コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

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コンタクトセンター運営のポイント 第74回:コールセンターのカスタマーサクセス(CS)とは

その74:コールセンターにおけるカスタマーサクセスとは

顧客との関係性を表す言葉のひとつに、「カスタマーサクセス」があります。カスタマーサクセスは「顧客の成功」を意味する言葉で、顧客の課題解決だけでなく積極的なサポートを行って「顧客の成功を実現」する考え方です。企業の顔として顧客と接するコールセンターにおいても、カスタマーサクセスを実現することが大切。ここでは、コールセンター全体で意識したいカスタマーサクセスの考え方や、全社的な施策としてのカスタマーサクセスについてもご紹介します。

カスタマーサクセスを実現できるコールセンター

顧客応対を担当するコールセンターにおいては、「顧客ロイヤルティ(loyalty)」を高めることが重要です。顧客ロイヤルティは、顧客が商品・サービスやブランド、企業に対してどれだけ愛着を持っているかを示す指標を指し、これを高めることで顧客は長く商品・サービス、ブランドを利用してくれるようになります。コールセンターは、顧客ロイヤルティを高めるための重要な拠点のひとつです。
顧客ロイヤルティがなかなか上がらないという課題を抱えている場合には、カスタマーサクセスの考え方が参考になります。

顧客の課題を解決することがコールセンターの役割ですが、それだけでは顧客ロイヤルティを高められないことがあります。
なぜなら、顧客が「どうにかして欲しい」「この問題を解消したい」と考えていることをそのまま解決しただけでは、顧客はあくまで納得するだけにとどまってしまう可能性もあるからです。これでは顧客ロイヤリティが向上したとは言えないため、商品や企業等そのものに対して愛着が薄くなり、他によりよい商品が登場した場合にはすぐさま離反してしまい、気がつけば顧客数が減少していた、ということもありえます。

顧客の課題を解決するだけでなく、さらに上の「成功」にまでつなげようとする考え方が「カスタマーサクセス」です。
コールセンターでのカスタマーサクセスは、顧客の事前期待を上回る「感動」を提供して「成功」を感じてもらうことが重要です。期待を上回る感動があれば、「いい商品だ」「いい企業だ」という強い印象を残すことができ、継続的に商品・サービスを利用してくれる「ロイヤルカスタマー」を増やすことにつながります。特に、「このブランドが好きだから」というように感情面で利用を続けてくれるロイヤルカスタマーは離反しにくく、いい関係を長く続けることが可能になります。

カスタマーサクセスを実現するには、その商品・サービスに関わるどの部署の働きも欠かせませんが、顧客と接するコールセンターの担える役割も重要です。顧客の抱える不満や課題は、オペレーターの応対によって「満足」を超える「成功」につながる可能性があります。

次の項目で、コールセンターができる具体的な内容についてご紹介します。

コールセンターが担える3つのカスタマーサクセス

カスタマーサクセスを実現するにあたり、コールセンターでは以下の3つの方法が実践できます。

事前期待を知り、それを超える

顧客は自身の期待が満たされなかったときには「不満」を抱き、満たされたときには「満足」し、思ってもいなかったサービスが受けられたときは「感動」します。顧客の反応をこの3つに分けて感動を目指したとき、必要なのは事前期待を把握することです。

まずは、コールリーズンごとに事前期待を設定する方法があります。
顧客ごとに期待の度合いは異なりますが、「期待を下回る」ことを防ぐマニュアル化は必要です。コールリーズンごとに満たすべき期待を設定すればオペレーターはどのように応対すればいいかが分かりやすくなり、実際にどの程度満足いただけたかの効果測定も容易になります。よい指標ができ上がれば、それをコールセンターのKPIとして設定するのもひとつの手段です。

次に、どのような応対をすればカスタマーサクセスが実現されるのかをコールセンター内で収集します。
顧客が感動するポイント=顧客が成功と感じるポイントは一人ひとり異なるため、マニュアル化だけでは十分な感動を生み出すことは困難です。実際に感動の声をいただいたという成功事例はもちろん、失敗事例も積極的に集め、コールセンター内で共有しましょう。「このようなケース、このような顧客にはこのような応対が喜ばれる」と各オペレーターが具体的にイメージできれば、カスタマーサクセスを生み出すコールセンターに一歩近づきます。

オペレーターができることを増やす

前述のとおり、顧客によって感動はそれぞれ異なります。カスタマーサクセスを実現し、それぞれ違う感動を素早く提供するためには、オペレーターの裁量である程度のことができる環境が望ましいといえます。

