CX向上を実現するコンタクトセンター向けCRMソリューション
更新日:2024年9月17日
慢性的な人材不足や多様化するお問い合わせへの対応など、現代のコールセンター(コンタクトセンター)はさまざまな課題を抱えています。そんな課題解決に有効活用できると期待されているのがAIです。今回は、コールセンターにAIを導入するメリット・デメリットの他、導入時のポイントについてもご紹介します。
1-1. コールセンターとは?
1-2. コールセンターが抱えている課題
2-1. 現在のコールセンターに求められていることは?
2-2. AIとコールセンターは相性が良い
2-3. コールセンターに導入できるAIの種類は?
3-1. コールセンターにAIを導入するメリット
3-2. コールセンターにAIを導入するデメリットは?
4-1. コールセンターの課題を明確にする(AIで何を達成したいのか)
4-2. 導入後のフローを整理する
4-3. 製品を比較検討し、自社の目的に合ったものを選ぶ
4-4. POCによる事前評価を実施する
まずは、コールセンターの概要や現代のコールセンターが抱えている課題についてご紹介します。
コールセンターは、顧客からの問い合わせやサポートを受け付けるための部門のことです。電話・メール・チャットなどの通信手段で顧客とやり取りし、問題解決やサポートを提供します。コールセンターは企業と顧客との重要な接点であり、顧客満足度を向上させるための重要な役割を果たしています。
現代のコールセンターが抱えている課題としては以下があります。
コールセンターでは、オペレーターが企業の製品やサービス・システムなどについて詳しく理解し、顧客からの要望に応じて対応する必要があります。そのためには、研修やトレーニングを通じて、定期的にオペレーターの知識やスキルを高める必要があります。
各オペレーターのスキルや経験にはばらつきがあり、サービスの一貫性を確保することが難しい場合があります。経験豊富なオペレーターは、さまざまな顧客の要望に対して、迅速かつ正確に対応できますが、新人やスキルの低いオペレーターは対応に時間がかかったり、ミスが発生したりすることがあります。このスキル差が顧客満足度に影響を与える可能性があります。
定期的な知識やスキルのアップデート、クレーム対応などの精神的な負荷が多い業務内容など、オペレーターの仕事はストレスが多く、離職率が高い傾向があります。経験のあるオペレーターが離職するごとに新人を雇う必要があるため、採用・教育コストが増えてしまう他、スキルのばらつきやチームの士気が低下するなど、さまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。そのため、離職率を低減し、オペレーターの満足度を向上させるための施策が求められています。
上述したような課題の解決策として、AIの導入があります。ここでは、コールセンターに導入できるAIの特徴や種類についてご紹介します。
従来のコールセンターは、「顧客からの問い合わせに対して適切な返答や対応を行う」というのが主でしたが、現代では顧客接点としての役割が求められています。問い合わせに対しての対応はもちろん、効率的で一貫性のある高品質な顧客サービスを提供することで、既存顧客のファン化や企業イメージの向上、売上アップなど、さまざまな効果が期待できます。このような効果を期待して、コールセンターの拡充や設備投資を行う企業が増えてきています。
AIは、コールセンターの効率化と対応品質の向上に大きく貢献します。AIは24時間体制での対応が可能で、膨大なデータを迅速に処理し、パーソナライズされたサービスを提供することができます。また、AIの導入により、オペレーターの負担を軽減し、人間のオペレーターがより複雑で価値の高い業務に集中できるようになります。このようなことから、AIとコールセンターは非常に相性が良いとされています。
コールセンターに導入できるAIとしては以下のような種類があります。
チャットボットは、テキストベースの会話を通じて顧客の質問に自動的に応答するプログラムです。顧客からの問い合わせに即座に対応し、基本的な質問やよくある質問(FAQ)に対して適切な回答を提供します。これにより、オペレーターの負担を軽減し、顧客の待ち時間を短縮することができます。
ボイスボットは、音声認識技術を使用して顧客と音声で対話し、自動応答を行うシステムです。電話での問い合わせに対して自然な会話を模倣し、顧客の意図を理解して適切な回答を提供します。これにより、電話応対の効率が向上し、顧客の満足度が向上します。電話対応の一部の業務をボイスボットにすることで、オペレーターの業務負荷を軽減する効果も期待できます。
声紋認証は、顧客の声紋を認識して本人確認を行う技術です。従来のパスワードやセキュリティ質問に代わる安全かつ迅速な認証方法として、コールセンターでの利用が増えています。これにより、セキュリティが向上し、オペレーターの業務負荷の他、顧客の本人確認の手間も軽減することができます。
AIを活用したFAQシステムは、顧客からのよくある質問に対する回答を自動的に提供します。自然言語処理(NLP)技術を用いて顧客の質問を理解し、適切な回答を提示します。これにより、顧客が自己解決できる範囲が広がり、オペレーターの負担が軽減されます。
AI検索システムは、膨大なデータベースから必要な情報を迅速に検索し、オペレーターや顧客に提供します。顧客の問い合わせに対して、最も関連性の高い情報を瞬時に提示することで、問題解決のスピードが向上します。
音声認識技術を用いて、顧客とオペレーターの会話をリアルタイムでテキストに変換し、議事録として記録するツールです。これにより、会話内容の正確な記録が可能となり、後からの確認や分析が容易になります。
では、コールセンターにAIを導入することでどのような効果が得られるのでしょうか?コールセンターにAIを導入するメリットとデメリットをご紹介します。
コールセンターにAIを導入するメリットとしては以下があります。
