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コールセンター運営のポイント 第54回:属人的なクレーム対応はAI活用で大きく変わる

その54:AIがコールセンターにもたらすものとは

近年、AIにまつわるニュースが世間を騒がせることが増えてきました。AI関連の技術の発展はめざましく、さまざまな業界で導入や開発が進められています。コールセンターも、AI活用の機運が高まっている業界のひとつです。AIを導入して業務を効率化しようという流れは、コールセンターにおいて大きなトレンドになりつつあります。では、AIを活用することでコールセンターにどのような変化があるのでしょうか。今回はAIとコールセンターについての概要、そしてクレーム対応がどう変わるのかについてご紹介します。

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AIがコールセンターにもたらすもの

AI関連のニュースは加速度的に増加しており、人々にとって身近な存在になりつつあります。数あるニュースの中でも特に話題になったのは、2014年にオックスフォード大学から発表された『雇用の未来?コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文です。この論文では702もの職種において「コンピューター化で自動化される確率」を分析しており、コンピューターやAIが急速に発達していることを世間に広く知らしめたといえます。論文ではCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の重要拠点であるコールセンターの業務も分析対象となっており、「電話オペレーター」「電話販売員」が特に自動化される確率の高い職種としてあげられていました。

今後本当に自動化されてしまうかどうかは分かりませんが、その確率が高いとする意見があることは事実です。ではそもそも、AIとはどのような技術なのでしょうか。

AIは日本語では「人工知能」と訳すことができ、人間の脳が行っている処理を模倣したシステムやアプリケーションを指します。スイッチを入れたら電気が点く、計算式を入力したら答えが出るなどの単純なものではなく、AIはもう少し複雑な「論理的な思考」をしてから答えを出すのが特徴。自動翻訳システムや音声認識システム、囲碁など特定のゲームをプレーするシステムが想像しやすいかもしれません。部屋の温度や湿度を計測して冷風や温風の調整をするエアコンも、捉え方によってはAIの一種ということができます。

現状のAIは「人間のようなことが何でもできるようになっていく」のではなく、そのケースに合わせて機能を特化させていく特徴があります。たとえば、エアコンは囲碁をプレーすることはできず、囲碁をプレーするAIは自動翻訳ができません。そして、人間の脳を模倣するといってもそのすべてを模倣できるわけではなく、AIには得意分野があります。基本的には、人間が行うと手間になってしまう作業や膨大なデータを分析して最適な解を導くような作業がAIの領分です。

この先シンギュラリティと呼ばれる技術的特異点に到達し、SFの世界のような感情を持ち自発的に行動するAIが登場するかもしれませんが、当面の間は、コールセンターのオペレーター業務が丸ごとAIに奪われるという状況は考えにくいのではないでしょうか。むしろ、今まで人間や単純なシステムが担っていた「大変な部分」や「非効率な部分」をAIが肩代わりできるようになることで、コールセンターはこれまで以上のCRM施策を実現できるようになります。中でもオペレーター一人ひとりのスキルや感情に依存しがちなクレーム対応は、AI活用により大幅な改善が期待できる業務のひとつです。

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オペレーターの感情負担を減らす

クレームからは商品・サービス改善のためのヒントを多く得ることができるため企業やブランドにとっては宝といえますが、それに対応するオペレーターにとっては負担になることが少なくありません。オペレーターの感情的な負担を減らすという目的において、AIを活用する手段が考案されています。

AIを活用するといっても、AIがクレーム対応をすべてこなすわけではありません。現在のCRMにおいては人と人とのコミュニケーションにおいて良質な顧客体験が生まれるとされており、オペレーターが肉声で顧客に寄り添うことには大きな意義があります。AIには、オペレーターには難しい部分を代行してもらうことになります。

たとえば、最適なタイミングでのエスカレーションにつなげることが可能です。顧客の怒りが非常に強くて一次対応が困難な場合、オペレーターの裁量では判断ができない場合などにはSV(スーパーバイザー)や責任者にエスカレーションすることになりますが、すべてのオペレーターがいつも適切な判断を下せるとは限りません。また、SVもモニタリングができるケースは限られています。このようなとき、AIが顧客の怒りの度合いを計測してアラートを鳴らすことができれば、いつでも最適なタイミングでのエスカレーションが可能です。これがうまくいけばオペレーターの負担を減らせるだけでなく、離反の阻止や怒りの緩和などの効果も見込めます。

これを可能にするのが、感情認識と呼ばれる技術です。言語を認識して話した内容を書き起こしたり、要約したりするシステムは身近なものになってきましたが、近年はさらに感情の度合いを測定できるようなシステムも登場しています。たとえば声のどこに力が入っているかなどを計測する方法があり、今後このような技術はますます精度が上がっていくものだとみられています。

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事務作業の効率を上げて顧客と向き合う

上記にてご紹介したように、AIは人間がやると手間で時間がかかってしまう作業を得意としています。あるいは過去の膨大なデータを参照してすぐさま最適解を導き出せるのも、人間には真似できない部分です。この特性をいかすと、AIはクレーム対応における事務作業を大きく効率化することができます。

実際にある取り組みとしては、AIに顧客の音声を聞き取らせて「どんな課題があって何を求めているのか」をリアルタイムで分析するというものがあります。さらにAIはCRMシステム内のFAQ(Frequency Asked Question:よくある質問)を検索し、顧客の要望に適していると思われるものをオペレーターの見える画面上に表示します。オペレーターはこれまで以上に素早く適切な回答を提供することができ、調査のための保留時間が短くなる、新人オペレーターとベテランオペレーターの応対品質の差が小さくなるなどの効果が生まれるのです。このような施策で顧客にとってストレスとなる要因を取り除くことができれば、オペレーター対応の不備によるクレームへの発展を防ぐことができます。

AIを活用して事務作業を効率化することは、オペレーターの業務量を減らして顧客と向き合う時間を増やすことにつながります。オペレーターが顧客との会話に集中できる環境を作ることができれば、クレーム対応の精度は上がるはずです。

なお、AIばかりがオペレーターの負担を軽減するのではありません。AIではないCRMシステムやその他機械設備、業務設計によっても効率を上げることは可能です。AIを使うことは目的ではなく、あくまでコールセンター業務をさらによくするためのひとつの手段として考えるのが適切だといえます。

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テクノロジーを正しく理解することが大切

AI技術の発展により、これまでできなかったさまざまなことが可能になったのは事実です。しかしAIの話題が急増したことで、逆にAIに対して間違った理解が広がっているという指摘もあります。AIというテクノロジーはどのようなものなのか、コールセンターにおいてはどのような活用ができるのかを冷静に見極めることが大切です。

一方で、昨今コールセンターではオペレーターの採用が難しくなってきたといわれています。新人オペレーターの教育負担を減らす、オペレーターの負担を軽減することで離職率を低下させるなど、人員確保の対策としてAIの活用は待ったなしとなっています。 AIにより電話オペレーターの仕事がなくなると考えるよりも、電話オペレーターの補助としてAIを活用することを考える方がベターではないでしょうか。

上記でご紹介したのは、コールセンターにおけるAI活用例の一部。これからのAI技術の発展、その技術を応用したコールセンターシステムの登場により、ますます機能性が高くなり業務の効率化が進むと考えられています。もちろん、話題性の高さに惑わされず、本当に有用なものかどうかしっかりと判断する姿勢が必要です。

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