たとえば、顧客が自身で申告している課題を解決するだけでは成功まで導くことが難しく、「別の商品に切り替える」「違うアプローチを探す」「場合によってはダウングレードする」ことで成功に導くことが可能なら、オペレーターがその場で提案できるのがベストです。その都度別の担当者やスーパーバイザーに取り次いでいては、応対や説明で時間を浪費し顧客のストレスをいたずらに増やす結果になりかねません。

カスタマーサクセスを実現するには、オペレーター自身のマルチスキル化し、オペレーターが「業務上可能なこと」を増やすことも重要です。各オペレーターのスキルセットが増えればそれだけ顧客の感動を引き出す幅が広がり、フォロー体制を整えやすくなるなどの効率化にもつながります。

商品・サービスのフィードバックをする

顧客に感動レベルの体験を提供するためには、もちろん、コールセンターの働きだけでは不十分です。ベースとなる商品・サービスの質や設計がよくなければ、カスタマーサクセスにはなかなかつながりません。

コールセンターには顧客のいい意見も悪い意見も多く集まるため、どのように商品・サービスを改善すれば顧客に喜んでいただけるのかというヒントが多く眠っており、商品・サービスに対して的確なフィードバックが可能です。部門間でスムーズに連携できる体制を整えられれば、多くの顧客の体験を「成功」に導けるようになるはずです。

サブスクリプション型ビジネスにおけるカスタマーサクセス

コールセンターにおけるカスタマーサクセスは上記のとおりですが、「顧客の成功」は部門が連携して全社的に取り組むべき考え方とも捉えられます。ここでは、顧客の成功のために「受け身の姿勢」ではなく「能動的な姿勢」を持とうというカスタマーサクセスの考え方をご紹介します。

顧客からの受電業務を請け負うインバウンドのコールセンターは、基本的には受け身の姿勢です。もちろんこれも重要な役割ですが、カスタマーサクセスにおいてはそれだけでは足りないとする考え方が近年浸透してきました。

そのきっかけとなったのが、サブスクリプション型ビジネスの発展です。

サブスクリプション型ビジネスの拡大

サブスクリプション型ビジネスは、商品・サービスを購入する際に一度だけ料金を支払う「買い切り」とは違い、継続して提供される商品・サービスに対して継続して料金を支払い続けるビジネスモデルを指します。いわゆる「定額制」と呼ばれるサービスのことです。

身近なものでは、月額課金制の音楽ストリーミングサービスや動画配信サービス、企業向けにはクラウドで提供される業務サービスの継続利用などで知られており、これらサービスは通信回線の高速化・安定化やスマートフォンの普及により人気に火がついたと考えられています。

また、消費者の意識が「所有すること」から、どれだけ手軽に利用できるかという「利便性の高さ」へと変化したことも、定額の支払いで安定したサービスが受けられるサブスクリプション型ビジネスが発展したひとつの要因だとされています。

最近ではサブスクリプション型ビジネスはデジタル領域のみにとどまらず、おしゃれな家具や子供用の知育玩具、ファッション(洋服)などが月額で使えるサービスがオフラインシーンにおいても盛り上がりをみせています。

このようなサブスクリプション型ビジネス拡大の流れがきっかけとなり、継続利用を途中で切られることなく、商品・サービスのファンでい続けてもらうために、受け身の姿勢だけではなく能動的なアクションも必要だとするカスタマーサクセスの考え方が発生し、アメリカを中心に広まっていきました。

全社的な施策としてのカスタマーサクセス

モノを売った後はできるだけ費用を抑えたい小売業では、購入後のフォローにお金をかけられないため、受動的なサポートが中心となっています。

しかしサブスクリプション型ビジネスのサービスは「買い切り」の商品やサービスとは違い、一度顧客に購入されてそこで終わりではなく、継続して利用していただくことで初めて利益が生まれます。そのため、いかに顧客の声を商品にフィードバックして商品・サービスの質を高めていくか、顧客の成功のためにどれだけのサポートを提供できるかが重要です。

商品・サービスを利用している顧客を手放さないためには、魅力的な商品・サービス設計、顧客が欲しがるタイミングでの「次の商品・サービス」の提供、顧客が自分で自分の課題をスムーズに解決できるサポート体制などが必要になります。そのためここでいうカスタマーサクセスはコールセンターだけで成し遂げるものではなく、あらゆる部門が協力して作り上げる全社的な施策です。

顧客の視点に立ったカスタマーサクセスが大切

カスタマーサクセスという言葉について、コールセンターが提供できる「期待以上の体験」、能動的に顧客と関わる「全社的な施策」の2種類をご紹介しました。いずれの捉え方においても、コールセンターが顧客の悩みや課題に対して真摯に寄り添うことに変わりはありません。顧客の期待を超え、その体験を「成功」に導くために、コールセンターの業務設計や他部門との連携体制を見直してみるのはいかがでしょうか。

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