AIを活用することで、「チャットボットやボイスボットが24時間体制で顧客対応できるようになる」「顧客の待ち時間が短縮され、迅速な正確なサポートが提供できるようになる」など、CX(カスタマーエクスペリエンス※顧客体験)を向上させることができます。
オペレーターの業務の一部をAIによるボイスチャット・チャットボットに変更することで、サービスの品質が一定になり、オペレーターのスキル差による品質のばらつきを抑えることができます。また、標準的な回答や情報提供をFAQシステムやAI検索システムなどで自動化することで、オペレーターはより高度な問題解決や顧客対応に専念できるようになり、少ない人数でも質の高いサービスが提供できるようになります。
「標準的な回答や情報提供をFAQシステムやAI検索システムなどで自動化する」「音声認識や議事録作成ツールにより、会話内容の記録や分析を自動化する」など、コールセンターにAIを導入することで、オペレーターの業務負担を大幅に軽減することができます。業務効率はもちろん、オペレーターの業務満足度を高める効果も期待できます。
AIは、コールセンターの運営管理とマーケティングにも多大な影響を与えます。運営管理においては、AIによるデータ分析と予測分析により、トラフィックのピーク時やリソースの最適配分が可能となります。これにより、リソースの無駄遣いを減らし、コスト削減と効率的な運営が実現します。マーケティング面では、AIを活用した顧客データ分析により、顧客の行動パターンや嗜好を把握し、より精度の高いターゲティングやキャンペーンの設計が可能となります。これにより、マーケティング活動の効果が大幅に向上し、売上や顧客ロイヤルティの向上が期待されます。
AIの導入はコールセンターにさまざまなメリットをもたらしますが、以下のようなデメリットが起こる可能性もあります。
AIの導入・運用には高額なコストがかかります。また、AIを活用するオペレーターへの研修が新たに必要になる他、システムの維持管理にも継続的な費用がかかることがあります。
AIにはさまざまな種類があり、それぞれの特徴や強みがあります。自社のニーズや業務に最適なツールを選定するためには、綿密な調査と評価が必要です。また、導入後にツールが適切に機能しない場合、追加の調整や別のツールの導入が必要になることもあります。
ハルシネーションとは、AIが事実に基づかない回答を生成する現象のことです。たとえば、AIチャットボットが誤った情報を顧客に提供したり、意図しない回答を返したりしてしまう可能性があります。このようなハルシネーションは、顧客満足度を低下させるだけでなく、企業の信頼性にも悪影響を与える可能性があります。
顧客データや通話内容などの機密情報を扱うため、AIの導入には、セキュリティ対策が不可欠です。特にクラウドベースのAIを導入する場合、データの保護とプライバシーの確保を万全に整える必要があります。
生成AIを効果的に運用するためには、適切な指示(プロンプト)を与えることが重要です。プロンプトが不適切だと、AIが期待通りの回答を生成してくれない可能性があります。オペレーターや管理者は、AIの動作原理を理解し、適切なプロンプトを設計・調整するスキルを身につける必要があります。
AIは、教育コスト・離職率の高さなど、コールセンターが抱えるさまざまな課題を解決し、CXの向上などコールセンターの付加価値を高められるツールです。ただし、上述したようなデメリットもあるため、導入は慎重に進める必要があります。以下のようなポイントに注意して、導入ツールを選定しましょう。
まず、自社のコールセンターが抱える具体的な課題を明確にすることが重要です。たとえば、オペレーターのスキル差・業務の効率化・顧客満足度の向上・応答時間の短縮など、解決したい問題をリストアップします。その上で、AIを導入することで何を達成したいのか、具体的な目標を設定します。たとえば、「応答時間を30%短縮する」「FAQの自動応答精度を90%以上にする」といった具体的な目標を設定することで、それに合ったツールを選定することができます。
AI導入後の業務フローを事前に整理しておくことも重要です。AIがどのように業務プロセスに組み込まれるのか、オペレーターとAIの連携方法、顧客からの問い合わせがどのようにAIに処理されるかを明確にしましょう。また、AIが提供する情報やサポートがどのようにオペレーターにフィードバックされるか、顧客対応の品質をどのように維持・向上させるかについても詳細に計画します。これにより、導入後のスムーズな運用と業務の効率化が可能になります。
市場には多くのAI製品が存在します。AI導入によって実現したいことに最適な製品を選定するためには、各製品の機能・性能・コスト・導入実績などを詳細に比較検討する必要があります。たとえば、以下のように評価指標をまとめて、客観的に製品を選定しましょう。
また、導入事例やユーザーレビューを参考にすることで、実際の使用感や効果を把握することができます。製品情報だけでなく、導入事例やユーザーレビューも確認しておきましょう。
POC(概念実証)とは、AIが実際の業務にどのように適用されるかを事前に検証するためのプロセスのことです。POCを実施することで、AIの効果や問題点を事前に把握し、導入後のリスクを軽減することができます。以下のようなステップで、AIの導入効果を事前評価しましょう。
ここでOKIソフトウェアのCRMソリューション「enjoy.CRMⅢ」を利用したPOCの事例を紹介します。歯科医療機器販売・開発大手である株式会社ヨシダ様が2019年にenjoy.CRMⅢを導入後、電話応対後のACW(後処理時間)短縮を目的に、今回AzureOpenAIのPOCに取り組まれました。詳細は下記、導入事例を参照ください。生成AIと連携することの効果をデータをもとに具体的に評価されています。
AIは、コールセンターが抱えている課題を解消するだけでなく、コールセンターの付加価値を高めるのに欠かせないツールです。OKIソフトウェアの「enjoy.CRMⅢ」は、今回ご紹介したようなコールセンターの課題解決に欠かせない機能をバランス良く兼ね備えた製品です。コールセンターへのAI導入を検討している方は、ぜひ詳しく確認してみてください。