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コンタクトセンター運営のポイント 第85回:RPAはコールセンター業務をどこまで自動化するか?導入例をご紹介

その85 コールセンターで導入効果の高いRPAの事例とは

PCを使った業務を大幅に効率化できるツールとして、各業界で導入が進んでいるのがRPAです。RPAはこれまで人が行ってきた反復的な作業を素早く正確に行える可能性を秘めており、コールセンターにおいても導入効果が高いとされています。
今回はそんなRPAについて、導入時の注意点や具体的な導入例をご紹介します。

コールセンターでも導入効果が高いとされるRPA

RPAはRobotics Process Automationを略したもので、「ロボットによる反復作業の自動化」などと捉えることができます。具体的には決められたPC作業を自動化するためのツールを指し、複数のアプリケーションを横断できる点に特徴があります。この特徴により、コールセンターシステムで記録した顧客情報をExcelのファイルに転記し、一定時間が経つごとにデータを集計し、1日の終わりにWordのファイルにまとめて報告書を作成し、PDFファイルで出力し、メールソフトで上長へ報告し……というように自動化の幅を広げることができます。

RPAの最大の利点は「一番困っている、業務を理解している現場」で運用ができることです。繁忙期に新人のアルバイトにやって欲しい仕事を伝えて自分の負荷を下げるのと同じように、RPAに対するシナリオを自分たちで作成する、やって欲しいことが変わったとしても自分たちで変更して運用できるのです。

RPAについての詳しい解説とコールセンターにおけるRPAについては、当コラムの「第66回:業務の自動化を目指す“RPA”とコールセンターにおける展望」にて詳しく記載していますので、併せてご覧ください。

RPAは決まった作業を自動化し、コンピューターが正確に作業を完了させるという特徴から、定形業務の多い業務において効果が高いと言われています。その点、顧客一人ひとりの事情に向き合うコールセンターには不向きに思えるかもしれませんが、業務内容を整理してみると色々なところで反復的な作業が多く、RPAの自動化の恩恵を強く受けることが可能です。

PRAを導入する際の注意点

コールセンターにおけるRPAの導入例についてご紹介する前に、導入する際の注意点についてご紹介します。

RPA導入が目的にならないこと

RPAは活用次第では業務効率を大幅に改善できるため、他のソリューションとは違う特別に強力なツールだという印象を持たれることもありますが、あくまで業務改善のための手段のひとつだと留意する必要があります。実際に業務内容を洗い出してみると、RPA導入の前にやるべきことがたくさんある、というケースは少なくありません。また、日本は国際的に見てもRPAの普及スピードが早いと言われていますが、その分、手段が目的化して上手くいかなかったというケースも多いとされています。

ロボットやノウハウのブラックボックス化

RPAは業務を自動化することで大幅な効率化を可能としますが、そんな便利なRPAロボットも、作った人が異動や退職でいなくなったときにブラックボックス化してしまうというリスクがあります。残ったメンバーがRPAロボットの編集方法を知らなければロボットはずっと動き続けることになり、逆に業務を妨げる「野良ロボット」を作ってしまうことにもなります。
また、ノウハウがブラックボックス化してしまうリスクもあります。RPAロボットを作成する際に一度業務内容を洗い出しても、自動化してしまった後は「結局どんな作業をしているのか」が忘れ去られてしまう可能性があるのです。
このようなブラックボックス化が起こらないように、導入の際は内容の共有化と慎重な運用が重要となります。

コールセンターにおけるRPAの導入例

ここでは、コールセンターでRPAを導入する際の方法の例と実例をご紹介します。

オペレーター業務の効率化の例

オペレーターは顧客応対をしている最中と後で、多くのPC作業を行います。たとえば、RPAを使うことで応対に必要な情報の検索と画面への表示が可能です。問い合わせの内容によりコールセンターシステム以外のアプリケーションも参照しなければならない場合には多くの手間が発生しますが、RPAで自動化することでオペレーターの作業を最小限にして情報を参照できるようになります。

後処理の自動化は、RPAが得意とするところです。コール終了後に複数のシステムに情報を登録する必要がある場合は特に分かりやすく、一度だけ入力すれば後はRPAに転記させることができます。

SV業務の効率化の例

オペレーターだけでなく、SVもRPAの恩恵を受けることができます。たとえば、各オペレーターのパフォーマンス評価レポートやコールレポート、週次・月次レポートの作成においては、ひな形さえ作っておけばほとんどの作業をRPAに行ってもらうことが可能です。SVはRPAロボットを実行させるだけでよく、後はでき上がったレポートの目視確認を行うのみです。

各オペレーターのレポートや日報をまとめてコールリーズンの分析や作業時間の突合せを行う場合にも、RPAが役に立ちます。一度ルールを設定すれば自動で情報を収集し、その加工も行えるため、各種データが出揃ってからの頭脳労働に集中できるようになります。

リアルタイム入力を実現した事例

公益事業に関わる、とあるコールセンターの例では、煩雑だったオペレーター業務をRPAでサポートし、リアルタイムの情報入力を実現しています。
RPA導入前は、応対中は複数のアプリケーションから情報を参照しなければならず、応対後は複数の記入先へ情報を登録する必要がありました。これによりリアルタイムで作業を進めることが困難となり、応対中はメモを取って後から処理するという非効率な方法を取っていたと言います。この方法では、もちろんミスも多発します。
RPAの導入後は必要な情報だけを画面に集め、正確な顧客応対を実現し、情報入力もリアルタイムで素早く完了するようになりました。いくつものアプリケーションをいちいち起動しなくてよくなったことが、効率化の大きなポイントです。

70%の工数削減を可能にした事例

ある通信事業者のコールセンターでは、サービスへの新規申し込みに関する業務が複雑で、オペレーターの負担が大きすぎるという課題がありました。申し込みに対する手続きを行うために、複数のシステムを横断して内容の確認や情報の登録を行っていたためです。
そこでRPAを導入し、トライアルとして一部地区のみで運用したところ、オペレーターの作業時間を70%も削減できたとのことです。

審査スピードを33.5%も短縮した事例

ある金融事業者では、ローンの審査を受け付けるとき、ローンの商品によって入力項目が異なるためオペレーターが自己判断して調整しているという課題がありました。これにより内容のヌケモレが発生するばかりか、顧客への再コールの手間が発生し、さらには審査担当者が受付内容の二重チェックをするという非効率なフローになっていたと言います。
RPAを導入することでRPAが入力内容を自動で洗い出し、オペレーターは必要事項のみ入力すればよくなりました。これによりミスが減り、二重チェックやその修正もRPAが担当することで、審査担当者は本来の審査業務に集中できるようになったとのことです。

工数削減とストレス軽減につながった事例

あるコールセンターでは、担当者が問い合わせ件数や内容などの管理情報を社内データベースに入力するというフローがありましたが、作業内容がとても複雑という課題がありました。
RPAを導入することで工数削減に成功し、30分かかっていた工数がほぼゼロに。併せて、煩雑な作業に神経を使っていたというストレスもなくなり、数字以外にも大きな効果があったとのことです。

RPA導入で本来の業務に集中できる環境を

RPAによる業務自動化の例を見ると、いずれも単に時間を削減しているだけでなく、本来やるべき業務に集中するための環境を作っていることが分かります。煩雑な作業や繰り返しの作業は人がやるよりコンピューターのほうが得意なので、そこはRPAに任せ、オペレーターやSVが存分にスキルを発揮できる環境を整えましょう。

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