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コールセンター運営のポイント 第44回:感情労働のオペレーターが最高のパフォーマンスを発揮するには

その44:感情労働によるストレスを抑えるためには

感情労働、という言葉をご存知でしょうか。労働を大まかに分類したときの肉体労働、頭脳労働に続く労働のタイプとして、近年注目度が上昇している言葉です。業務内容を感情労働の視点から考えてみると、コールセンターのオペレーター業務、ひいてはCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)施策の効果を向上させるためのポイントが見えてきます。
今回は、感情労働としてのオペレーター業務がはらむリスクやその対策、パフォーマンスを高めてCRM施策を上手く進めるための方法をご紹介します。

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日本人の多くが従事する感情労働

感情労働という言葉は、アメリカのある社会学者が提唱したもので、日本でもいくつかの研究がある分野です。

人は、その瞬間に思ったことをそのまま面(つら)に出すのではなく、表情や声、身振り手振りを自らの意思で操作して相手に適切な感情を見せます。例をあげれば、相手の言動に怒りを感じたとしても場の空気を尊重してその場は気にしない様子を装うというケースがあります。このような操作が労働の場において必要とされると、それは感情労働だと考えることができます。多くの場合、従業員がそうして感情を制御すること自体が、企業・組織の売り出す商品やサービスの一部となっています。

感情労働という概念が生まれたきっかけと言われるのが、旅客機の客室乗務員です。客室乗務員はあらゆる事態において笑顔で対応することが求められており、クレームがあっても表情を歪めることは許されません。客室乗務員の「笑顔の対応」が旅客の満足につながるため、航空会社が提供する商品の一部だと捉えることができます。しかし、客室乗務員も感情を持つ生きた人間であるため、いわれのないクレームを受ければ気分を害することもあります。それでも客室乗務員は我慢し続けなければならず、これがストレスの蓄積につながります。このストレスが、感情労働の大きな副作用であり、多くの感情労働が向き合わなければならない問題です。

感情労働の例としては、他に接客業、学校の教員、看護師、そしてコールセンターのオペレーターがあげられます。オペレーターの重要な業務のひとつがクレーム対応であり、顧客から何を言われても、オペレーターは感情を表に出すことなく対応しなければなりません。自身がどのように思っても「真摯に非を認めて謝る姿勢」を演出しなければならず、まさに感情労働だといえます。

いうまでもなく、感情労働により受けるストレスはオペレーター本人にとってもコールセンターや企業にとってもマイナスです。ストレスを抑えるためには、どのような対処が必要でしょうか。

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オペレーター個々人ができるセルフケア

ストレスをそのまま受けてしまうことは業務のパフォーマンス低下につながります。また、何より自身の精神的な健康に大きく影響します。それゆえ、ストレスをできるだけ受けないようにするセルフケアが大切です。

理不尽なクレームを言われた際には、自身と労働を分けて考える方法があります。強い言葉でクレームを言われると、まるで自身が責め立てられているような気分になってしまうことがあります。実際に、オペレーター個人の人格を責めるような言い方をする顧客も存在します。この点、顧客のクレームや怒りの根本にあるものを考えてみると、自身には関係のないものであることもよくあります。たとえば、商品の品質が悪かったり、実店舗での対応が悪かったりといったケースです。

こういったことが分かれば、何も自分が気にする必要はありません。「真摯に非を認めて謝る姿勢」がコールセンターのサービスであるから、それを提供する感情労働なのだと考えれば、ストレスをある程度抑えることができます。

そして、顧客のクレームや怒りの本質を冷静に見抜くことができれば、それは顧客の課題解決につながるヒントとなり、オペレーター業務としてもプラスに働きます。自身の対応にミスがあって顧客を怒らせてしまったという場合でも、その原因が分かればトレーニングで改善することが可能です。自身と労働を分けて考えることは、自身を守るだけでなく、仕事の質を高めることにもつながるといえます。

セルフケアとしてはもうひとつ、オフタイムを充実させてストレス耐性を高めることが大切です。
コールセンターは顧客との関係を重視し、商品の売上やブランド力を高めていくためのCRMの拠点であることから、感情労働とは切り離せない現場です。そのため、コールセンターのオペレーターとして働いていくためには、ある程度のストレスは受け入れるべきといえます。そのストレスを業務後にも引きずらないよう、オフタイムを充実させることが大切なのです。

一例として趣味の時間を作ること、ボランティア活動に参加することなどがあげられます。あるいは、自身のことに共感してくれる、そして自身も共感できる相手との付き合いを持つことも大切です。そうしたオフタイムの充実がストレス耐性を高め、仕事へ向かう際の不安な気持ちを和らげてくれます。

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コールセンター全体で、感情労働を軽くする

上記のような個人でできるメンタルケアには他にもさまざまな方法があり、個々人が取り入れることである程度の改善が見込めます。しかし、コールセンター全体での対策が進まなければオペレーターの感情労働による負担をしっかりと軽減させることはできません。どのような対策ができるでしょうか。

まずあげられるのは、ストレスチェック制度の導入など、メンタルケアの制度面を整えることです。長時間労働を抑制するための取り組みも、感情労働の負担を軽減する上では効果があるといえます。
ただし、こういった対策は労働全体にわたる対策であり、感情労働にフォーカスしたものとはいえません。感情労働とはつまり、オペレーターがコールセンター・企業の求めるとおりに感情をコントロールすることであり、その負担の程度を量的に測ることが難しいといえます。オペレーターに十分なヒアリングを行うなどし、そのコールセンターならではの抜本的な解決策を探る必要があります。

日本の例ではありませんが、ユニークな感情労働対策があります。顧客からオペレーターへ暴言があった際、その顧客に注意を促し、それでも聞き入れてもらえなければ「通話を切ってもよい」というものです。この対策により、オペレーターは顧客からの暴言とコールセンターからの「切ってはいけない」というプレッシャーから任意に逃げ出すことができます。この対策は日本で行うには現実的ではありませんが、感情労働による負担を軽減する策としては理にかなっているといえます。

ここまでは感情労働の悪い面を取り上げて論じてきましたが、感情労働のよい面からオペレーターの負担を軽減するアプローチもあります。感情労働のよい面とはすなわち、「オペレーターが感情をコントロールすることによって顧客の課題が解決し、感謝の言葉をいただく」といった成功体験です。このような成功体験はコールセンターならではのもので、オペレーター業務を続けていくためのモチベーションにもなります。

こういったモチベーションを引き出すには、コールセンター、ひいてはオペレーターと直接関わる上司の働きが重要です。そのために欠かせないのが、オペレーター業務で受けたストレスを業務後まで引きずらせないということです。たとえば、そのオペレーターの対応にミスがあってクレームに発展したのだとしても、ミスしたことに落ち込んでいるオペレーターを叱りつけてさらに落ち込ませるのは下策です。どうしてそういうミスが起きたのか、次はそうならないためにどうすればいいのか、一人ひとりに合った課題設定をすることでオペレーターとしての成長を促すことができます。こうすればオペレーターは成功体験をつかむことができ、感情労働による負担もある程度軽減させることが可能です。

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感情労働に向き合うことで、パフォーマンスを上げる

感情労働という言葉は、従業員に強いストレスを強いているという面が注目されがちですが、そこに課題があるということは、解決することでアドバンテージに変えられるということです。CRM施策の拠点であるコールセンターでは日々感情労働に従事するからこそ、しっかりと向き合い、対策を講じていく必要性と有用性があります。

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