コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

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コンタクトセンター運営のポイント 第48回:コールセンターの品質を昇華させるクオリティ・アシュアランスの役割

その48:クオリティ・アシュアランスの役割とは

コールセンター全体の品質を向上させる役割に、“クオリティ・アシュアランス”というものがあります。クオリティ・アシュアランスはオペレーターやSVとは違い、第三者の目線でコールセンターを俯瞰し、課題点を改善に導く役割を果たします。クオリティ・アシュアランスが効果的に機能することで、コールセンターは品質の底上げを図ることができます。ここでは、クオリティ・アシュアランスの概要やなぜ必要なのか、どういった動き方ができるのかについてご紹介します。

コールセンター品質昇華の担い手

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の拠点であるコールセンターでは難しい顧客の対応をすることも多く、常に応対品質の改善が求められます。クオリティ・アシュアランス(以下、「QA」)はその改善のための施策を一手に担う役割です。現場を統括するSV、そしてオペレーターももちろん改善活動を行いますが、QAは現場とは違う全体的な目線で改善を行っていくことになります。

QA(Quality Assurance)は「品質保証」と訳すことができ、コールセンターに限らず、サービスや商品を提供するさまざまな事業に置かれます。業界や企業によって多少の差はありますが、その主な仕事内容は品質のチェックと改善内容の提案・実行です。コールセンターの他にQAが置かれる業種には、たとえばソフトウェア開発があげられます。ここでは、システムエンジニアが作り上げたソフトウェアが想定通りに挙動するかをチェックするほか、ときには製品の改善や新たな機能の提案、さらには製造プロセスへの改善や提案も行い、品質を向上しやすい仕組みづくりにも貢献します。

コールセンターにおけるQAは、単なる品質チェックとは少しニュアンスが異なるといえます。もちろんセンターによっても異なりますが、QAを置くからには、その役割はオペレーター・SVの延長線上にあっては不十分です。
その視点で考えるなら、少し余談になりますが、オペレーターとSVも同じ延長線上にはないといえます。オペレーターが対応しきれないコールのエスカレーションを受けるなど、SVにはオペレーターとしてのスキルも求められますが、それ以上に求められるのはオペレーターへの指導力などのスキルです。そのため、単に受電業務に優れたオペレーターがなれる職業ではないといえます。

QAも同じで、オペレーターやSVの業務において優秀であれば必ずしも対応できる業務というわけではありません。では、QAには具体的にどのような役割があるのでしょうか。

SVとは違うQAの必要性

コールセンターの品質を測るいくつかの方法のうち、代表的なものはモニタリングです。QAはこのモニタリングを通して、コールセンター改善のための施策を打つことができます。

モニタリングというとSVも行うものですが、SVとQAでは対応すべき領域、モニタリングを実施する観点が異なります。まずは、モニタリングを実施する目的を4つに分類してみます。

  • クレームなど緊急時のヘルプ待機
  • 応対スキル、業務にかかる知識のチェック
  • トークスクリプトやQ&Aなどの遵守・活用度チェック
  • 顧客満足度、クレーム分析

上記4つのうち、上の2つは主にSVが担う役割だといえます。「クレームなど緊急時のヘルプ待機」は、オペレーターでは対応しきれないクレームのエスカレーションや新人オペレーターのフォローなどをスムーズに行うため、あらかじめ通話内容を把握しておくことが目的です。「応対スキル、業務にかかる知識のチェック」は、オペレーター個々人の現在のスキルを測るもので、結果に問題があれば課題の指摘、改善方法の提示・指導を実施します。これらは一定の応対スキルを持つものであれば実施可能であり、SVが日常的に実施しているモニタリングになります。

下の2つが、QAが対応すべき領域です。これらの領域はオペレーター個々人よりもCRMの拠点としてのコールセンターの品質を測るもので、センター単位で成長するための足がかりになります。成長の足がかりにするためには、ひとつのコールの結果を重視せず、ルールがどれだけ遵守されているか、外部からどのように評価されているかを分析し、コールセンター運用全般に潜む課題点を洗い出す必要があります。これができるのが、第三者の目線で改善活動を行うQAというわけです。

