コンタクトセンター向けクラウドCRM enjoy.CRMⅢ

顧客を中心にコンタクトセンターからDXを実現

コンタクトセンター運営のポイント 第59回:コールセンターにおけるROIの考え方、投資判断を支えるKPI

その59:CRM施策を前進させるためには

事業を前進させるため・目的を達成させるためには、投資が必要です。設備に対する投資、従業員の教育に対する投資、より高い顧客満足度を得るための投資などさまざまな投資があり、投資決定の前には「どれだけの効果が見込めるのか」を考えることになります。CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の現場であるコールセンターにおいても同様ですが、コールセンターの場合は他部署・他業種に比べて投資判断が難しい側面があります。コールセンターで効果的に投資を行い、CRM施策を前進させるためにはどのようなポイントを押さえるべきでしょうか。

コールセンターでROIを計算する難しさ

投資する額に対してどれほどの効果(利益)が得られるのかを示した指標を、ROI(Return On Investment:投資対効果)といいます。企業が利益を得るためにはまず投資を行う必要がありますが、資本は有限であるために、本当にその投資がプラスになって返ってくるのかを慎重に判断します。利益額を投資額で割って百分率を出したとき、110%~120%程度になれば一般的に投資を決定する値です。

あらゆる業界のあらゆる事業において活用することのできる指標ですが、一部ROIを計算するのが難しいケースがあります。そのひとつが、顧客満足度という数値では表しづらい目標を追いかけるコールセンターです。通販など販売に直結する場合を除きコールセンター単独で利益を出すというシーンは考えづらく、ROIを考えようとしてもなかなか難しいのではないでしょうか。

そんなコールセンターにおいてもROIの判断が求められるようになってきましたが、これは近年みられるようになったものです。少し時代をさかのぼってみると、コールセンターは“コストセンター”と認識されていたころがありました。事業所として稼働しているだけでコストになっているとみなされていたわけですから、そこへさらにお金をかけようという発想が生まれなかったことは想像に難くありません。どちらかというと、どうにかしてコストを削減して企業の負担を減らそうという流れのほうが強かったといえます。

顧客との良好な関係を形作るCRMにおいてコールセンターの働きが重要視されるようになると、状況は変わりました。クレームを抱えた顧客との関係を改善する最後の砦であり、期待以上の顧客体験を提供することのできるコールセンターは企業にとって成長に欠かせない存在になっていったのです。

ただし、上述のとおりコールセンターそのものは利益を出すことを目的としておらず、ROIをシンプルに考えるのは難しいといえます。そこでいったん、事業部の枠組みを超えて、プロジェクトチームや企業全体で考えてみましょう。今やCRMはマーケティングと切っても切れない関係になっており、マーケティングの一部としてコールセンターという役割が存在しています。コールセンターだけの成功や利益を考えるのではなく、企業単位で何ができるかを考えることで、コールセンターへの投資が判断しやすくなるはずです。

もちろん、コールセンター内でもROIを考えることは可能です。適切なKPIを設定することで、ROIを計算し、コールセンターへの投資を効果的なものにすることができます。

適切なKPI設定が効果的な投資につながる

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、簡単にいえばその事業が追いかけるべき目標のこと。KPIは定量的であることが望ましく、事業に関わる全員で共通認識とすることが求められます。定量的なKPIであれば誰の目にも達成・未達が明らかであり、全員が把握しておくことで目標に対して方針をブレさせることなく一丸となれるためです。
効果を生み出す投資判断をするには、このKPIを大きな支えとすることができます。

適切なKPIを設定していれば、事業に関するすべては「KPIを達成するために必要なことか」という軸で判断できるようになります。ROIにおいても同様で、今検討している投資がKPI達成に貢献しうるものだと判断できるなら、その投資は投資対効果が期待できると判断できるのです。

では、コールセンターにおけるKPIはどのように設定すればよいでしょうか。
このことについては当コラムの「第18回コールセンターの業績を上げるためのKPI設定の概要」にて詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
以下に、KPI設定についていくつかの例と投資判断との組み合わせをご紹介します。

コールセンターの一般的なKPIとして、平均処理時間があります。ひとつのコールにどれくらいの時間を使ったかを測ったもので、短ければ短いほど生産性は高いと判断することができますし、すばやく適切に顧客の質問や課題を解決したことで顧客満足度の向上が期待できます。ただし、近年は「コールは長くても顧客の課題をきちんと解決すること、満足いただくことが大切」と判断されることが多く、むやみに短くしようとすることには注意が必要です。コールセンターの方針としてコールは長くてもいいというなら、通話を切ってからの後処理時間を短くするというKPIを設定することもできます。これを達成するための投資判断としては、ツールの導入が考えられます。たとえば、enjoy.CRMⅢは平均後処理時間をはじめ、さまざまな事務処理やPC操作の効率化を目指したCRMシステムです。

他には、モニタリングスコアや一次解決率などをKPIとすることも一般的です。モニタリングスコアはSVなどが実際のコールをモニタリングして点数をつけたもので、オペレーターの応対品質を測るもの。一次解決率は一回の電話で顧客の課題が解決したかを示す指標で、オペレーターの応対品質の他にコールセンターとしての対応力も測れます。こういったKPIを達成するためには、オペレーターのスキルを向上させるという方向性が堅実です。外部のコールセンターセミナーを受講することなど以外にも、社内で学習や研修の時間を設けることも投資のひとつ(時間の投資)となります。

投資効果に関してはコールセンターといってもさまざまな業務内容があるので、どのようなKPIが適切か、どういった投資効果が考えられるかはセンターによって異なります。いずれにおいても、間違いないことはコールセンターが顧客に対して適切な対応を行うことで顧客満足度は向上します。顧客満足度の向上から期待できる効果、来店数の増加やリピーターの増加など具体的な効果をイメージすることが大切です。

ポイントは、効果測定を継続して実施すること

KPIを設定し、それに従って投資する際に重要となるのは「継続して効果測定しているか」です。KPIの作りっぱなし、投資のしっぱなしはコールセンターの成長につながらず、CRM施策を停滞させることになります。

たとえば、業務効率化のために便利なツールを導入するという投資判断があります。便利なツールを導入したのだから業務は確かに効率よく回るはずですが、どれだけ効率よく回せるようになったかを測定しないケースというのは意外と多く存在します。ROIはあくまで判断を下す前の指標であり、実際にどれだけの効果があったかを知らなければ意味がありません。きちんと効果測定をしてこそ、「投資は効果的だった」と結論づけることができます。

また、きちんと効果測定をした投資は次の投資判断の材料となりえます。コールセンター内にこのような改善活動のデータが蓄積されていけば、「投資したけど思ったほどの効果がなかった」というケースをなくし、成長角度を上げていけるはずです。

最大限の利益を実現できるコールセンターを

コールセンター内で的確なROIを計算することは難しいですが、企業全体でどう利益を出すかを考えたり適切なKPIを設定したりすることで、きちんと効果が期待できる投資が可能になります。CRM施策の前線たるコールセンターに効果的な投資をすることは、顧客満足度の向上などにつなげられるはずです。

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