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コールセンターがCRM最後の砦

顧客が不満を申し立ててくるのは、コールセンターです。現在はインターネットを介した顧客接点も重要になっており、マルチチャネル、オムニチャネルも重要だと叫ばれるようになってきましたが、それでもコールセンターの担う役割は大きいといえます。グッドマンの法則によると、不満が迅速に解決された顧客の82%は再購入につながり、CSの向上につながります。現代は60%前後の人が何かしらの形で苦情を申し立てているので、それらの人々の不満をコールセンターで迅速に解決することができれば、CRMを高いレベルで実施できていることになります。

以上のことを踏まえると、苦情は単に面倒なものではなく、高いレベルのCRM戦略を組み立てるに当たって非常に大切なものだとわかるのではないでしょうか。コールセンターなどへ連絡せず、黙って去ってしまう層はどうしようもありません。しかし、現在ではその層は少数派になっています。苦情を伝えてくる顧客は企業側が適切に対応することによってロイヤルカスタマーにもなりうるため、コールセンターは苦情をどう解決するかに注力し、苦情を顧客満足へ変える最後の砦であるべきだといえます。

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