どのような人材が、QAとしての役割を果たすことができるでしょうか。
第一にあげられるのが、顧客応対が好きなことです。顧客一人ひとりに満足してもらうというCRMの理念に心から共感できる人材でなければ、コールセンターが改善すべき課題点を見つけることは難しいといえます。ただ、ここで注意すべきは「木を見て森を見ず」になってはいけないということです。個々の事例に注視しすぎてしまうと、本当に改善すべきポイントを見逃してしまう可能性があります。そのため、同時に「全体最適の視点」を持っていることもQAには重要なポイントです。

その他、モニタリング中のどんな細かい要素も見逃さない観察力や、問題の原因を推測し分析する課題形成能力も重要です。何か問題を見つけたとして、なぜそうなっているのか、どの部分を改善すればよい結果が得られるのか考えていく必要があるからです。また、実際に改善の提案・実行を行う際に周りへきちんと意見を伝え調整するためにはプレゼンテーション、ドキュメンテーション、ネゴシエーションといったコミュニケーション能力もQAには求められます。

QAができること

QAがコールセンターをどのように分析し、どのように改善していくかはセンターごとのケースで違いが生まれます。しかし、その改善方法をある程度分類することは可能です。

コールセンターが抱える課題点は、「スキル」「マインド」「システム」の3つのタイプいずれかに分類することができます。応対スキルやコミュニケーション能力、業務にかかる知識の不足が見られれば、それはスキル面に不足があることになります。オペレーターのメンタル面、コールセンターのミッションの共有に難があればマインド面、Q&Aを上手く運用できていないなどの問題があればシステム面に改善の余地があります。

たとえば、応対スキルやコミュニケーション能力に改善の余地があると分析された場合には、不足したスキルをカバーする研修内容を組み立てることになります。あるいは、現状の研修フローに課題点があるかもしれず、その場合はそこにメスを入れていくことになります。

ただし、モニタリングを通しての見え方が同じだとしても、センターによって別のところに課題点が隠れていることも考えられます。一見するとスキル面が足りないように思えても、もしかしたらコールセンター運営上のシステムに不備があるのかもしれません。たとえば教育のカリキュラムが不十分なためにスキル面が足りないという結果になっているケースがありえるからです。このようにコールセンター全体を俯瞰し、どこに改善すべきポイントが潜んでいるのかを正確に特定するためには、QAはそのコールセンターの業務フローや研修フローなどを熟知している必要があります。その観点からいえば、長年にわたってそのコールセンターで勤めているオペレーターやSVなどからQAを選出するのが望ましいといえます。外部から採用する場合、アウトソーシングサービスに委託する場合は、経験のディスアドバンテージを補うために十二分な共有が必要です。

QAの実務面を考えると、3つのタイプにカテゴライズできます。ひとつは、個々の人材の育成です。QAはSVや研修に携わるトレーナーの育成を行う他、場合によってはオペレーターの育成を行うこともあります。

育成を行うためには、何を伸ばすべきか、何を改善すべきかをはっきりさせておくことが必要です。そのため、業務フローの改善や業務環境の改善など、コールセンターの仕組みの面にも介入します。QAが強いリーダーシップを発揮して仕組みを変えることで、大きな改善効果が見込めるはずです。

そして、運用方針の改善・管理もQAの仕事です。目指すべきひとつの指標から外れないように管理したり、顧客満足度を高めるために先陣を切って施策を提案したりすることで、運用レベルでコールセンターの品質を高めることができます。

優秀なQAがコールセンターを変える

極端な話をすれば、たとえば高い生産性と顧客満足度を誇る優秀なオペレーターがいたとして、そのオペレーターが辞めてしまえばコールセンター全体の品質も下がってしまいます。優秀なQAがコールセンターの品質を管理し、昇華させ続けていれば、そのような事態においても動じることのない盤石なコールセンターになっているはずです。すなわちCRM拠点としてのコールセンターの品質を底上げするために、QAが果たす役割は重要なのです。

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