コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

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コンタクトセンター運営のポイント 第97回:コールセンターにおけるCRMの役割とオムニチャネルへの活用

その97 コールセンターにおけるCRMとオムニチャネルの活用とは

コールセンター内では、業務をサポートするためのシステムが多数稼働しています。その中でも代表的なものが、CRMシステムです。今回は、CRMシステムの歴史からコールセンターにおける活用、近年重要になっているオムニチャネルについてご紹介します。

経営戦略としてのCRM

CRMはCustomer Relationship Managementの略称であり、顧客関係管理と訳することができます。顧客1人ひとりとの関係を大切にしていこうという考え方で、そのための顧客管理を行うシステムのことを指す場合もあります。

顧客を管理するという視点は特に新しいものではなく、商売においてはお得意様を正確に把握して大切にしていくといったことが行われてきました。大量生産、大量消費の時代になると、モノをたくさん作ってとにかく多くの人に届けるマス・マーケティングが主流になります。しかしニーズが多様化してくるとマス・マーケティングは通用しにくくなり、顧客1人ひとりに合わせたマーケティングを行うOne to Oneマーケティングが登場しました。

One to Oneマーケティングを実現しようとさまざまなタイプのシステムが登場していく中で、1990年代になってCRMシステムが登場します。さまざまな改良が行われつつ現在に至り、コールセンターでは今や欠かせないものになっています。

なお、近い時期に登場したシステムとして主に営業業務で利用するSFA(Sales Force Automation)があり、こちらも現在まで使われ続けています。顧客情報を取り扱うシステムという点ではCRMと同じですが、CRMが顧客になった相手との関係性を重視するのに対し、SFAは営業担当が見込み顧客を顧客にするまでの過程をサポートするシステムとして機能します。CRMとSFAのデータベースは、顧客の情報を管理する観点から連携して使用することでより効果があげられます。

コールセンターにおけるCRMシステム

顧客の情報を細かく記録し、いつでも参照できるように作られているCRMシステムは、現在のコールセンター業務に欠かせないものだと言えます。コールセンターに問い合わせがあった際、以前の情報があればどのような対応をすれば良いのかを素早く判断することが可能であり、顧客満足度の向上につながります。新規の顧客であっても、問い合わせ内容を把握すれば、膨大な顧客データにより蓄積されたFAQから素早く回答を引き出すことが可能です。

コールセンターで主に使用されているCRMシステムはコールセンター業務に特化した作りになっており、多くの場合はCTI(Computer Telephony Integration)システムとの連携により効力を発揮します。CTIシステムは電話回線と個々のPCをつなぐためのシステムのことで、通常電話は電話機がなければ受信できませんが、このシステムがあることで各オペレーターの席にあるPCで受けることが可能になります。PCで電話番号を受け取ることができれば、その番号をCRMシステムで照会し、過去に問い合わせがあればディスプレイに自動で表示するといったことが可能です。この機能により、たとえば初めて席につくような新人オペレーターでも、ある程度の水準の顧客対応が可能となります。
※CTIとの組み合わせは、コラム「第7回:CTIとCRMを組み合わせることによるコールセンター業務の改善」にも紹介しています。

このように、CRMシステムにはオペレーターの業務をサポートするさまざまな機能が備わっており、最大限に活用することで応対品質を上げることが可能です。素早く正確な対応を常に行えるようになれば、顧客満足度は向上し、顧客1人ひとりのロイヤルティも上がっていきます。「この会社の商品・サービスだからこそ利用していきたい」と長く付き合いを続けてくれるロイヤルカスタマーを育成する上でも、コールセンターの役割は大きいものです。

コールセンター業務の中で欠かせないクレーム対応についても、CRMシステムのサポートが大きな役割を果たします。理不尽な言いがかりをつけてくる悪質なクレーマーを除けば、クレームの中には何かしらの要望があり、顧客は解決して欲しいと望んでいます。そういった顧客に素早く回答を示すために使えるのが、FAQ機能です。よくある質問をまとめたFAQはCRMシステムから素早く検索できるようになっており、オペレーターは話を聞きながら適切な回答を探し、対応を行うことができます。オペレーターの手に余る際のSVへのエスカレーションについても、「手を上げる」という方法もありますが、CRMシステム側で異常を検出してSVに通知することも可能です。

積み重ねてきた顧客情報があれば、どんな内容のクレームが多いかも分かるため、複数人のオペレーターで役割を分けながら行うロールプレイングなどを通して対応を練習することもできます。また、クレームを直に聞くオペレーターは情報を蓄積する役割もあり、そうしてCRMシステムに蓄積されたクレーム内容は商品やサービスの改善に役立てることが可能です。

このように、コールセンターにおいてCRMシステムの果たす役割は多岐に渡ります。有効な業務を判断してセンターに合わせた活用をすることでコールセンターの価値を高めていくことが可能です。

CRMを活用したオムニチャネル戦略

顧客1人ひとりに向き合ってマーケティングを行うCRMの理念において、現在特に重要視されるようになってきたのが「オムニチャネル」です。オムニチャネルは、すべての顧客接点(チャネル)が連携し、どのタイミングでも顧客が同様の体験をできるようにする戦略を指します。

企業と顧客の接点は1つではなく、商品やサービスを利用してくれるまでには、テレビCMによる認知、友人・知人やネットからの口コミ、店舗での店員からの説明など、さまざまな接点を経由しています。これらの顧客接点それぞれを強化し、そのときどきで良い関係性を結ぶことは可能かもしれませんが、さらに連携するとなると難しい点が多くなります。しかしどの顧客接点でも同じような体験ができるオムニチャネルを構築できれば、ロイヤルカスタマーの囲い込みが一気に進めやすくなります。

たとえば、店舗で会員登録してくれた顧客の情報をコールセンターでも共有しておけば、どのような属性の顧客で何を買ってくれたのかが分かるので、問い合わせがあった際に店舗での事前情報を元に話を進めることができます。また、まったく情報がない相手と話をするのと比べると圧倒的に人物像を想像しやすくなるので、オペレーターの応対品質の向上にもつながります。そうして問い合わせ内容を素早く解決すれば、その情報をさらに店舗へフィードバックし、次に来店があったときにきめ細かいサービスを提供することが可能になります。

このようなオムニチャネルの施策に必要となるのがすべての顧客接点で共通して使えるデータベースであり、CRMシステムはその役割を担うことができます。顧客の情報を大量に蓄積できるコールセンターは、企業がオムニチャネル戦略を構築する上で非常に重要な役割を果たすのです。

なお、上記に挙げた顧客接点のうち「口コミ」はコントロールが難しく感じるかもしれませんが、顧客と多く接触するコールセンターは良い体験を多くの顧客に提供することで「良い口コミ」を広めてもらうことが可能です。クレームも丁寧に対応すればファンになってくれることがあるため、良い口コミが広がればその他の顧客接点でも良い関係を築いていけるようになります。

常に顧客1人ひとりに向き合うことを目指す

さまざまな商品やサービスが溢れかえり、顧客のニーズも多様化が進んでいく現在においては、いかに1人ひとりに合わせた対応ができるかどうかが問われます。それを実現するためのシステムがCRMであり、コールセンターは顧客と直接やり取りをすることで顧客からの信頼を高めていく、企業にとって最重要な組織になっています。

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